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・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()
それでもいいという人は、どうぞ↓↓↓
マジで参っちゃったわ。ガチで迷子。今自分がどこにいるのかさっぱり分からないし、心細くなってきた。あの後何人かに声をかけたんだけど、全然通じない。というか聞いてないと思う。もういっそ大声で叫んじまおうかな。どうせみんな聞いてないんだろ?
「誰か教えろよー!!!!!ここは一体どこなんだよー!!!!!」
案の定誰も振り向かなかった。まじ意味不明。みんな酷すぎな?つーかそもそも何で俺はここにいるんだよ。まずそこが分からん。まぁそれは急ぐ話でもないか…。とりあえずとぼとぼ歩く。あ、店らしきもの発見。あー腹減ったな…。金とかないし、食うのは無理かなぁ…。でも観察がてら入ってみるか…。
「お邪魔しますー」みんなが無言で食ってる異様な光景。今気付いたけど、みんな1人だな。席も、最初から1人用の席しかない。恐怖を感じながらも、俺は席に着いた。「あのー、メニュー表みたいなものってないんですか?」もちろん返事はない。ホントに奇妙な場所だな。店のくせに看板もないし、メニュー表もない。というかこの世界に来てから、文字を見てない。なんなんだこの世界は。
俺はしばらく他人が飯を食ってるところを観察してた。会計とかどうやるんだろうって疑問だったから。そしたら何故か、飯を食い終わった人がすぐに立ち上がって外へ出ていった。「あっ、食い逃げした!ねぇ店員さん!あの人食い逃げしたよ?!追ってこようか?!」それでも店員は無視。カートみたいなものが自動的に来て、食器を下げて、奥の方へ消えていった。あ、もしかして先払い?それともまさか体に埋め込んだICチップ的なやつで会計を済ませたの?…謎は深まるばかりだな…。
数分後、店に客が入ってきた。その客が座ると、例の自動カートがその人のところに飯を運んできた。はああ?!何それ?!「俺にもちょうだいよ!」自動カートも店員も俺を無視。結局いくら待ってもどうやって注文すればいいのか分からなくって、俺は店を出た。
道行く人をよそ目に、俺は目的のない道を歩いた。どこに向かったって、この現状が変わるわけないし。そもそも他の人と会話も出来ないんじゃあ、帰る方法を探すこともできねぇ。「詰んでんなぁ…」俺は道の脇に腰をかけた。最初こそワクワクしてたけど、今はそんなにしてない。まず、不安がおっきくなってきた。次に、腹が減りすぎて元気がない。こんなんで俺どうなっちまうんだよ…。
ボーッとしながら通行人を眺める。相変わらず同じペースで歩く人たちが、俺の前を横切っていく。観察をしてて、またわかったことがある。まず、圧倒的に男が多い。女が歩いてるのも時々見たけど、9割が男。そして、小さい子供と老人が一人もいない。見かけた中で、1番若くて高校生くらい、歳いっててもせいぜい40くらいだった。それらの理由はわかんねぇけど、とりあえずここの異世界(仮)は現実世界とは相当かけ離れてて、ぶっ飛んでるってことは分かった。
何分くらい経ったかな。俺がまた歩き始めようとした時、けたたましいサイレンが鳴り響いた。俺が慌てて音の方向を見ると、ロボットみてぇなやつがめっちゃこっちに来てた。え、これ完全に俺狙いじゃん。俺は全速力でロボット(仮)と反対方向に走った。舐めてもらっちゃ困るぜ、これでも俺は体力には自信があるんだ。…というか、あいつらそこまで速くねぇじゃん。あんなん子供でも逃げ切れるわ。つっても油断は禁物。俺は何度も角を曲がって、路地裏的な所に滑り込んだ。息を殺しながら、サイレンの音の方角を聞く。どうやら上手く巻けたみたいで、音は遠くに消えていった。
そもそもの話、ロボット(仮)が本当に俺を狙ってたかどうかはわかんねぇけど、でも完全に俺に向かって来てた風に見えたからとりあえず逃げた。もし違ってても、軽い運動をしたってことでいいし。一息ついて、俺は静かに通りに出てあいつらが行った方と反対方面に歩いた。そんで、周りの奴らと同じペースでまっすぐ向きながら歩いた。カモフラージュしねーとまたあいつらに見つかるかもだしな。
あの出来事のせいで、不安は増したが腹の減りはなんか治まった。心臓バクバクいってるし、汗もやばい。とにかく、俺は歩きながら考えた。あいつらが俺を狙った理由として考えられるのは、まぁ俺が侵入者だからっつーことだろうな。もしくは、他の奴らがまっすぐ歩いてんのに俺だけフラフラしてたから?なんならその両方かもな。つーことは、せめてこのカモフラージュを続けて、少しでもあいつらに見つかる確率を減らさねぇとヤバいかもってことだ。
何十分だか歩き続けると、団地みたいなところに来た。一本の道だったのが分岐して、各マンション(仮)に繋がってる。歩いてる人たちも道に沿って分かれて、それぞれの家(多分)に帰ってる。さて、どうしたものか…。家とかないし、どうせ入れな────────
───────幻覚かと思った。俺より5人分前にいた黒髪の男。そいつが右の道に逸れた瞬間、俺のよく知る顔が見えた。俺が恋焦がれてる、その綺麗な顔。…ダクラ。なぁ、お前ダクラだろ。
俺は衝動的に、後を追いかけた。「ダクラ…!」追いついて手を掴む。こいつが一瞬だけ歩く速度を緩めて、俺を見た。ダクラの青い目と俺の目が合った。…だがこいつはまた前を向き直し、元の速度で歩き始めた。俺も負けじと、手を掴んだまま並んで歩いた。「お前もこの世界に飛ばされたのか?ヴォルテや他の奴らは?いないのか?」返事はない。ただ、握ってるこいつの手が汗ばんできた。「なんで黙ってるんだよ?あっ、あのロボットみたいなやつらを警戒してんのか?分かった分かった、じゃあ俺も黙るから」心做しか、こいつの歩く速度が若干速くなった気がする。手汗もすごいなぁ。恥ずかしがってんのか?おうおう、可愛いなぁ!
とりあえず俺はこいつについて行って、部屋に着いたら色々話し合おうと思った。…話し合えると、思ってた。