テラーノベル
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「ねえ、ゆみり。うつし鏡様って知ってる?」
昼休み、莉奈ちゃんが学校の怪談話を聞かせてくれる。最近ハマっているらしい。私は聞いたことがなくて首を傾げた。
「六年一組の前に女子トイレがあるでしょ。真ん中の鏡にね、うつし鏡様お願いしますって呟くの。そしたら未来をうつし出してくれるんだって~!」
「嘘に決まってんじゃん!」
会話を近くで聞いていた須賀くんが笑う。莉奈ちゃんがムッとして「うるさい!」って怒ったけど、須賀くんは嬉しそう。相変わらずふたりは仲がいい。
でも須賀くんの言うとおり、私も嘘だと思う。学校の怪談話は作り話が多いし、未来なんてわかるはずないよ。
放課後、先生にチョークの補充を頼まれて取りに行っていたら、遅くなっちゃった。
近くのトイレで手を洗って、髪を鏡の前で整える。明日は席替えだから、そわそわしちゃう。井口くんと隣の席になれたらいいな。でも須賀くんは莉奈ちゃんのことが好きだから……と考えて胸がちょっと痛くなる。
ふと昼休みに莉奈ちゃんが言っていたことを思い出した。ちょうどここは、その女子トイレだ。しかも、私が立っているのは真ん中の鏡の前。
「うつし鏡様お願いします、だっけ」
好奇心で呟いてみる。明日の席替えの結果が見えるわけないか。
『うつし鏡様お願いします』
「え⁉︎」
声が聞こえてきて慌てて周囲を見回す。だけど誰もいない。鏡に視線を戻すと、違和感に気づいた。
鏡の中の私が微笑んで手を振っている。
『これで移してもらえる』
どうして鏡の中の私が話しているの? ぞわりと恐怖を覚えて一歩下がろうとすると、鏡から腕が伸びてくる。
「きゃあ!」
鏡の中に吸い込まれて、気づけば薄暗い不思議な空間にいた。長方形の窓のようなものだけが宙に浮いている。
「なに、ここ」
向こう側には、〝私〟が立っていた。
『ここから出してくれてありがとう』
「なにを言っているの? あなたは誰なの⁉︎」
『大丈夫。きっと次の子がすぐにくるよ』
〝私〟がニコッと笑って手を振って去っていく。
「待って! ここから出して!」
叫んでも誰にも届かなかった。……私は鏡の中に閉じ込められたんだ。
*
鏡の前に立つ、あの子を眺めながら私はあえて口を閉ざす。
「うつし鏡様お願いします」
ああ、これでやっと私もここから移してもらえる。
『うつし鏡様お願いします』
ありがとう、莉奈ちゃん。
にっこりと微笑んで、私は手を伸ばした。
#鳴海弦
マリン.
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#ロブロックス
コメント
1件
おお、第4話読んだよ!「うつし鏡様」って学校の怪談から始まって、まさか自分が鏡に閉じ込められる側になるとは…最後の「ありがとう、莉奈ちゃん」の一文がめっちゃ不気味だったわ。鏡の中の自分が入れ替わるって発想、古典的だけどちゃんと怖い。あのニッコリ笑顔がすごく冷たい感じで刺さった🔥 続き気になる!このまま莉奈ちゃんも入れ替わっちゃうのかな?