テラーノベル
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暗黒の世界 ― 黒幕、目覚める
光の届かない世界があった。
空は常に曇り、地は冷たく、時間の流れさえ歪んでいる。
暗黒の世界――
その中心にそびえる黒い城。
玉座の間には、灯り一つない。
ただ、床に浮かぶ魔法陣だけが、不気味な紫の光を放っていた。
「……また一つ、声が戻ったか」
玉座に座る“それ”が、低く呟く。
姿は影に包まれ、性別も年齢も分からない。
だが、その声だけは、異様なほど澄んでいた。
「人は……声を失うと、従順になる」
影が指を鳴らす。
すると、空間の奥から、黒い魔物たちが現れる。
どれも人の形を歪めたような存在。
「行け」
「声を持つ者を探せ」
「記憶を削ぎ、名を奪え」
魔物たちは、ゆらりと揺れながら闇へと溶けていく。
玉座の間に残されたのは、黒幕だけ。
「……声優、歌い手、語る者……」
「この世界にとって、最も厄介な存在だ」
城の壁に、光る像が浮かび上がる。
そこに映し出されていたのは――
砂漠の王国。
街の商店街。
weekend Garage。
だが、像の中心にいる少女の姿は、まだぼんやりしている。
「勇者……か」
影は、わずかに笑った。
「面白い」
「だが、まだ出会うには早い」
玉座の背後、巨大なステンドグラスに刻まれた紋章が脈打つ。
《声を喰らう王》
その名を知る者は、まだいない。
「この世界の“声”が集まり切ったとき――」
「すべてを、沈黙させてやろう」
暗黒の城に、冷たい笑いが反響する。
その頃――
まだ野口瑠璃子たちは知らない。
自分たちの旅路の先に、
**“声そのものを否定する存在”**が待ち構えていることを。
静かに、だが確実に
最終章への歯車を回し始めていた。
コメント
5件
えっ!?次で最後!?