テラーノベル
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蒼真は目の前の光景を信じられなかった。
楕円形の物体から現れた小さな宇宙人は、怯えた表情のままこちらを見上げている。
「タ···タスケテ···ホシニ···カエリタイ」
たどたどしい日本語だった。
「え···日本語···話せるのか···?」
宇宙人は頷いた。
「チキュウノ···コトバ···ベンキョウ···シタ」
宇宙人は、物体から箱型の機械を取り出した。
「コレデ···ウチュウジュウノ···コトバ···ワカル」
見るとそれは電子辞書のようなものだった。
「すごいな、こんなものがあるのか」
宇宙人は頷いた。
「君、名前は?」
宇宙人は胸を叩く。
「ルミ」
「ルミか。俺は蒼真。」
「ソウマ···?」
「ああ、そうだ。よろしくな、ルミ」
ルミはその名前を何度か繰り返した。
「ウン···ヨロシク、ソウマ」
少しだけ笑顔になった。
その時だった。
バチッ!!
突然、墜落した宇宙船から火花が散った。
ルミの表情が一変する。
「ダメ!」
駆け寄ろうとした瞬間、宇宙船の一部が崩れ落ちた。
轟音とともに煙が上がる。
蒼真は慌ててルミを引き寄せた。
「危ない!!」
二人は地面に転がる。
しばらくして煙が落ち着くと、宇宙船の後部が完全に潰れていた。
ルミは青ざめる。
「コワレチャッタ···」
ルミはゆっくりと壊れた宇宙船に近づいた。
「デモ···コレハブジ···ヨカッタ。」
ルミの手には筒状の物体があった。
「それは?」
「エネルギーコア···。」
「デモ、エネルギーナクナッテル。」
ルミは落ち込んだ表情を見せた。
「エネルギー、貯める事は出来ないのか?」
「ワカラナイ···。ホカノホシデ···ナクナッタコトナイカラ···。」
ルミは肩を落とした。
「ホシ···カエレナイカモ···」
その言葉を聞いて蒼真は胸が痛んだ。
家に帰れない。
その気持ちは想像できた。
もし自分が知らない星に一人取り残されたら···。
「大丈夫だ。」
気づけばそう言っていた。
「なんとかなる。」
ルミは驚いたように顔を上げる。
「ホント?」
「たぶん。」
蒼真は苦笑した。
「でも、このままここにいたらまずい。」
「?」
「明日にでもここは見つかるかもしれない」
あの光に轟音だ。自分の他に気がついた人間もいるだろう。
ましてや宇宙人の存在など知られたらどうなるか分からない。
「まずはここを離れよう。」
「デモ···。」
ルミは宇宙船の方を見た。
「宇宙船の心配より、まず自分の心配をしたほうがいい。」
「···ワカッタ。」
ルミは不安そうに頷いた。
その時。
バタバタバタバタ···
遠くからヘリコプターが向かってくる音か聞こえてきた。
蒼真の顔色が変わる。
「まずい。」
「ドウシタ?」
「なにか···くる。」
ルミも音に気がついた。
「ミツカル?」
「かもしれない。」
二人は顔を見合わせる。
遠くの空から、ヘリコプターのライトが近づいてくる。
蒼真は決断する。
「ルミ、こっちだ。」
宇宙船を残したまま、二人は暗い森へ走り出した。
数分後···
ヘリコプターが墜落現場に到着し、開けた場所に着陸した。中から、武装した男たちが降りてくる。
「ここか···」
男の一人が無線を取った。
「対象を確認。ただ搭乗者は確認できず。」
無線の向こうから低い声が返る。
「周辺を捜索しろ。そう遠くには行ってないはずだ。」
男たちは周辺の捜索を開始する。
それは、蒼真とルミの逃げた方向へもゆっくりと近づいていた。
蒼真たちはまだ知らない。
ルミを追う者たちが、すでに動き始めていることを···。
#ファンタジー
いね
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羽海汐遠
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コメント
1件
あおいです🌷 第2話、引き込まれました…!ルミのたどたどしい日本語がすごく可愛くて、でも「ホシ…カエレナイカモ」のところで胸がぎゅっとなりました。蒼真が咄嗟に「大丈夫だ」って言う優しさ、沁みますね。最後のヘリの緊張感もたまらない——続きが気になって仕方ないです。素敵な物語をありがとうございます。