桃花は嬉しそうに笑った
「素敵なお父さんですね」
夜が更けるにつれ、二人の会話はより深みを増していった
仕事への情熱、将来の夢、家族との関係など、康夫は様々なトピックについて語り出した
どういう訳か桃花は家族の話もとても楽しそうに聞いてくれた
「沢村キャスターの仕事に対する姿勢にいつも感銘を受けているんです」
桃花は真剣な表情で言いました
「いつも笑顔で優しくて上品な話しぶりが視聴者さんを和ませてくれて・・・スタッフさんにもみんな優しくて・・・尊敬していたんです」
康夫は自分の頬が赤くなるのを感じた
「ありがとう・・・俺も桃花ちゃんの優しくて受付嬢として真摯な態度も素晴らしいと思っていたよ」
夜景を背景に、二人の目が合った
そこには互いへの理解と尊敬が宿っていた
「それに沢村キャスターのおっしゃることは・・・なんて言うか・・・あるがままの事実を伝えるというよりも、最後に何かご自分の意見を継ぎ足して、視聴者さんにこれから世の中をどうしていけば良くなるか考えさせられる一言を必ず足されますよね?私・・・あれがすごいなって思ってて・・・・ 」
マグロの上握りを食べる康夫の手が止まった
「本当に・・・よく見てくれてるんだね・・・」
「沢村キャスターは本当は報道に向いていらっしゃるんじゃないかなって考えていたんです」
「そうなんだ・・・俺は報道をやりたくて局に入ったんだけどね」
そして報道関係者はフットワークの軽い独身者が常識という事に、晴美と結婚してから気づいた自分を思い出して康夫は少し切なくなった
ハハッ
「でも今ではお天気キャスターにやりがいを感じているよ、次何飲む?ここは女性が好きそうなカクテルが沢山あるよ!」
「どれにしようかな~・・・」
そうやってわざと康夫は明るく飲み物のメニューを桃花に見せた
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