⚠しょうも無いギャグから思いつきました
『新発売のかんかってきて。』
『り』
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あ…変換押さずに送ってしまった…。
まぁ、分かってくれるだろ。
ぴこんっと軽快な通知音がなる。
『ピンク色のやつ?』
『うん。』
俺が頼んだのはそう。
蟹缶だ。
たまには贅沢をしようと考えた俺は、今日来る予定のアイツに頼んだのだ。
けど…この写真…ピンクっぽいけど…赤にも見えるなぁ…。
…………アイツを信じてみるか。
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俺は待っている間もピンクのような色合いに可愛らしくデフォルメされた、蟹の缶詰の情景を思い浮かべながら、ゲームをしていた。
蟹缶なんて食べるの何か月ぶりだろう。
ピタリとスマホをいじる手を止め、つまらない事を考える。
そんなことを数分間考えていたら
ピンポーンと、いつもより大きく感じるチャイム音が鳴った。
その音で誰かを瞬時に理解し、ソファから立ち上がる。
別に焦らなくてもいい相手だと分かったので、のんびりと歩く。
「レトさーん。さっさと開けないとこれは俺が食べてやるからな。」
「なぁんて……。」
「やめろ」
バシンッとドアが壁にぶつかってしまった。
キヨ君も顔がほんの少し青ざめている。
「…そ、そんなに…?」
「うん。食べるな。」
俺は食べられたくない一身で大きく、力強くうなずいた。
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「いやぁ…もう、レトさん怖い。」
「あんなの、冗談に決まってんじゃん。」
ひらひらと手を振って応えてくる。
俺にとっては冗談に聞こえないんだよ…。
「ていうかさぁ……。」
キヨ君がなぜがにんまりと笑いながら聞いてくる。
「んー…やっぱいいや」
「なんだよそれ。」
「ごめーん。」
ま、蟹缶はつかれたあとに食べた方が美味しいだろう。
ゲームでもしよ。
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俺がコンセントをつなげて、2人で始める。
実況こそは、最近はしないが暇なときはこうしてゲームをする。
2人とも実況の中での癖があまり抜けていないのか、独り言が目立つのが難点。
「はいレトさんの負け~。弱い。」
「は?弱くない。このキャラクターが、弱いだけ。」
「…さっきもその言い訳してたよ。」
「気のせい、さ、もっかい。」
俺が何度も勝負をしかける。
「これ、いつまでやるの…。」
「俺が勝つまで?」
「ひでぇ…。」
キヨ君は心底呆れたような顔をしている。
だけど、それでも付き合ってくれる。
………いい恋人。
ああぁ…。恥ずかしい…。
こんなの頭で考えてても無理。
「レトさん?」
「あ、うん。」
雑念を抱えたまま俺はコントローラーを握りしめた。
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「げ…負けた…。こんな奴に…。」
「おい、こんな奴とはなんだ。レトルト様だぞ。」
「へーへー、レトルト様に負けてしまいました。」
「うむ。苦しゅうない」
そんな茶番を続けていると自然と笑みがこぼれる。
「あー…よし。食べる。」
「ん?何を?」
「え、さっき買ってきて貰ったやつ。」
「はあ?」
アイツが首をかしげる。
別にお菓子がわりに食べてもいいだろう。
「あ、そういえば。」
「さっき、なに言おうとしたの?」
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「あー…あれね。」
どんどんとそいつの顔がニヤけ始める。
「えー…引かない?」
「これ以上引けないし、引かない。」
「なんか、傷つくわぁ。」
「あのね」
にんまりと口角を上げてそいつが口を開く。
「俺のこと、すんげぇ好きなんだなぁって思っちゃった。」
照れくさそうに頬を掻きながら言ってくる。
………。どうゆうことだ?
急いで俺は袋の中を漁る。
「え…これって………。」
あぁ…そういうことか。
なんなんだよ。調子狂うな…。
「キヨ君、これ違う。」
「え…まじんこ?」
「うん。ま、今回は許してやるわ。」
「そのポジティブぶりに免じてね。」
俺はキヨ君がかんちがいして買ってきたそれを眺めて目を細めた。
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