何で分かんね〜の

1日の仕事が終わり、それぞれ帰る。父親と喧嘩した後の日は、1日「いつもの深澤辰哉」でいて、帰る頃にはぐったりしている。

もちろん、そんな姿は見せない。

ただよく見てると、そういう日は、ゆっくりしている。

というか、ノロノロしている。

家族に反対されていることはそれほど力を使うし気力が持っていかれる。

岩本ーふっか、飯食いに行くか？

深澤ーん。

岩本ーもう、皆んないないから、いつも通りでいいけど？

深澤ーもう、力残ってねぇ〜。

岩本ー今日も1日ご苦労さん。

深澤ーん。

岩本ー飯、うち来るか？

深澤ー作ってくれるの？

岩本ー任せろ。

2人は岩本の家に帰って来た。

ソファに倒れ込む深澤。

見下ろして、ため息を吐き、岩本は深澤にキスをする。

両腕を岩本に絡ませ、深いキスをせがむ。

岩本ー飯作るから。

深澤ーん。

そこへ、電話がかかってくる。

深澤ーはい。

渡辺ー今日は調子悪そうだったから。

深澤ーナベは誤魔化せないなぁ。

渡辺ーまた親父さん？

深澤ーん。

渡辺ー照の家にいるんだろ？

深澤ーん。

渡辺ー慰めてもらえ。

深澤ー今日は何もする気しない。

渡辺ー目黒も心配してる。

深澤ーあ〜お前、目黒んち？

渡辺ーあぁ。

深澤ー今日、元気なかったの、分かったのってナベだけ？

渡辺ーん。

深澤ーよく分かるな、隠してるつもりなのに。

渡辺ー照と俺くらいだ、分かるの。

深澤ー気使わせちゃった？

渡辺ーいや、いつものことだと思って放っておいた。飯だけしっかり食べろって言っておこうと思って。

深澤ーありがと、照が美味しいの作ってくれるから大丈夫だ。

渡辺ーじゃあまたな。

悪友の渡辺は誤魔化せなかった。

でも、心配して電話くれるからありがたい。

気にしない風を装いながら、ちゃんと連絡くれる。

岩本ー翔太？

深澤ーん、しっかり食べろって。

岩本ー分かっちゃうんだな。

深澤ーナベには分かる、今目黒んちらしい。目黒にも、心配させちゃった。

岩本が近づいてくる。

抱きついて、大きく息を吐く。

こんなに甘えるのは、いつぶりだろう？

定期的にやってくる落ち込み。

早く、いつもの深澤が見たいところだ。