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影山視点
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それでも、バレーは俺を生き返らせた。
楽しかった。ただ、単純に。
何もかも忘れられた。学校で嫌だった事も、 耳が聞こえない事も、母に捨てられた事も、 全部全部、バレーで埋め尽くされた。
俺の心を満たしてくれた。
小六のとき。
気づいたら、チーム内で俺が一番上手くなっ ていた。コーチは俺のことを褒めてくれ た、
嬉しかった。
けど、前まで感じていたわくわくは無く なった。試合でも、楽しいと思う事が減っ た。
一与さんには、迷惑をかけた。 俺のお願いには断る事もせずなんでもしてく れた。
たくさんバレーをした。やっぱ りー与さんは上手い。だから、楽しかっ た。わくわくで胸がいっぱいだった。
でも、中学に上がると、一与さんは体調が優 れなくなり、入院することになった。 今まで一緒にしていたバレーも出来なくなっ た。
一与さんとバレーが出来ないと物足りない が、また一緒にバレーができるまで待とうと 思う。
中学に入って初めての部活。
凄い人がいた。
何もかもが完璧で、俺と同じポジションの先 輩。
中学にはこんなに凄い人がいるのか、と感心 した。
自己紹介の時、
俺は名前ぐらいは言うことができるが、その他は話すことが出来ず、ノートに書きながら行った。
周囲を見渡すと、いつも通りの反応で、
少し、胸がちくりと傷んだ。
その後、アイスブレイクのため、15分間のコミュニケーションタイムが行われた。
当然、俺には誰も近寄ってこず、暇をしていた時に、
その凄い人は俺の肩を叩いた。
びっくりして固まっていると、その人は俺のノートを指さして、書くジェスチャーをした。
瞬時にノートを渡し、その人が書き終わるのを待った。
ノートにはその人の自己紹介が書いてあった。
名前は及川、と言うらしい。
ポジションは俺と同じセッター。
このチームの部長を務めているとの事。
少し筆圧が濃くて、可愛らしい丸っこい字。
文字を眺めていると、柔らかい琥珀色の瞳を細めながら頭を撫でてくれた。
その手が暖かくて、不意に、一与さんを思い出させた。
そんなこんなで、ノートで会話をしていると、つんつんした髪の毛が特徴的な人がやって来た。
どうやら、及川さんと仲が良いらしい。
見ているだけで分かるくらい、お互いがどれだけ心を開いているのかが。
及川さんからノートを奪い、文字を書き進めていく。
書き終わったのか、俺にノートを突き出した。
濃くて、達筆な字。
この人らしい逞しい字だ。
名前は、岩泉だという。
ポジションはWSで、副部長を務めているらしい。
顔を上げると、何やら言い合いをしているらしい。
何を言ってるかは分からないが、きっとしょうもないことだろう。
茶化している及川さんも、起こっているはずの岩泉さんも、なんだか楽しそうで、こちらまで笑ってしまいそうだ。
それが顔に出てたのだろうか、此方を見ては少し驚いた顔をし、優しく微笑みながら頭をくしゃくしゃと撫で回した。
嬉しくて嬉しくて、俺はこの時、変な顔をしていたに違いない。
ふと、此方に向けられている視線に気がついた。
タッパのあるらっきょみたいな頭のやつと、眠そうな顔をしているやつ。
自分に向けられている視線がむず痒くて、
また言い合いを始めた及川さん達を放って2人の元へ走った。
遅くなってすみません🙇♀️💦
めちゃめちゃお待たせしました!!
「影山飛雄は聴こえない」をこれからもよろしくお願いします💫💫