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「ツナー、シャチー、ただいまぁ!」
佐久間くんの帰宅を察知して、愛猫のツナとシャチが姿を見せる。2匹を撫でて愛おしむその姿に、俺がモコちゃんと相対する時も同じようなんだろうなと思いを馳せた。
そして佐久間くんが動物に向き合ってる時の顔も、声も、仕草も。全てが慈愛に溢れてて、またここでも俺は恋に堕ちる。
これ以上堕ちようがあるんだって、自分でも感心するくらいだ。
「蓮、ソファに座ってて。コーヒーでいいか?」
「あ、うん。お構いなく」
「いいから、座って待ってて」
そう言って台所へ向かう佐久間くんを見送り、お言葉に甘えてソファに座って待たせてもらう。
慎重派のツナはまだ遠巻きにしてるけど、人懐こいシャチが足元に来てくれた。
「こんばんは、シャチ。撫でさせてくれるの?」
その背をそっと撫でると、シャチは気持ち良さそうに一声鳴く。
ちらっとツナの方を確認すると、まだ警戒の距離だ。
「ツナもこんばんは。急にお邪魔してごめんな」
俺の言葉が分かったみたいに、ツナが小さく鳴いて答えてくれた。まだ距離は遠いけど、お客さんとして歓迎してもらえたみたいで嬉しくなる。
「蓮は人だけじゃなくて猫も落とせるのか」
コーヒーの入ったマグカップを2つ持った佐久間くんが感心したように呟いた。
「人たらしも猫たらしも、佐久間くんの方じゃない?」
「猫は自信あるけどな。人は蓮には適わないだろ」
そう言いながらローテーブルにカップを置いて、佐久間くんが俺の隣に座る。
俳優さん声優さんタレントさん問わず、共演した方と悉く仲良くなってる人が何言ってるの。
その中から誰か特別な人が出来るんじゃないかって、いつも気が気じゃないんだよ。
絶対、言わないけど。
「まあ仕方ないよなー。お前国宝級イケメンだし、真面目だし優しいし。モテるのも当たり前っていうか」
「佐久間くんこそ、いつも周りに人が絶えないくせに」
「俺のはモテるのとは違うだろ。野郎同士でつるんでるだけとか、同じ職種としてリスペクトし合ってるだけとかさ」
そう言って佐久間くんが目を伏せた。ああ、まただ。
その長い睫毛も、綺麗な輪郭の横顔も。全部全部俺の好きなもので。
もう何度、その横顔に一目惚れしたか分からない。
早くなった心臓の鼓動が聞こえやしないかと思って心配になる。
「俺と蓮は違う。だから嫌なんだ」
「え…?」
佐久間くんの突然の言葉に思考が止まる。
言われたことの意味が分からなくて、思わずその横顔をじっと見つめた。