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猫さん蟹さん。

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#3 花信風

♥

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2022年03月12日

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⚠学パロ

ーーー








この気持ちに








俺も素直になっていいんですか?







──────────




















俺はね、冗談で好きでいるわけではないんだ。


純粋に心の奥から好きになったんだ。





けど君は本気で受け取ってくれていそうにない。




「俺が…悪いのかな…。」










部活の休憩時間、スポーツドリンクを喉に流す。


じんわりと染みてきて何故だか虚しくなってしまう。






「確かにさ……。」






俺も冗談めかすように言ってしまっていたかもしれない。


けど、あんなに言って気づかないって…何なんだよ。










俺はずっと言い続ける。振り向いてくれるまで。






付き合うなんて概念もなくていい、お互い好きって自覚できたらさ。























ピーッと笛の音が鳴る。休憩時間が終わりの合図だ。




またこれで時間を潰してしまった。恋って辛いことばっか、ま、その分の代償はおっきいけど。







阿呆らしい事を頭の中に思い浮かべて、俺は集合場所に駆け足で戻った。



















──────────






















「ねーえー、レトさんー?」





「はい。」








「好き。」










「ありがと。無理。」








「なぁんでよぉー…。」








「………………。」











………どうしたんだろう。最近様子がおかしい。




俺に飽きてきちゃってるとか…?!



こんな俺、嫌いになっちゃったのか………。











涙ぐんでしまう。けれど彼はあくびだと思ったらしく静かに笑って





「眠いんなら、寝ろや。」







と、優しい言葉をかけてくれた。









なんなの。もっと好きにさせようとしないで。






それで、「好き」って言っても「ありがと、無理」なんでしょ。どうせ。






俺ね。最近思うんだ。



レトさんが迷惑なら俺、言わないでおこうって。




好きな人には、優しくするし、いじめたくもなる。どっちもだからさ、俺。








だけど、いつか、悲しむような表情をさせてしまうと思うと、口を噤みたくなるんだ。






ね?可笑しいよね。




「好き」って言いたいけどそう思うと言えないんだ。軽々しく聞こえてしまうから。






だからね。










俺、決めた。










真剣に、伝わりやすく言うから。



















国語の評価が現在2である自分の脳とは思えない、馬鹿でかい計画を考えて意気込んだ。






















──────────





























「あのさ、レトさん。」






何もない、ブランコだけの公園。






帰り道によく寄り道してしまう。






そこでぬるい風に当てられ、ブランコが軋む音が響く。






こんなに静かな事なんて今まで無かった。


周りではいつも誰かが喋っていて、太陽が明るく照っていて。

















こんなに鮮やかな夕暮れでは無かった。












「ん?何?」















































「好きなんです。」





















夕日に当てられ、薄く微笑む穏やかなあなた。







けど、俺の心臓はうるさくて。自分の声すら聞こえたかも危うかった。



















「…あり…」





「たまに見せる幸せそうな笑顔も、「好き」って言ったときに表情が変わるところも。」









「時々の煽りも、レトさんと馬鹿になっている時間も。休み時間も。」








































「俺の「好き」って言葉を無視しない所も。」



























「全部、全部!!好きなんです。」




















自分の記憶の中での言葉にしやすい思い出を言っていった。











冗談ではないこと伝わったかな。











































「ありがと。……。」


































俺の耳に今飛び込んできたのは、「ありがと」だけ。














それって。






























「…本気にしちゃって良いの?レトルトさん?」















「…………さあ。もう言わんから。」
















あぁ、隠すの下手だなぁ。


あからさまに向こう向いたじゃん。






それすらも嬉しくて、緩く微笑んでしまう。





















ねえ、レトさん。



覚えてる?























俺が、告白した日の事。
















桃色の花がね、咲いてきてたんだ。


















レトさんは忘れてるかも知れないけどね。俺はずっと覚えてる。








































それ位俺にとっては大事な日だったから。


































また、その日が来たら今度は一緒に笑おうね。































「花信風」 Fin.

──────────




いつも眠い さん(眠ちゃん) のリクエスト完結しました!リクエストあざましたm(_ _)m

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