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管理局に異常が発生し、多くの悪魔や魔獣が天界に攻め込んできてしまった。琳寧自身も魔獣に襲われたが、正体不明の誰かのおかげで助かった。
そしてイザナギと凛音が管理局に到着した。
「これは一体…何が起きたんだ?」
謎の声が消えてから、次はよく聞く声が聞こえた。イザナギさんだ。
「イザナギさん。それに凛音もー」
と言いかける私に、凛音は飛びついてきた。
「無事でよかった…心配したんだぞ…」
心底安心したような声で言う。
「…ん?琳寧、髪どうしたんだ?」
「髪?」
凛音が気にしているのは後ろの方の髪だろうか。今の私の髪はあまり手入れがされていないため、肩甲骨あたりまで伸びている。…はずだった。
自分自身で見るために、凛音が気にする部分を摘んだ。そのまま顔の前まで持ってこようと思ったが、届かなかった。
「あれ?もしかして…短くなってる?」
今までを思い出す。いつ切ったのだろうか。
…あ!さっきの魔獣との戦いで、自分自身で切ったんだった。だから今は肩につくくらいの長さになっている。それを凛音に伝えた。
凛音は魔獣の死体を睨んでから舌打ちをして、何かを呟いていた。怒りすぎだって…。
私たちがそんな会話をしている間、イザナギさんは魔獣の死体を観察していた。
「ねぇ琳寧ちゃん、この2体だけ傷口が違うんだけど、もしかしてこれ…」
と言われた。その2体は私が倒した魔獣だ。もしかして私、やっちゃいけない事をやってしまったのかな?それなら自主したほうがいい。
「ごめんなさい。私が倒しました…」
そう言うと、イザナギさんは何も言わずにその魔獣に触れた。すると、触れたところから黒い粉となって崩れていった。
「なるほど。…今更だけど、怪我はないかい?」
「私はなんとも…あ!それよりも四聖獣のみんながまだ中に…!」
四聖獣のみんなは大丈夫なのかな。私を逃そうと戦ってくれたみんな…無事だといいけど…
「彼らなら心配いらないよ。ほら」
と言ってイザナギさんは管理局の入り口を指差した。すると、その中から4人の人影が見えた。
「みんな…!!」
私は四聖獣たちの元へ駆け寄る。
「ご無事でしたか?琳寧様」
青嵐が心配してくれた。
「私は全然平気だけど、みんなは?」
「あたしたちも大丈夫!誰も怪我してないよ〜」
「怪我してもかすり傷くらいだし、それなら僕が治せるからね」
「魔獣が相手ならよゆーで勝てますよ!」
みんな元気そうで安心した。
「ね?彼らに心配なんて要らなかったでしょ?」
イザナギさんが声をかける。
「はい。みんなすごく強くて、頼もしいですね」
それを聞いたイザナギさんは微笑む。
「琳寧ちゃんが彼らと仲良くなれてよかったよ」
いや俺あんまり四聖獣と関わってないし、あの輪の中にはそう簡単に入れねーよ。
ひとまず、する事がないので魔獣の観察でもしようかな。
さっきイザナギも言った通り、この2体は死に方が違う。こめかみに深い傷があるやつと、脳天を割られたやつ。見た感じ、斧でやられたっぽいな。 これを琳寧が1人で…。え、あいつ強くね?
それ以外の奴らは、全員きれいに頭に穴が開いている。穴の周りに火傷の跡があることから、恐らく火の玉でも当たったんだろう。それもかなり深くまで届いている。隕石でも降ったのか?
……『隕石』か…。
凛音くんが魔獣の観察をしている。まぁ四聖獣との絡みはないし、琳寧ちゃんの会話も邪魔できないんだろうな〜。仕方ない。この優しいイザナギお兄さんが声をかけてあげよう!
そう思って声をかけようとした時、視界の端で何かが動いた。あれは…死体だ。
琳寧ちゃんを襲った魔獣の死体が粘土のようになって動いている。それぞれが一つの死体に群がり、やがて一つにまとまった。それが行われたのは0.1秒もなかったと思う。一瞬のうちに巨大な“バケモノ”になった。
その魔獣の視線の先は……凛音くんだ。でも凛音くんは気付いていない。
「凛音くー」
凛音くんに危機を伝えようと叫んだ。しかし、言っている途中で
ただそこにあるのは魔獣特有の青黒い血の飛沫と血溜まりのみ。まるで肉塊も残らないほどの強力な圧力を受けたかのようだ。
「んあ?どうした?」
何事もなかったかのように、彼は振り返った。
「うえ、汚ねぇんだけど。何これ」
自身の体に飛んだ血飛沫を見てそう言う。
「ねぇ、なに、今の…」
「すごく臭い…気分が悪くなりそうなんだけど」
四聖獣たちも混乱している。これは早急に帰らせたほうがいいな。
私は近くにいた兵士に簡単に指示を出して、私がいなくても後処理を進められるようにした。
「さて…琳寧ちゃんたち、私の肩に手を置いて、目を閉じてね」
「はい…?」
今日は大きすぎるトラブルが起きた。しかも被害者が天界に来たばかりの人間の少女だとは。そんな子がこのトラブルに遭って平気な訳がない。それに管理局でのトラブルなんてそう起きるものじゃない。それに魔獣の死に方といい、さっきのバケモノといい、管理局内部の状況といい、調べなければならない事が多すぎる。家に帰って休んでから、順番に解決していこうか。
イザナギさんの言う通り、イザナギさんの肩に手を置いて目を閉じた。すると、周りが温かくなったように感じた。
「もう開けていーよー」
目を開けると、そこはイザナギさんの家…私の家の玄関の中だった。
「空間の神力を操れるとは…流石です。イザナギ様」
青嵐がイザナギさんを讃える。「くうかんのしんりき」?なんだろう。
「今日は色々ありすぎたから、みんなもう休んでいいよ〜。というか、今日のところは外出禁止ね。絶対休むことを優先して!解散!!」
四聖獣のみんなは「わかりました」と一礼して、この場をあとにした。体調が悪そうだけど、大丈夫かな…?
「琳寧ちゃんたち、ちょっといいかい?」
イザナギさんに呼び止められた。
「今回の件、本当に申し訳ないと思っている。もしもの事を想定しておくべきだった」
イザナギさんは私たちに全力で謝る。こんな時、なんて声をかければいいんだろう。
「…まぁ過ぎた事にとやかく言ったって無駄だろ。琳寧は無事だった、って結果があれば十分じゃね?琳寧、今日の事、どう思った?」
凛音は本当に気が利く。いい具合に話を振ってくれた。
「確かに怖くはあったけど…少なくとも、今日のことがイザナギさんのせいという事ではないと思います。そんなに気を負わないでください」
そう言うと、イザナギさんは少し元気を取り戻した。
「君たちの寛大な心に感謝するよ」
「あ、そうだ!君たち、お風呂に入っておいでよ!」
臭いという意味ではないと付け足しながら、入浴を勧める。
「お風呂はリラックスできるし、2人とも汚れているからね。着替えとかはこっちで準備するつもりだけど、どうだい?」
「風呂か…いいな。琳寧、いこーぜ!」
凛音も乗り気の様子。だったらお言葉に甘えるしかない。
天使さんに案内されて、すごく広い浴室に来た。
今までは水を体にかけて拭くだけだったから、お風呂に入るのは初めてだった。だから最初は少し落ち着かなかったけど、ゆっくりと湯船に浸かった。暖かくて気持ちいいし、広いから十分にリラックスする事ができた。
お風呂から上がると、すでに着替えが置いてあった。今までは古着を使い回して使っていたからボロボロな服を着ていたけど、キズどころか汚れ一つない。それに軽いけどしっかりしている。これ多分…いい服ってやつだよね?
初めて着る服だったから、着るのに苦戦していた。それを見ていた天使さんが手伝ってくれて、着れた後には似合っていると言ってくれた。ここのヒトはみんないいヒトだから、私も安心して生活する事ができる。
「イザナギ様が琳寧様との会話を望んでおられます。こちらの部屋に来て話したいとのことです。よろしいですか?」
凛音も入浴を済ませて自室にいたとき、部屋の廊下から天使さんが伝えてくれた。
「はい、大丈夫ですよ」
そう答えたのとほとんど同時に、部屋の扉が開いた。
「お邪魔するね〜」
…いや確かにいいとは言ったけど!元々入る気満々だったらしい。
「さて琳寧ちゃん、今から大事な話をするね」
イザナギさんは真面目な顔でそう言った。