テラーノベル
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明視点
夜。
何もなかったようにいつも通りに明るくなっている店。これもまた、昨日の俺との会話や行動が無かったことにされているようで憎たらしい。
だが、会える喜びには勝らない。
カランカラン。
「いらっしゃいま…せ………」
あ、固まった。
脅えてる?
お兄さんは俺を見たまま硬直してる。
昨日で怖がられちゃったかな?
『おにーさん。どうしたの?』
弾んだ1歩で近づいた。
けど、お兄さんは下がりも歩み寄りもしなかった。
ただその場に立ってるだけ。
『あ、その顔』
お兄さんは一瞬だけ、瞬きをした。
唇に、小さな肌色の絆創膏。
耳たぶにも、白いテープ。
貼ってる……
昨日、俺が触ったところ。
力を入れたところ。
噛んだところ。
ちゃんと、跡として残ってる。
『……絆創膏、貼ったんだ』
俺がそう言うと、
お兄さんは慌てたみたいに唇に触れた。
「………うん、貼った…」
昨日と同じ。
少し怯えたような声と目。
可愛い。
その顔だけで、胸の奥がじわっと熱くなる
………でも、目を合わせてくれないのだけが1つ気がかりだけど。
『今日も、開いてたんだ』
「うん。いつも通りだよ」
その言葉が、少しだけ嫌だった。
“いつも通り”。
俺が何をしても、
この人は、いつも通り。
変わらずにここに立つ。
でも。
絆創膏は、ある。
俺が触れた証。
俺が残した痕。
『……ね』
「なに?」
『それ、取らないで』
お兄さんは一瞬、黙った。
「……どうして?」
『お兄さんは俺のだっていう証。』
お兄さんは、困ったみたいに笑った。
「……変なの」
気付けばお兄さんはいつも通りになっていた。
それが少し気に入らないけど、でもいつものお兄さんも良いから。
『お兄さん。また来るから』
お兄さんは頷いた。
俺は扉を開けて花屋を出た。
#たかはし明
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コメント
7件

最高ですね✨もう上手すぎて感動ですよ夜のさんぽさん小説もう大好きです!尊敬します✨頑張ってください!
いや、もうなんだろう…その最高っていう言葉しか見つからない…。 いや最もあるんですけどなんかもう最高ッですね…!!!! 語彙力が足りないので逆に伝わりやすいようにひと言で『ありがとう』今日の投稿もとても感謝です✨️ というか投稿早くないですか?!?! 嬉しいんですけど体調気をつけてくださいね?!?!
本当いつもいつも投稿頻度が高すぎて助かるしめっちゃ尊敬します!毎日更新してくれてすごく嬉しいです!あと本当に今日も話がすごく良かったです!明くんの俺のものって言うのが、ほんとヤンデレ感がめっちゃ出てたし、夜のさんぽさんが書く闇っぽい人たちが本当にうますぎるし、夜のさんぽさんが書いたヤンデレが明くんにすごいぴったりとあっていて、いつも面白いです!