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暗殺ターゲットとナイト
「ッ!?」
「ねぇ暇なんだけど…」
恐る恐る顔を上げると目の前に布団を持ったイトフが立っていた
「イトフ…?」
「なにその顔…何かあったの」
「……ッ」
震えを確認するとイトフは深く追求せず布団を女に掛けた
またも扉から外へ出ようとするのを何故か止めた
「ま、待て!」
「暇つぶしに来ただけ,話せる状態じゃないみたいだしほか当たるよ」
「話せる!話せるから!」
イトフを無理やり止め,部屋へと戻した
椅子に座り紅茶を飲むイトフと対面に座る
お互い何も話さず黙る空間が出来る
「……あんた名前なんて言うの?」
「…はっ…名前?」
「名前分かんないと呼べないじゃん」
少し迷ったが,相手はロボットでも無い上…話さなければ帰られる気がする
「な、なんだったっけ…」
「はぁ!?自分の名前すら覚えてないの?」
「し、仕方ないだろ…長い事一人だったんだから!」
「ふーん…にしても忘れるは無い」
キッパリ言われ心に刺さる
ふと何かを思い出したかのように喋る
「あっ132番って言われてた!」
そう告げると、イトフは頭を抱える
「…ッ……あんたと話すと疲れる」
「なっ!!」
「それ名前じゃないだろ…てかポケットとかに身分証とかないの?」
「あ、」
ズボンのポケットをまさぐると、顔と横に名前が書いてあるものが出てきた
「これか?」
イトフが受け取るとそれをじっ…と見つめる
「ゼイ…これがあんたの名前」
「あー、そんな名前だったな」
しかしイトフは横の文字の内容を見る
「あんたの両親…もとsumoの研究員だったの…?」
「…っ!」
イトフから取り上げ、ゴミ箱へと捨てる
「気にしなくていいよ。俺の親も研究員だったし」
「…私を恨んでないか?」
「親が研究員なだけで関係ないあんたを恨むわけないでしょ,それよりさっき捨てたやつ…大事なヤツだから持っといた方がいいよ」
「…!分かった…」
「ゼイって何者なの?…名前忘れるとか…只者じゃないでしょ」
「親が死んでからは…Dilloって所に何年もこき使われてたな…人になんて会わないし喋らない上…ろくに飯も食べれなかった」
地獄のような生活を送っていた事をイトフに伝える
「…そうなんだ」
クッキーを口に入れながらボソボソ喋る
「てっきり世間知らずの男だと思ってた」
「初めて似た匂いを感じるな…私もあんたを世間知らずのガキだと思ってた」
その瞬間ティースプーンが目の前に現れる
「ガキじゃない、これでも一応21…成人済みだ」
ゼイは先程あった出来事を全てイトフに話した
初めから最後まで聴き終わったイトフは全て理解した上で一言答えた
「…そんなことで布団にくるまってめそめそしてたの?」
呆れたように答えられた
「何故か知らないが…思い出したんだ…ずっと忘れてたはずなのに」
「ゼイって子供だね…まぁ愛情ってのを受けなかったからしょうがないだろうけどさ」
イトフがいつの間にかゼイから奪った拳銃をカチカチ弄り始める
「俺の両親は,俺を研究員にする為に高い金を払って家庭教師とか色々やってたけど…それも愛情って言わない」
弄りまくった拳銃をゼイに突き出す
「こんな世界になってから,愛なんて奥深いものみんな忘れちゃったさ」
「…今,成すべき…は何が正しいのだろう」
拳銃を受け取りゼイは腰に着けた
そんなゼイの疑問に、イトフは当然のように答えた
「世界を変えたsumoを潰す。」
「…お前も,なにか恨みがあるのか?」
「別に,親は研究関係なしに死んだ…逆に今生きててもsumoの研究員として打ち殺されてるよ。今となっては犯罪組織なんだから」
「……」
しかし何故だ…ここに来てもうかなりの日数が経つ…殺すきっかけは幾らでもあるのに未だにかすり傷程度だ。原因は、あの男が強いのか…それとも…私が弱すぎるのか
「下が随分騒がしい」
イトフが床を見つめながら嫌そうに言う
しかし騒がしい声も音も聞こえない
「聞こえないけど…?何があるんだ?」
「耳はいいんだ…何があったのかは知らないけど、気になるなら行ってみたら?」
「嫌だここから出ない」
するとそれを待ち望んでたかのように扉が開き2体のロボットが入ってくる
大嫌いなsumoを目の前にイトフはあからさまに嫌な顔を隠しきれない
「おふたりの内、病気に詳しい方いらっしゃいますか!?」
「さぁ?爺ちゃんは医者だったけど…あんたらが殺したんじゃん」
「何があったんだ?」
ゼイが質問すると,ロボットはグイグイと手を引っ張ってくる
それはイトフにも同じようで彼も服を引っ張られていた
「とにかく来て下さい!!」
「気になる……よし、イトフ行こう」
「な、なんでこいつらの言うこと聞かなきな行けないんだよ!」
しかし1人では行けないゼイはイトフを無理矢理引きずりながら先頭を進むロボットについて行ったのだ