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「っ!」
エラリスが地面に広がった水に手を当て、ニティアの落下地点へ水を集めようとするも、リヴァレーの力を全く借りられず、水が全然集まらない。
「ちっ!」
『なんだこれ……』
リヴァレー自身もうまく力を貸し出すことができずに困惑していた。頭上のリヴァレーをそのまま下ろし、急いでニティアの元へ駆け寄るエラリス。
「きゃぁ!」
ズザー……ドスっ
「っく!」
水のおかげで摩擦が軽減。ギリギリの所で滑り込みが成功し、ニティアを受け止めることができたエラリス。
「ご、ごめん!」
受け止められたとはいえ、衝撃によりダメージを受けるニティア。
「大丈夫……でも……」
2人がゆっくりと起き上がる。
「えぇ……術式が崩壊した……」
「私も……リヴァレーの魔力の波長を維持できない……」
明らかに何かをしでかしたアルドムリアの方を睨みつける2人。アルドムリアは不敵に笑っていた。
「いって〜……」
吹き飛ばされていたフィニスが起き上がる。
「すみません……突然回復がうまくできなくなってしまい……完治させることができませんでした」
フィニスが両手の剣をその場で軽く振りかざす。
「大丈夫だ。ありがとう」
回復をしてくれたアルテアに礼を言い、フィニスがその場で構える。
『そのまま大人しくしていてください』
優しい笑顔のアルドムリア。
『向こうへ行こうとしなければ……こちらからは手を出さぬ』
その前で盾を構え、槍を振り翳すバリルシウス。ジリジリと仲間の方へ移動するフィニスとアルテア。バリルシウスの言う通り、壁の向こうへ無理やり行こうとしなければ攻撃をする様子すら見られない。
「かと言って……このままステラのいる祭壇を無視するわけにもいかねーよな……」
『当然だ。魔女の魔力があればもしかしたらステラ様を呼び出されてしまうかもしれないからな』
構えを取るフィニスとルシオとは異なり、後ろにいるニティア達の表情は曇ったままだった。
術式を構築しようにも上手く構築できず、魔力を法力に変換しようにもうまく変換できず、精霊術を使用しようにも、魔力の波長をうまく変換できずにいたのだ。
「魔封じの魔法なんて受けていない……何なのこれ……」
「魔力は封じられてない。うまく使えなくなっているだけ……と言うわけでもなさそう」
弓を持つ手を開いては閉じを繰り返すエラリス。
「痺れてきてる……」
「私もだ……」
困惑しているニティアとエラリスとは裏腹に、落ち着いた表情で目を閉じて自分の身体の中を隅々まで確認するかのように集中しているアルテア。
「……」
毒や魔法による制限効果ならば自分が気付かないはずがない。それに、魔法耐性の無いフィニスや、自分たちとは異なり主に魔法を使わないルシオは平然としている。それを考慮した上で、更に自分の中を見つめていたアルテアがゆっくりと口を開く。
「呪い……ですね……」
アルテアの言葉に、アルドムリアが満足げな表情を浮かべる。
『あら……ずいぶんバレるのが早かったですね』
ゆっくりと目を開けるアルテア。
「呪いって灯喰病みたいな?でもだったら何でフィニスは……」
前回とは異なり、平然としているフィニスを見るニティア。
「普通の毒や、魔法による状態異常であれば……それこそ魔法耐性が全く無いフィニスさんが真っ先に症状が出るはずです……でも、この呪いは違います」
ぷるぷる震え出した手を見つめるアルテア。
「恐らく……私たち自身の魔力に悪さをするような……言わばウイルスのようなものなのでしょう……。微かに私の魔力の中に異様な魔力が混ざり込んでいるのが分かりました。そして恐ろしいのが……自分でも分からなくなるほど自然と自分の魔力が蝕まれています」
『ふふ……御名答です。感知できないほど希釈した私の魔力を散布してあなた方の体内へ忍び込ませました』
身体の自由が効かなくなり、真っ先に膝をつくニティア。
「ぐっ……!」
『魔力の高い者は餌(魔力)がたくさん……侵食の速度も速くなります。そのまま大人しくしていて……っ!』
ガキーン!
フィニスの刃がアルドムリアを襲うも、寸前のところでバリルシウスの盾で弾かれる。
「だったらさっさとてめぇをぶっ殺さねーといけねーってことだろ!」
『やらせるか』
『随分と激しい方なんですね……あの方が気に入っているのもそういう所なのでしょうか』
不敵に笑いながら、軽く後ろに飛び跳ねるアルドムリア。
「強力な呪い……恐らくコレを使っている間は他の魔法は使えないはずです……」
最後の力を振り絞り、単純で簡単な補助魔法をフィニスとルシオにかけるアルテア。身体の痺れが回ってきたのだろう、ニティア同様両膝を突いてしまった。
『確かに、この呪いは複雑なので同時にあまり複雑な魔法は使えませんが……これくらいならできますよ』
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アルドムリアが祈るようなポーズをとると同時に、バリルシウスの身体がうっすら光に覆われていく。
「私と同じ……補助魔法……」
『ですね♪』
わざとなのか、アルテアがフィニスたちに使ったものと同じ魔法を使うアルドムリア。
『無理をするな』
『アニタ様の為です』
視線を合わせず、短く会話をする魔族たち。
「フィニス。ちょっといいか」
「何だよ」
「悪いが俺も長く持ちそうに無い……。手がピリピリしてきやがった……」
冷や汗をかきながら敵から視線を外さずに構えているルシオ。
「あの盾の奴を真っ先に叩く。1発限りだ。見逃すなよ」
「……おう」
2人が武器を構え、ジリジリと間合いを取り始める。
『悪い……ボクももう限界だ……ステラ様を頼んだぞ……』
後ろでリヴァレーがそう言葉を発し、短い光と共に消える瞬間を合図とし、突進するルシオとフィニス。
ルシオの盾とバリルシウスの盾が互いに衝突する。
バキーン!
グググ……
お互いに押し合い、硬直する2人。フィニスが即座に飛び上がってバリルシウスの後ろへ回り込み、そのまま背中に襲いかかる。
『ふん!』
身体を回転させ、ルシオの盾をいなすと同時に、今度はフィニスの攻撃を盾で受け止めるバリルシウス。
「見た目とは違って随分身軽なんだな!」
そのまま盾ごとバリルシウスを蹴り飛ばすも、わずか半歩ほど後ろに下がる程度。
『軽いな』
槍をフィニス目掛けて突き刺そうと、下がった足を踏み込み、槍を振り抜いた瞬間……
ガキン!
横で盾を地面についてよろけていたルシオの槍がバリルシウスの槍を弾く。
「その槍から放たれる光弾……追尾するんだろ?撃たせるかよ!」
『ちぃ!』
槍を弾かれ、上体を逸らしたバリルシウス。露わになった胸元のコアを狙い、フィニスの刃が襲いかかった。
コメント
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うわっ、第109話の「蝕む魔力」、めちゃくちゃアツかったわ…! アルドムリアの呪いが魔力使用者だけを蝕むって設定、そしてアルテアが自力で見破るシーンがかっこよすぎる。 しかも最後のフィニスとルシオの連携、あの一瞬の隙を突く攻撃、痺れた! 戦闘の解像度が高くて、読んでて手に汗握った🔥 次の展開が気になる…!