「嫌です、抜かないでください。早くこれを外して――」
「それから?」
さっきと同じ問いかけをされて、ひゅっと息を飲んだ。
僕の望みを叶えたいと言ってくれた彼に、自分の中にある気持ちを伝えたいと思ったのも束の間、羞恥心がそれを押し留める。
健吾さんは縛られた両手を差し出す僕を見ながら、微妙に腰を上下させて、僕自身を焦らしまくった。どう見ても腰紐を外す気がないのは、ずるそうに笑っている表情でわかる。
「健吾さん、意地悪しないでください」
「おまえが本音を言わないから、こうしているだけだぞ」
「本音って……」
「言っておくが、この体勢は俺だってつらい。理由はわかるよな?」
切なげに細められる健吾さんの瞳が、僕を欲しがっているように見えた。
「健吾さんも?」
「ああ。おまえの硬くて大きいので、俺の中を滅茶苦茶にしてほしい。見える形で、俺を求めてほしいんだ。愛してるってことを」
僕が返事をする前に塞がれる唇。痛みを感じるくらいに、健吾さんの唇が押しつけられた。
「ぅんんっ、くっ!」
音を立てて出し入れされる舌を逃さないように、ちゅっと強く吸った。それと同時に、健吾さん自身を縛られた手でぎゅっと握りしめる。右手の親指で先端部分を、いやらしく撫で擦った。
「ああっ」
喘ぎ声と一緒に吐き出された空気もろとも、健吾さんの唇を塞いだ。侵入した口内に舌を差し込み、歯茎をなぞってみる。それに感じたのか、健吾さんの腰がずるりと下ろされた。
「あ、つし……」
握りしめた健吾さんのモノを扱くと、そこで動きが止まることがわかったゆえに、間髪おかず一気に腰を押し上げた。
「ぁうっ!」
突き上げた勢いで、健吾さんが思いきりのけ反る。プラチナブロンドがふわっと舞ってから、はらはらと上半身を覆った。
「健吾さんの……リアルでこれが見られるとは、思ってもいなかった」
不意に口から突いて出た言葉を聞いて、健吾さんが驚いた表情で僕を見下ろす。呼吸をするように自然に呟いたそれは、考えもしないセリフだった。
「おまえ、何を言ってるんだ?」
「やっ! えっとそのぅ……健吾さんがその姿でいるのをはじめて見てるのに、はじめてじゃない気がしたんです。それなのになぜだか、わけのわからないことを言っちゃいました」
(下から健吾さんを突き上げた姿勢のまま、しどろもどろに答える僕の姿は、傍から見たら滑稽だろうな)
「それだけ夢の番人だった俺の恰好が、おまえの中で印象に残っているんだろう。記憶がないはずだというのに」
言いながら体重をかけて、ベッドに僕の腰を押しつけた。ぐぐっと最奥に挿入される快感に、全身が蕩けそうになる。
「健吾さんの中、いつもよりすごく絞めつけて気持ちいいです」
「それはおまえのが、いつもより大きいからだろ。この姿に興奮しているのか、それとも――」
「それとも?」
疑問を口にした、僕の耳元まで顔を寄せる健吾さん。その動きと連動して中がぎゅんぎゅん締まり、あまりの気持ちよさに小さなうめき声をあげた。
「こんなちょっとしたことで、そんなに感じるなんて、夢の番人と浮気してる気分なのか?」
健吾さんがくすくす笑うと、耳にふわっと息がかかって、くすぐったかった。顔を背けるだけじゃなく躰をよじって、それを退けようと試みる。
「こらっ! 動いて俺を感じさせようとするな」
「違いますよ。耳に健吾さんの息がかかって、くすぐったいせいで逃げただけで」
「いいわけはなしだ。まったく!」
不敵な笑みを唇に浮かべた健吾さんは、プラチナブロンドを乱す勢いで腰を上下させた。ぬちゃぬちゃという卑猥な音が部屋の中に響いて、さらに感じてしまう材料になる。
「健吾さ……っ、そんなにしちゃ、うっ! イキそうっ」
躰を震わせながら訴えたら、動きを弱めて僕の上に腰を下ろした。