こんにちは!!
それではどうぞ!
地雷↪︎
昼下がりの教室。
風がカーテンを揺らし、光が机の上で踊っていた。
「なおきりさ〜ん、起きてる?」
明るい声とともに、ゆあんが机に顔を近づける。
「……ええ。起きてますよ、ゆあんくん」
「やっぱ寝てたじゃん!」
「少しだけ、です。……夢の中でも、騒がしかった気がしますが」
「は?俺そんなうるさい?」
「元気、という意味ですよ」
ふっと笑うなおきり。
その穏やかな声に、ゆあんの頬がわずかに熱くなる。
「ねぇ、なお兄ってさ」
「はい?」
「いつも落ち着いてるよな。焦った顔、見たことない」
「焦っても、状況は好転しませんから」
「……つまんないやつ」
「褒め言葉として受け取ります」
ゆあんは小さく笑って、
窓の外の空を見上げた。
「俺さ、昔から言いたいことを言っちゃうタイプなんだよ。
でも最近……なお兄の前だと、言葉が止まる時がある」
「……そうですか?」
「うん。なんか……“落ち着く”っていうか」
ゆあんの目が、まっすぐこちらを見る。
その無邪気な瞳に、なおきりは心臓を掴まれたように息を呑んだ。
「……それは、嬉しいですね」
「ほんと?」
「ええ。ただ……僕も、言葉を飲み込むことがあります」
「え?」
「“あなたに言えないこと”が、少しだけあって」
ゆあんがきょとんとする。
なおきりは視線を窓の外に逸らした。
(僕は、ゆあんくんが好きだ。
けれどこの気持ちを言葉にしたら、きっとこの時間は終わってしまう。)
沈黙の中、チャイムが鳴った。
「……行きましょうか。次、体育ですよ」
「うん……」
立ち上がるゆあんの手を、なおきりはそっと見つめる。
それだけで胸が痛くなるほど、強く惹かれていた。
放課後。
帰り際、昇降口でゆあんが振り返る。
「ねぇ、なおきりさん」
「はい?」
「……今日の夕焼け、すごい綺麗だったね」
「ええ。……まるで誰かの心みたいに」
ゆあんは笑って、手を振った。
「じゃあまた明日ね!」
「……はい。また明日」
その瞬間、なおきりの胸の奥で淡い青の光がきらめいた。
それが彼の心の色であり、“揺るがぬ想い”の証だった。
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