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_子供のような泣き顔__🥀𓈒 𓏸
男に案内されたダレイはソファに座る
そのまま男も対面で席に座るとダレイに質問をした
「紅茶と珈琲どちらが好み?」
「どちらでも結構です」
「ふふっ、遠慮をしなくていいのに…では紅茶を用意しよう」
男の言葉に背後に立っていた男の1人が動き出す。
そのまま紅茶をすぐに持ってくると暖かい紅茶が差し出された
「召し上がれ!僕の好きな茶葉だよ」
「…ありがとうございます。」
あまりにもフレンドリー過ぎる対応に戸惑いながらもダレイは紅茶を1口飲む
「こちらの紹介が遅れてしまって申し訳ない。僕はシロエ・ルーシー。シロエで構わないよ」
マグカップの紅茶を優雅に飲みながら自己紹介をするシロエ
とても若そうな見た目だ本当に社長なのか怪しいレベルで。
「シロエさん、俺に何の用ですか?」
「ふむ……賢そうな顔立ちだね。それに、鍛えてるのかい?」
初っ端から全く話が合わない…ある意味1番扱いずらいタイプだろう
ダレイの容姿に興味津々の白髪の男は目を輝かせながらダレイの質問を待つ
「……鍛えてはいますが…」
「うちの部下たちはみんな細身でね〜…何せマイク君の作り出した小包の力だけを頼って、誰も鍛えはしないからね〜」
背後にいた細身の男たちが若干オロオロしているように見えた
そんな様子に気付かず、シロエは話を続ける
「君の職場は調査済みだよ…同じ刑事なんだってね?頼れる仲間が増えるのは嬉しい限りだよ」
「マイクについて、何か知ってることはありますか?」
早速本題に入ったタイミングでダレイが初めて質問をする番が来た
シロエは少し考えながらすぐに答えてくれた
「マイクくんが初めて僕と会った時のこと覚えてるよ、猛獣のような目だった とても刑事とは無縁の目だ。ただ奥底ではなにかに脅えているようでね、ほっておけなかった」
思い出すように出来事を語る目はどこか嬉しそうに見える
少なからず話してる内容とは場違いの顔だ
「一体何に怯えていたんですか?」
ダレイが質問すると、その答えだけ、初めてシロエが真剣に答えてるように見えたのだ
「人を殺していた過去の自分に じゃないかな?」
殺していた…考えはしていたが本当にそうしていたとは…
何かの感情をグッと抑え、ダレイは冷静に話を続けた
「……やはりグリード団ですか?」
「そこまで知ってたのかい?そうだね。グリード団はマイク君の過去に関係した我々の敵だ 彼らの事件は全てこちらで対応しているよ」
「何故こちらの部署にグリード団の存在が知らされていないのですか?」
「強すぎるからだよ…一般の人間なんかが奴らと真っ正面で勝負すれば小包の力で死んでしまう」
そういう事だったのか
しかしそれでも奴らを止められないのは,奴らが強すぎるからなのか、はたまた…
(マイクを奴らから引き離すには…まずは奴らの居所を調べなければならない)
「マイクのディスクに行くといいよ!僕が案内しよう」
「…っ!?」
「ふふっ……顔に出ていたよ」
手遅れだが、この男には近寄っては行けない気がした
「えっ……ダ…レイさん…??」
「やぁ〜エイデンくん!数年ぶりに会ったね!君の上司は元気かい??」
先程の場所に戻ると、驚きを隠せない顔でダレイとその後ろで無邪気に手を振るシロエを見つめている
オリビアも手を添えながら驚いた顔をしている
「ダレイさんは交友関係を繋げるのが上手いようですね」
「そんなことは無いんだが…」
「交友…僕が?」
「そんな事よりマイクの使っていたディスクを見たい。案内してくれるか?エイデン」
ダレイの言葉に慌てて反応したエイデンは肩苦しい姿のまま歩き出し、その後ろを3人で着いて行った
ディスクに着くと、ダレイは一切の遠慮もせずに資料やファイルを取り出し、広げ始める
「わぁー大胆!」
「なにか見つかりそうですか?」
ペラペラと資料をめくっていると、古く使い込まれた紙が落ちた
拾い上げて見てみると、バーテンダーについて細かくメモがされまくったものだったのだ
ダレイにはそれが勉強したと言うより…誰かに教えて書いたようなものに見えたのだ
「シロエさん、彼がバーテンダーをしていた話はご存知でしたか?」
「マイクくんが?勿論だよ、彼は弟子入りしててね、何度かそのBARにもお邪魔していたものだよ」
「……そのBAR…何処にあるか分かりますか……?」
人里離れた山の方には、古びたお洒落なお店があった
人の気配は無く虫の鳴き声と春風の暖かい風が吹いていてい心地がいいこの場所に、1台の車が止まっていた
車から降りてきた男は店の前まで歩むとまだ営業をしてない扉を2回ノックした
暫くして、重たい音が響くと同時に、真面目で怖そうなおじさんが姿を現した
目の前の男を凝視しながら髭の生えた口を開く
「ご要件は…?」
男はじっとおじさんを見つめながら
胸元から手帳を取り出す。
「刑事のダレイです…マイクの師匠さんは貴方ですね?」
店内に招かれたダレイは、おじさんが席を外している間店内の様子をそっと観察した
BARと言うより、カフェに近い内装は、古くて高そうなカクテルが綺麗に並べられていた
外でも気軽に飲めるらしく、外の机には猫が欠伸をしながら眠りにつこうとしている
机に珈琲が置かれるとダレイはおじさんに向き直った
しかしおじさんは席に着くと、何も言わずに自分の持ってきた珈琲を口に運んでいる
ダレイも珈琲の入ったコップを口元に運ぶ
ほろ苦い珈琲はなんだか懐かしい味がした
「……マイクの珈琲と同じ味がします」
ダレイが呟くとおじさんは初めて席に着いてからダレイと目を合わせた
「……そうか、同じ珈琲を入れていたのか」
コップを置くと、おじさんはダレイをじっと見つめた
「……聞きたいことがあるからきたんだろう?なんだ?」
ダレイはこれまであった出来事を全て説明した。
おじさんは初めから最後まで同じ顔で黙って話を聞いていた
「……そうか…グリード団か…しつこい奴らだ」
「マイクはなぜアイツらと関わっていたんですか?」
「簡単な話だ…マイクは幼くして母親を亡くした…その数年後、父親も…だ、しかも父親は冤罪で殺された」
「……っ!?」
「可哀想な子供だ…グレード団はマイクが作り出した。同じ憎しみを抱えた人間を集めて…頭の良かったマイクは奴らに力を与えた」
おじさんは更に話を続けた
「あやつと出会ったのは、夜道から帰ってる最中だったのを覚えている。酷く憎しみの籠った目をしていた…ワシは初めてこの子供に殺されるのだと思ったが…あやつはワシを見るなり泣き出した」
真っ暗な夜の道
綺麗な街灯が照らしていたのは中年くらいの痩せた男と、汚れきった服を着ていた少年
少年の目の奥は真っ暗だった
獲物を狙ったクマのように男を目視している
あまりの迫力に冷や汗をかく男はそっと後退りをした
「……」
雪が降り始める……同時ぐらいのタイミングで少年の目から雫が流れた
「……ック…ウッ…ッ」
涙にハッと我に返った男は後退りした足を前に突き出し少年にゆっくり近付いた
「お、おい…大丈夫か?」
しかし一向に泣き止まない
その顔は先程とは全く別の、まだまだ小さな子供のような泣き顔だった
少し考えた男はゆっくり、少年を抱きしめ、静かに背中を撫でる
冷たすぎる少年の体は暖かい男の体温を奪っていくにもかかわらず、男はさらに力を込めて抱き続けた
「あやつがBARを開くって聞いた時は、驚いたが…否定はしなかった。教えることだけ教えると、すぐに資格を取り、頭を下げてここから出ていった。既にグリード団は辞めていた」
「……そうだったんですね…」
ダレイが静かに言葉を返すと,それ以上は何も言えなかった
しかしおじさんは険悪な目をし、憎しみの籠った声で話した
「グリード団はあやつの力だけが目当てだ。あんな所マイクの居場所などでは無い!!」
「……勿論です。必ずマイクは俺が助けます」
そう告げると、おじさんは紙をダレイに渡した
そこにはかつてマイクが書いていたであろうグリード団の基地と仲間の情報が細かく記されていた
重要な情報だ
「一目見て分かる。あんたは信用できる人間だ」
ダレイが言葉に驚きながらおじさんを見ると、彼は優しく微笑んでいた
「彼を救い出してくれ」