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オレとエースが同じベッドで寝た日からしばらく経った。
エースはあれ以来一緒に寝たいとねだる事はないのだが、たまに熱い視線を感じる。
けれど目を合わせようとすると必ずそっぽを向いてしまう。
耳まで真っ赤で、そそくさと逃げていく姿は初めて恋を知った初々しい少女のようで愛らしく思う反面、もどかしいと感じる自分もいるのだ。
話したいならいくらでも話してやれる。
褒めてほしいなら皆に見えないところでいくらでも褒めてやれる。
少しでも距離を詰めればいいのに、それすらも出来ないでいる。
(臆病なのは、お互い様だな)
自嘲気味に笑いながら小さくため息を吐く。
いつの間にかオレの中でエースの存在が大きくなっていることに驚きながらも、
今はただエースとのこの心地良い関係が続けばそれで良かった。
もちろん他の皆も、おやっさんのことも大好きで大事な家族だ。
でもエースとの関係はそんな家族との関係じゃなく、もっと他の何かでお互い惹かれ合っている。
だからこそその気持ちが何なのかを、知りたかった。
エースと話して、触れ合って、もっと、分かりたかった。
けれどオレの手は命を奪ってしまう。
お前に触れようと思うたびに、お前のあの美しい生命の火を絶やしてしまうのではないかと怖くて仕方がない。
だから今はまだこのままの関係でいさせて欲しい。
いつか訪れるであろう別れの時に、お前の隣にいるのは別の誰かであって欲しい。
オレではない、他の誰かであってくれ。
そう願うことしかできない。
オレは一人で生きていけるから、オレなんかに後腐れなく他のヤツと結ばれてほしい。
太陽は、沢山の人を魅了し、そして近付いた憐れな人間を焼き尽くしてしまう。
エースが燦々と輝く度にオレの瞳は焼けて、オレの心はドス黒い陰に包まれる。
頼むから、そんな幸せそうな瞳でオレを見ないでくれ。