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少し押し気味になりながら収録を終えて、楽屋に戻ってきた。
みんなこれが今日最後の仕事みたいで、一緒にご飯に行こうとするメンバーや誰かに連絡を取るメンバーの姿があった。
俺も久し振りにこの後の仕事がなかったから、徐々に帰り始めるメンバーをいつも通り見送る。
しょっぴーは相変わらずの早さだ。今日は舘さんと約束してたみたいで、一緒に帰っていく。
岩本くんとふっかさんも何か連れ立って帰っていった。明日オフが被ってて一緒に古着屋さんに行くから岩本くんちに泊まるらしい。さすがいわふか。
康二もラウールも帰っていき、残ったのは俺と、何やら2人で話してる佐久間くんと阿部ちゃん。
仲良いもんな、あの2人。阿部ちゃんは俺なんかよりずっと佐久間くんのこと分かってるから、一緒にいるなら阿部ちゃんの方がいいよね。
メンバー相手に卑屈な思考になってるのが嫌だ。
帰って頭を冷やそう。そう思って帰り支度をしようとすると、阿部ちゃんが近寄ってきた。
「お疲れ、めめ。俺はお先に失礼するね」
「佐久間くんと話してたんじゃないの?」
「話したいことは終わったから、もういいんだ。それより、めめ」
「うん、何?」
阿部ちゃんが声を潜めたから、話が聞き取れるように耳を澄ませる。
「めめのその気持ちさ、解放してあげてもいいと思うよ?」
「…何で。阿部ちゃん、知ってたの…?」
「割とだだ漏れなこと自覚した方がいいよ。メンバーも何人かは気付いてるんじゃないかな?」
「マジか…」
割と? だだ漏れって言った??
思わず頭を抱える。
「佐久間には言ってないから大丈夫。でもさ、伝えることで始まるものもあるんじゃないかな」
そう言って笑うと、阿部ちゃんは手を振って颯爽と帰っていった。
いや俺は全然爽やかな気分じゃないけどね?
一生懸命隠してるつもりだったのに、だだ漏れって何だよ…!!
阿部ちゃんから投下された爆弾に慌ててたせいで、側に来た気配に一瞬気付くのが遅れた。
「ねえ、蓮」
「さ、くまくん…」
「うん、佐久間さん。蓮お前、すごい顔してるけど大丈夫か? 阿部ちゃん、何言ってったんだ?」
「いやっ、何でもない、です!」
「そう、か?」
佐久間くんは納得いかない表情だけど、こんなこと言うわけにいかない。
『あなたを好きな気持ちがだだ漏れだって言われました』なんて、まんま告白でしょ!
「…話したくないならいいんだけどさ。じゃあ、代わりに俺の話聞いてくれないか?」
「佐久間くんの?」
「うん、そう。ここじゃ出来ない話だからさ、俺んちおいで?」
「…うん、行く」
そんなつもりなかったのに、俺の口は了承の言葉を呟いてた。
それを聞いて嬉しそうに笑う佐久間くんに、やっぱり行かないなんて言えるわけない。
佐久間くんからの『おいで?』なんて、頷いてしまうに決まってる。
「よし、じゃあ行こうぜ! 蓮は今日は何で来た?」
「あ、俺はマネージャーの送迎で」
「俺は久々に車で来たんだ。乗ってけよ。帰りも送ってやるからさ」
ニコニコと嬉しそうに話す佐久間くんに見惚れながら、俺はただただ頷くしかなかった。