TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

阿部ちゃんが何かを言おうとして、口をつぐんだ。

俺はそれが気に入らなくて、つい、強く言ってしまった。



🖤「なに?言いたいことあるなら言ってよ」



それスノの収録後の楽屋で、俺と阿部ちゃんは不穏な空気感に包まれていた。



みんなが一斉にこっちを見たのがわかる。



でも俺は止まらなかった。



🖤「阿部ちゃんっていっつもそう。なんで言いたいことがあるのに我慢するの。何を考えてるのかわからないよ。俺はどうしてあげたらいいの?」


💚「…………やめてよ、こんな場所で」



阿部ちゃんは俺の質問には答えずに、それだけ言うと荷物をまとめて帰ろうとしている。



俺は阿部ちゃんの腕を掴んだ。



🖤「帰さない。ちゃんと話し合いたい」


💚「めめにそんなこと言われたくない」


🖤「俺が、なに?」


💚「めめにだって俺に言いたいことがあるでしょ」


🖤「なんのこと?」


💚「俺ばっかり悪いみたいな言い方しないで」



4月期のドラマ出演が決まった阿部ちゃん。

頭のいい役はいつも通りだけど、今回は今までよりも少し人間の心理に入り込んだ、複雑な役みたい。俺も放送を楽しみにしているから、詳しい内容は聞いてないけど。


とにかくその撮影がぼちぼち始まって阿部ちゃんはここのところ宣伝やらインタビューやらで忙しそうにしている。 台本が届き、読みながら考え込み、一緒にいても悩んでるなあと思う瞬間が増えた。そしてとにかく忙しく働いている。


この間たまたま本屋に寄ったら、阿部ちゃんがあちこちの雑誌で表紙を飾っていた。もちろん俺は全部買ってお持ち帰りした。



阿部ちゃんはこれまで、俺が忙しくしていると気に掛けて色々と優しくしてくれていた。



今回はそんな阿部ちゃんに恩返しできる絶好の機会だと思って、とにかく阿部ちゃんの力になりたくてあれやこれやと先回りして世話を焼いていたんだけど。



💚「めめにそんなことまで頼んでない」


💚「やめて、ほっといて」


💚「もう、俺のことに構わないで」



と、こんな感じの発言がだんだん増えて、それでも疲れてるからだろうな、ストレスが溜まってるんだろうなと思って我慢して一緒にいたらとうとう、



💚「もうしばらく二人で会いたくない」



と言われてしまい、現在に至る。



ほかで会える保証が今はないから、グループ仕事で久しぶりに阿部ちゃんと会えるのが嬉しくて、こっちは朝からそわそわしていたのに、阿部ちゃんは終始塩対応で、俺の方をあまり見てもくれなかった。



しょっぴーには喧嘩でもしてるのかと心配されるし、岩本くんにはまた俺が何かしたんだろうと責められた。



でも本当に身に覚えがない。



俺は阿部ちゃんのために誠心誠意、心も時間も割いて来たし、なるべく居心地がいい環境を作って来たつもりだった。



俺は訳が分からなかった。



💚「とにかく、今はめめといたくない」



阿部ちゃんは俺にそれだけ言うと、お疲れ様でした、と短くみんなに挨拶をして振り返らずにさっさと帰って行ってしまった。




つづく

→第2話 michiruさん

【リレー小説】自分よりも気になるあなた

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

145

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚