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#たかはし明
21
どーも!
夜のさんぽです!
今回の話、
少しセンシティブ?
みたいなシーンあるので、
苦手な方はご退散を!
じゃ、行ってらっしゃい!
明視点
俺のお兄さん。
……のはずだった。
笑ってる。
俺に向ける笑顔と、同じ顔で。
違う男に。
紫の浴衣。
翁のお面。
異様なほど整った顔。
近い。近すぎる。
お兄さんが男に
顎を掴まれてる。
耳を触られてる。
赤いピアスが光ってる。
あれ、俺の知らないやつだ。
お兄さんの耳に、そんなものが付いてるなんて。
しかも、あの男と同じ物。
反吐が出る。
昼のお兄さんは、俺の知らない顔をしている。
夜は、
俺の名前を呼ぶくせに。
俺だけを見るくせに。
昼は、あんなふうに笑うのか。
ふざけるな。
あんな距離で。
あんな声で。
あんな目で。
お前のものみたいに触るな。
店の中、あの男が花束を受け取る。
それをお兄さんは笑顔で見送る。
気に食わない
気に入らない
昼は、あいつのものなのか。
影の中で、拳を握る。
爪が食い込む。
要らない
必要ない
お兄さんには
合わない
似合わない
お兄さんには夜の方が、
夜の花の方が似合うのに。
昼の花。
昼の客。
昼のお兄さん。
全部、いらない。
必要なのは、
夜の店と、
夜のお兄さんと、
俺だけだ。
もう、いっそのこと。
なんてしたら、お兄さん
悲しんじゃうかな
路地裏の闇に、身を沈める。
夜。
昼とは違う、静かな通り。
花屋だけに光が灯る。
カランカラン。
「いらっしゃいませ、明くん」
いつもと同じ声。
いつもと同じ顔。
それが、ひどく気に入らなかった。
俺とあの人の扱いは同じなんだろ。
『テッセン』
「え?」
『テッセン。あるでしょ』
少し強い口調になったのを、自分でも分かっている。
お兄さんは一瞬だけ驚いた顔をして、棚の奥から花を持ってきた。
「どうしてテッセン?」
『……いいから』
花を受け取る。
細い茎。
白い花弁。
昼の光を思い出す。
あの男。
近い距離。
触れられていた耳。
ぐしゃり。
気づいた時には、手に力が入っていた。
さっき貰ったばっかの花が、形を失っていた。
「……明くん?」
その声。
心配そうな顔。
それが、決定打だった。
『その表情、俺以外にも……』
「……え?」
距離を詰める。
お兄さんが一歩下がる前に、腕を掴んだ。
『夜は、俺だけでしょ』
答えは待たない。
お兄さんの腕を力いっぱい引っ張った。
顔と顔が近くなった。
互いの口が触れる。
そして、片方の手でお兄さんの耳を握りつぶすようにした。
───憎しみを込めて。
「んん″っ…!!」
苦しそうな顔。
痛そうな顔。
でも、こんなものを付けてるのが悪い。
お兄さんが俺の胸を叩く。
息が出来てないみたい。
…………このまま。
このまま続けたらお兄さんは溺れるのかな?
お兄さんの最後の記憶が俺とのキス。
良いね。綺麗。
まあ、まだ居なくなって欲しくはないから。
がりっ。
息をさせてあげる代わりに、俺はお兄さんの唇を思いっきり噛んだ。
と同時に、耳に触れている手に再び力を入れた。
「…っ………」
「……明、くん……?」
声が震えている。
それが、たまらなく綺麗だった。
床に落ちたテッセンが、踏みつぶされる。
白が、汚れる。
固まってる。
お兄さんは、立ち尽くしている。
さっきまで笑っていた口が、少し開いたまま。
……あ
やりすぎた、と思った。
でも、後悔じゃない。
ちょっとした気づきみたいな。
『……驚いた?』
声を落とす。
ゆっくり、手を離す。
床に落ちたテッセンを拾い上げる。
潰れた花弁を、指で整える。
「……っは…っは……」
少し涙ぐんで、唇からタラーっと血が垂れてきている。
その光景に何とも言えない快感を覚える。
お兄さんは息を整えると同時に、俺のことを見下げてる
『ごめんね』
謝りながら、花をカウンターに置く。
『でもさ』
顔を上げる。
お兄さんを見る。
『悪いのはお兄さんだから』
「……え……?」
『お兄さんには 俺だけで十分でしょ?』
お兄さんは、何か言おうとして、やめる。
言葉を探してる顔。
……かわいい
沈黙。
花屋の奥で、時計の音だけが鳴る。
俺は、何も言わずに扉を開ける。
カランカラン。
「……また、来るね」
お兄さんは、返事をしなかった。
その場から、動かなかった。
コメント
4件
文章力すごすぎません?!?! キャラクターの解像度もくっそ高いし……。 がちで尊敬なんですけど!!! 今日のお話も最高でした。!!! 明くんはもう監禁するんじゃと思ったんですけど我慢しててすごかった……!!! 次回も楽しみにしてます!!
今日も更新ありがとうございます!今日もすごく良かったです!今回は晴明がいつも謎めいていたけど今回は余裕が無さそうな、困惑してる晴明も可愛かったし、道満に嫉妬してるたかはしの雰囲気の作り方がすごく良かったです!これからも頑張ってください!