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お風呂を出ると、広げたバスタオルで全身がふわりと包み込まれた。
「えっとあの、自分で拭けますから、い、いいです……」
照れくささにバスタオルの端っこを掴んで、ちっちゃな声で訴えると、
「拭いてあげたいんだ、私が」
濡れた髪に柔らかなタオルが被せられて、水気を拭き取るように優しくぽんぽんと叩かれた。
男の人に身体を拭いてもらったことなんてなくて、恥じらいがつのり身を縮こませる。
「そんなに身体を丸めたら拭きにくいだろう? 大人しく立っておいで」
まるで子どもに言い聞かせるようにも言われて、
「は、はい」と、小さく頷くと、
「いい子だ」と、手の平で愛おしげに頭が撫でられた。
下着だけを身に着けて、厚手の毛布の中に二人で潜り込んだ──。
人肌の温かさを感じつつ向かい合わせで見つめ合うと、彼からは私とおんなじボディーソープの匂いがして、同じものを使ったのだから当たり前なのだけれど、そんな日常を大好きな人と共有できることが、ただ無性に嬉しく思えた。
爽やかなボディーソープの匂いに引かれるように、彼の胸に顔をうずめる。
「抱きしめて寝てもいいかい?」
尋ねられ、無言でこくっと頷くと、背中がブランケットにくるまれ身体ごとぎゅっと抱き寄せられた。
「おやすみ。いい夢を」
「はい、あなたの夢を見ますね」
「私の夢をか。では、夢の中でも一緒にいられるな」
ちゅっ……と、鼻の頭にキスをされる。
「くすぐったいです」
「私にも、おやすみのキスをくれるかな」
彼に応えて、鼻先にそっと唇を寄せる。
「夢でも、ずっと一緒ですね。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
低く甘い声が返ると、彼のあたたかな体温に抱かれ、私は安らかな思いで眠りに落ちた……。