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見るの遅くなった!!! うわー!!すんごい苦戦して必死に戦ってるアズと怜めちゃくちゃ良い!✨ どうやったらこんな緊迫した感じ出せるんだぁぁぁ とても良きな小説でした、、、!!!久々に見れて最高!!
戦闘パロ
アズメイン
「ここが黒美に言われた場所か」
そう呟いては動いていた足を止める
実は数時間前に黒美から「一人の他人類が暴れてるから止めて欲しい、止めれないようであれば殺してしまってもいい」そう言われて訪れた古臭い館
何でも、能力暴走でもなく本当に自分の意思で行っているという
そんなやばい奴がこの館にいると思うだけでも身の毛がよだつ
だが、こんな広い館の中から探し出すのは大変だ
そんな事を思っては館の中をゆっくりと歩く
しばらく歩いていると扉の向こうから微かに音が聞こえてくる
羽が上下し風を切る音、水が滴る音、重い何かが上に乗り木が軋む音
アズは生まれつき耳がいい、その上ホルスの能力が重なり更に聴力が研ぎ澄まされた
全ての音の情報がアズの耳に入る
黒美が言っていた奴はここにいる
そう直感的に思った
黒美は俺が行く時に「相当強いから気をつけて、世界政府からの最高級の贈り物らしいから」
そう言って送り出した、世界政府からの最高級の贈り物は果たしてどれだけの強さなのか
唾をぐっと飲み込む
ゆっくりと扉に手をかけては横へとスライドして行く
その扉の中を覗き込んだアズの目にはまるで目をつぶりたくなるような光景が広がっていた
木が軋む音は橋の上に他人類、人類関係なく転がっている死体が何体も重なったからによるもの
水が滴っていると思っていた音は死体から零れた大量の血液
唯一正解した音といえば、羽が上下し風を切る音ぐらいだった
相手はまるで天使のような見た目をしており複数の死体を大事そうに抱えては壁に立てかけていた
鉛のような匂い、吐き気を催す不快な匂い
そんな匂いに自身の生まれ育った街、廃ニュータウンが記憶に蘇る
たくさんの堕天児が落とされ潰れ死んでいく
あの頃の光景がどうしても今の光景と重ねてしまう
そんな立ち尽くしたままの自分に相手はゆっくりと振り返って顔を見る
「あれぇ?こんな所に小さい男の子がいる…その耳、ホルスの子かな?」
こちらが何も話していないのに相手はべらべらと話す
「ねぇ、君、名前は?」
そう問いかけてくる無邪気な様子に逆に鳥肌が立つ
溢れ出す強者の笑顔が目を貼り付けられたようにに逸らす事が出来ない
だがそれでも絞り出すようにして声を出す
「まずは自分から名乗るってのが礼儀じゃねぇのか」
すると相手はパンッと手を合わせその手を顔の横にやっては幼い子供のように話し出す
「あぁ!そうだったね!俺の名前は茉白、良かったら仲良くしてね?」
誰が仲良くするものかと心の中で思ってはこちらも名乗る
「俺はアズ、悪いけど俺はお前の事を倒しに来たんだよな…だから仲良くできそうにないな」
そう告げると相手は残念そうに眉を下げる
そっかぁ…とため息をついたかと思うと次はえ!と目を丸くして俺の名前を何度も小さく呼び直す
「アズ…アズ…あぁ!アズくんってあの世界政府に逆らってるって言う子達の一人か!」
「そりゃぁ俺の事を倒しにくる訳だ!だって人が殺されるのが嫌で人類と他人類の共存を願ってるんだよね!」
「あと他にも三人ぐらいいたよね…?えぇっと…紗知ちゃんと怜くん…あともう一人の子が分かんないんだよねぇ、世界政府でもシッポさえ掴めてないんだから相当凄い子なんだろうね!」
「いやぁ感動しちゃうなぁ!そんなちっぽけな存在が世界政府に敵おうとしているなんて!でもまずは俺を倒してからじゃないと話にならないよね!」
「君はホルスの子だよね多分!だったら火とか使えるのかな?いやぁそんな子と戦えるのは嬉しいなぁ!」
そう長々とこちらが話す隙を与えないかのように口を動かしている茉白をただただ見ている事しか出来なかった俺に喋りきった瞬間に一気に攻撃を仕掛けてきた
天使のように羽ばたいたかと思うと白い羽がまるで刃のように尖り俺目掛けて一直線で向かってくる
それを咄嗟に避けては相手の動きを止めようと自身の血液で相手を縛ろうとするも寸前の所で避けられてしまう
「うわぁ!凄い!!もしかしてその歯に能力…ヴァンパイアの能力も使えるの!!」
「喋ってる暇があったら俺の動きに集中したらどうなんだよ」
そう言っては茉白の羽を縛り上げるように自身の血液をまとわりつかせる
「おぉ!!凄いねぇ!でもそんなんじゃ駄目だよ!」
瞬きをしたその隙にバチッと血液が切れる音がした
茉白はその瞬間にこちらを振り向き、自身の羽をこちらに向かって振り下ろされた
それにすぐさま反応し後ろへと下がり体制を整えようと一度跪く
だがその瞬間に自身の細胞が悲鳴を上げたような痛みが全身を襲った
身体の至る所が裂け、血を流す
右腕は吹っ飛びどこかへと飛ばされた
かわせたと思っていたのに食らっていた、一度食らっただけでこの威力
幸いにも今夜は満月のため身体の再生は早い
全身の血液を再生箇所に寄せ集め少しずつだが再生する
「あれぇ?まだ動けるんだ、ていうか再生してない?!すごぉい!どこを切ったら再生しなくなるんだろう…気になるなぁ!」
足はどうだろう?とかなんとか言いながら下を狙って羽で突き刺してくる
寸前で交わすもそれでも少し掠めたのか足に亀裂が入り、一瞬の隙ができてしまう
「あ!!ねぇねぇ!君のその腕の紋章って堕天児だけが付けられるやつだよね!君、廃ニュータウン出身でしょ!」
「俺分かるんだよね~、やっぱ世界政府から情報貰ってるからかな?廃ニュータウンってあの血生臭くて子供がた~くさん死んでる所でしょ!」
その瞬間に脳みそが真っ白になる感覚を覚えた
掬い手達が一生懸命に小さな命を救おうとそれぞれの道具を出し、堕天児は必死にもがき、生きる
それをお前はそんなに軽々しく言うのか?
これは怒りじゃない、怒りを通り越した何かだ
「それ以上喋んな、悪いけどお前には死んでも勝つからな」
「おぉ!怖い怖い…じゃあ本番はここからって所かな!よーし!じゃあ次は心臓、狙ってみよっか! 」
茉白の言葉なんて聞こえてはいなかった、それよりも殺意の方が高かったに違いない
敵うはずもない相手に真正面から行き、攻撃を繰り出す
どれだけ血を流そうが関係ない、ヴァンパイアなんだからその分血を飲めばいい
そう思っては相手が攻撃を繰り出しそれを交わした瞬間の少しの隙
それを狙い首を噛む
出来る限り多くの血を、自分の限界を越えろ
「いいねぇ!俺の血美味しい?良かったら感想聞きたいなぁ!」
血を飲み込む瞬間に身体全身がこの血を拒むのが分かった
この血は俺のよりも何十倍も濃い
飲んだら細胞が壊れるかもしれない、適合出来なくて死ぬかもしれない
それでも俺はこいつに勝つ
なんとか飲み込めた血は非常に不味く、身体全身が悲鳴を上げている
地面に膝まづいて吐血をする、だがその代わりに自身の全体的な能力などが上がるのが分かった
「ありゃぁ…やっぱり俺の血は合わなかったかぁ…でさ⋯」
そう次の言葉を発する前に茉白が苦しみ始める
それでもしゃがれた声で話しかけてくるのは流石に正気の沙汰じゃない
「ゲホッ” …凄いねぇ君!血液感染まで使えるの…!」
「は…何でお前毒効いてねぇんだ…」
一瞬吐血したかと思えばすぐに毒に適合した
なんでコイツはこんな強いんだ、分からない、けれど勝たないと、死んでもコイツに勝つ
「ごめんね、すぐに適用しちゃったみたい…」
それじゃあ次はこっちのターンだね!なんて言いながら心臓目掛けて飛んでくる茉白に僅かに残った力で避ける
なぜ動けているのか、それは正確には分からないがおそらく身体の中では既に能力暴走が起きているからだろう
これもコイツの血を飲んでなかったらもうとっくに勝負はついていただろう
あとどれぐらい戦えるか、せめて死ぬのなら相打ちで終わりたい
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「不味いね、アズの反応が消えかけてる、それに能力暴走も少し起こってるみたい」
黒美の能力の一つ、それはそれぞれに黒美の魔力でつけた紋章でその人の生死、能力暴走の確認などが分かる
「紗知は今、手が離せない…怜、位置情報共有するからアズの所向かって欲しい」
そう言っては無線で怜に連絡をする
「分かった、必ず連れて帰る」
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黒美に言われた場所まで急いで来たが怪しげな扉の中から凄く嫌な気配を感じる
そう感じたと同時に扉を開け放つ
そこには目を疑いたくなるような光景が広がっていた
アズが敵であろう相手に心臓を天使のような真っ白の羽で突き破られている
真っ白だったはずの羽はアズの血液によってどんどん赤く染められていく
「大正解だね!やっぱり心臓が弱点だったんだ!再生が出来てない…可哀想に…やっぱりアズくんじゃ俺には敵わないんだ!」
「すぐに楽にしてあげるから!でもその前に…新しい刺客が来たようだからちょっと待っててね!」
アズの胸には黒美によってつけられた紋章に風穴が空いていた
おそらく喉も潰されているのだろう、しゃがれた声で何かを喋ろうとしている
「大丈夫だ、後は俺に任せろ、お前はもう喋るな」
そう無線に入れては自身の刀の鞘を握る
「えぇ!何か君からもう一人…?もう一匹の気配感じるんだけど!君どっかに隠してるでしょ!」
そんな言葉を無視してはアズの元へと向かう
酷い有様だ、出血が止まっていない
肺が潰され、呼吸もまともに出来ていないみたいだ
今はただ再生を祈るしかない、それにプラスで自分に出来るのはコイツを倒すことだ
「えぇ~…無視…?悲しいなぁ…ってあれ?どこ行ったの?」
怜はいつの間にかどこかに消えており辺りを見渡す茉白にどこからともなく現れてきては刀を振り下ろす
「わぁすごいね!やっぱりもう一匹いるよね!狐かなぁ…?すごくいい香りがするんだよねぇ!その子と共闘なんて凄いよ!」
君の弱点はどこかなぁ?そう言っては飛び回る相手から一定の間合いを取っては追いかける
「その狐の面、特徴的だね…顔面狙ってみようか!」
大きな声でそう発してはくるっと方向を変え、羽で攻撃してくる
アズの容態を一瞬見に行った時に指文字で教えてくれた
どんな攻撃方法か、戦い方か、 そのお陰で反応が出来た、情報がなければ串刺しにされていたかもしれない
足に力を入れ、全力で切りつける
自身の刀の使い方は昔から足に負担がかかるような使い方だった
そのお陰で足は人並み外れた筋肉を持つようになり、今生きている
今日こそその持ち前の力を出し切る日と言っても過言ではないだろう
「俺ねぇ!茉白って言うんだ!君の名前は?」
名前なんて言うつもりはないと相手の言葉を無視し、相手を切りつける
「うわぁ~!君速いね!さっきのアズくんとはまた違った戦い方…え…?」
相手が言葉を言い切る前に自身の変化に気づいたのだろう
右腕がざっくりと切れ、地面に落ちている
相手には見えない速度で切りつけ、斬撃を食らわせる
だから足に負担がかかるんだ
「いったぁ…凄いね君!怜くん…だよね?いやぁ強いね!俺も本気出さないと!」
そう言ってから瞬きをする間もなく茉白は目の前に現れ、真っ白な羽で怜の身体を包み込む
茉白の武器である羽は一本一本が鋭い針のようなモノで出来ておりそんな羽がジワジワと怜の身体に突き刺さってくる
「あ~…流石にこの速さは反応出来なかったかぁ… まぁ!俺の勝ちって事で!じゃあすぐに楽にしてあげるから!」
そう言い切った途端に羽の力が強くなった
ブチッと筋肉が切れる音がしっかりと聞こえた
刀を握っていた手はしっかりと茉白に握られており動かせない
そしてもう片方の羽で怜の顔目掛けて飛んでくる
不味い、やられる、そう思い反射的に目を瞑ったがやられない
ゆっくりと目を開けると相手は困惑しているような表情で左側を見ていた
それに釣られて怜も左側を見る
そこには自身の残り少ない血液で茉白の動きを止めているアズがいた
これほどまでになっても動けているのはおそらく茉白の血液を飲んだんだろう
ヴァンパイアは自身より強い人の血液を飲めば飲むほど一定時間強くなる
「あれぇ?君まだ動けるんだ…もう再生する力も残ってないはずなのに…そっか、心臓が完全に潰れてなかったのかな…?」
「どちらにせよ致命傷なはずなのに…肺は潰れてるし、喉もやられてるよね?足は多分靭帯がもう機能しないだろうし…」
茉白が言葉を言い切った瞬間にバチッと物凄い音と共にアズが自身の手で縛るような動きをするとそれと連動して羽に巻き付かれていたアズの血液がしっかりと縛られ、茉白の羽が半分程切れたのが目に見て分かった
その隙を狙っては刀を握り相手の項を狙っては切りつけようと腕を振り上げる
勝てる、そう油断したのが行けなかった
茉白が半分しか残っていない羽で怜の刀を振り落とす
「あんまり俺を手間取らせないで欲しいなぁ…でも、もうこれで終わりだ⋯」
茉白が言葉を言い切る前に身体に変化が起きていた
全身の至る所が脆くなり、血を流している
そうだ、アズの能力だ
アズは血液感染という能力があり、自身の血液が付着した者は血液感染を起こす
これだけでも強力だが、それ以上に強い能力がある
それはアズの血液を飲む事だ、アズは相手の血液を飲むことで体内で相手の血液と自身の血液を調合して強力な毒を作り出す
相手が強力であればあるほどそれに比例して毒も強力になる
おそらく茉白はアズの血液を何らかのタイミングで飲み込んだのだろう
それが今なって影響し始め、あんな風になっていったのだろう
「は…なんで俺が…」
口から血を吐き、跪く茉白の羽は真っ赤に染まりまるで悪魔みたいだ
そのまま茉白は地面に倒れこみ、いずれあの減らず口だったのはもう何も喋らなくなった
これで黒美からの任務は果たせたはずだ
今すぐアズの元へと向かおうとするも、既に足の筋肉や、身体の至る所の筋肉は先程の攻撃によりだいぶと負傷したみたいだ
左耳は全く聞こえない、一体どこで攻撃を食らったのか
アズは一度こちらを向いたかと思うとおぼつかない足取りで歩き出しそのまま地面へと倒れてしまった
「アズ…!良かった、息はあるのか…」
ほっと息をつくと、紗知に無線を入れ、自身の上着をそっとアズにかけてやると壁にもたれかかりそこで意識は途絶えた
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「はぁ…無茶しすぎなんですよ、2人とも」
言われて訪れてみるも2人の容態は酷く、すぐに軽い手当をしてやる
「特にアズ…生きているのが奇跡ですね、勝手に死んだら許さないですからね本当に…」
ため息をついては、両手で2人を抱える
そのまま悲惨な状態になった部屋を後にし、古臭い館から出る
外では既に、館で亡くなった人のために手を合わせていたため沢山の石が置かれていた
そのまま黒美がいる元へと早足で向かっていった
オワリ
オリキャラが死なずに、ボロボロすぎる状態で頑張るっていうのが好きな人なんで結構みんな満身創痍です( ‘-‘ )