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口元を押さえながらメッセージに目を通した。読み進めていくうちに、美晴はあることに気が付いた。すべてのやり取りには、メッセージアプリで行われているために日付が入っている。



『お昼からこずたんと一緒で最高でしたぁぁ♡♡ 今日はいよいよお泊りできて嬉しいのにぃ、むかちゅくことがありまちた! 今日出張だって言っておいたのに、クズ嫁は着替えも用意していなかったのでしゅー!』



お泊り、出張、着替え――このワードに日付。

この日付は忘れもしない、美晴が病院で流産した日だ。幹雄は体調不良の妻に罵声を浴びせて放置し、病院にも連れて行ってくれなかった。



その夜、夫は出張ではなく愛人と気持ち悪い逢引を果たしていた――





「う”あ”あああああああ――――っ!!!!」





美晴は発狂した。やはり復讐アプリの言うことは本当だったのだ!!

こんなクズたちのせいで、大切な子供を失ってしまったなんて。



許せない許せない許せない!!

絶対に、死んでも許すものか!!!!



二人には地獄の底の底を見させてやらなければならない。憎しみでいっぱいだ。

もし目の前に二人がいたならば、警察に掴まって残りの人生を棒に振ってもいいから刃物でめった刺しにしたいくらいの気分だ。殺してやりたい、殺してやりたい――この思いを言葉に表すのはとてもできないほどの深い憎しみを抱いた。



――決めました。私、どんなことでもやります。彼らに復讐をします。最高に華々しく彼らを散らせるお手伝いをしていただけませんか!?



怒りで震える指でメッセージを作って送信した。するとアプリからは頼もしい回答があった。



『もちろんです。そのための復讐アプリですから!』



美晴はぐっと涙をぬぐった。冷静になってもう一度証拠を見返してみる。アプリは自分の味方だと信じることにしたが、しかし、どうしてここまでの情報を持っているのだろうか――疑問に思ったので美晴はアプリに尋ねてみた。



――この情報は信頼できるもので間違いありませんか?



『もちろん信頼できるものです。この復讐アプリを運営するわたしの会社は、サレた人達を救済するために出来上がった会社になります』



当然だが、運営している会社があるのだ、と美晴は思った。

いったいどんな人たちが運営しているのだろうか。会社という響きに少し安心を覚えた。



『個人情報については、情報収集が一番困難です。そのため、当社は復讐アプリ以外にこのようなサービスアプリを展開しています』



アプリからなにやらURLが送られてきた。クリックしてみると、『秘密の出会い系アプリ・Match(マッチ)』というサイトが表示された。どこにでもあるようなマッチングアプリのチャットアプリだった。



・カンタン無料!

・必要なものは電話番号のみ!

・完全プライベートで利用可能!

・好きなひとといつでも繋がれる秘密のチャットアプリ『Match(マッチ)』



(こんなチャットアプリがあるんだ……)



サイトを見ると、見本の画面が付いている。秘密のダイアリーや思い出共有など、動画や画像を共有できるようになっていた。これについてはサーバー維持料金が発生するようだが、SNSのストーリームービーのように数時間から一日ほどで消えてしまうものは無料で利用できるようだ。

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