テラーノベル
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前書き
🍼🩷→→→→(←)💛
※暗いです。
※自殺を仄めかす部分がありますので、センシティブな設定にしています。
※地雷、苦手な人はブラウザバック↩️
※ご本人様には一切関係ありません。
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Side:jnt
いつからだろう、別に特別絶望するような何かあったわけじゃない。ただ、なんとなく、このまま消えてしまえたら…、そう思ってしまうだけ。
本当の自分がわからなくなる感覚。
濃い影が付き纏い、逃れられない。
「…何て言うんだっけ、こういうの……。」
ポツリ、暗く静かな空間に溶けるような自分の声。
あぁ、そうだ…希死念慮だ。
「………いっそ本当に死んでしまおうか。…ハハッ…」
できもしないくせに、そんなことを呟いてしまう自分に乾いた自嘲が漏れた。
くだらない考えを振り払うように目を瞑り明日のことを考える。
明日は個人仕事の撮影を3つやった後に、M!LKのメンバー達と新曲のMV撮影というスケジュールだ。
最近はそれぞれの仕事が忙しくて中々メンバー全員で集まることができてかなったから、少しだけ気分が浮上する。
明日は、生きていたいと思える日になるといいな…そう願いながら俺は眠りについた。
◆◆◆
翌朝、目が覚めても気分は晴れないままだった。
それでも、時間は過ぎてくし仕事がなくなる訳じゃない。重い身体をのろのろと動かし準備を進めていく。
すべての準備が整い、家をでる時間だ。
ーーーこの玄関を開けたら、いつもの吉田仁人になる。
自分に暗示をかけるように、1度大きく深呼吸をして玄関をあける。
大丈夫、まだ俺はM!LKの吉田仁人でいられる。
その日の仕事は少し大変だった。
雑誌の撮影に、バラエティ収録、その後にちょっと出させていただくドラマの撮影。忙しかったのもあるが、最後のドラマの現場でプロデューサーにちょっとしたセクハラまがいのことをされて気分が沈んだ。
まぁ、大したことじゃない、腰だか尻だかを撫でられる程度の話しだ。あそこで俺が怒って何か言えば気にしすぎって言われるくらいの些細な話し。やめてくださいよーなんてニコニコと笑いながら躱して現場を後にした。
まだ笑えてる。大丈夫。大丈夫。
みんな気付いてない。
いつも通りの俺だ。
個人の仕事を終え、メンバー達との撮影現場に向かう。今日は海での撮影。夕暮れに砂浜を歩くシーンを撮る。
久しぶりにメンバー達と集まり、くだらない話や、どうでもいいことで盛り上がる。ふざけあい、腹を抱えて笑う。
あぁ、楽しい。ずっとこうしていたい。
心からそう思う。
だけど、どうしてか、メンバーと自分の間には薄い幕が張られてるみたいな気分にもなる。
みんながキラキラして、眩しくて、なんだか泣きそうだ。光が強ければ強いほど影はどんどん濃くなっていく。俺はその影に飲み込まれてしまいそうだ。
別に俺がいなくてもM!LKはこれからも続いていくんだろうなと漠然と考える。名ばかりのリーダーなんていなくたって、みんなやっていける。本当に凄いやつらだから。
その日の撮影を終える。高かった日は沈み、辺りには夜の帳がおりていた。
明日も同じ場所で撮影だから今日は海のすぐ近くのホテルに泊まりだ。メンバー達と夕飯を食べ、勇斗の部屋でちょっと駄弁ってから、各々の部屋に解散する。
部屋の窓からは海が見える。
ぼうっと眺めていると、なんだか呼ばれてるような気がして、気付けば俺はホテルから抜け出し、浜辺にきていた。
海なんていつもは怖いと思うのに、月明かりが揺れる水面がとても綺麗で、俺は吸い込まれるように海に入る。
じゃぶじゃぶと音を立てながら、どんどん進んで行く。このまま海に沈んでしまえたらいい。
今日はみんなと会えて楽しかった、だからここで消えても後悔しない。
そんなことを考えながら進んでいると、いつの間にか腰まで水面が達していた。
もっと、もっと深く、そう思って更に前に進もうとしたその瞬間、後ろから叫ぶ声が聞こえた。
「仁人っ!!!!!」
声の主は勇斗で、濡れるのも構いもせずに勢いよくこっちに走ってくる。
残念、見つかってしまった。
すぐに俺の元まで辿り着いた勇斗は俺の腕を強く掴む。
「なにしてんだよ!!!!」
俺は勇斗に背を向けたまま1度目を閉じてから、笑顔を作って勇斗の方を向く。
「ごめん、ごめん暑くて(笑)」
「はぁ!?」
「いや〜、せっかく海にきたのに海に入れてないし、ちょっと涼もうかなって思ってさー。」
へらへら笑いながら嘯いてみせるが、勇斗の顔は険しいまま、俺を掴む手にぎゅうっと力が入る。
「……海洋恐怖症なのに?」
「克服できるかなって」
「こんな夜に、1人で?」
「みんな泳ぐの得意じゃないじゃん?俺は海とかがちょっとあれなだけで、別に泳げるし。」
「水着でもないのに?」
「水着持ってきてないからな〜」
「…仁人、」
「今日はいける気がしたんだよね。」
「仁人!」
「うるせーな、聞こえてるって(笑)」
「仁人、本当のこと言って。」
「なに言ってんの?本当だって。」
「なぁ、仁人、俺の目を見て」
切羽詰まったような声色でそう言う勇斗を見ると、真剣な表情で俺を見つめている。その瞳はゆらゆら揺れて今にも泣き出しそうに見える。
その瞳をみて、俺は笑みを消し勇斗を見つめる。
「……なんで、泣きそうな顔してんの?」
「仁人が消えちゃいそうだから」
「…俺が?俺はここにいるよ?」
「わかってる、でも消えちゃいそう…」
「変な勇斗。」
俺は苦笑いをして、とりあえず浜辺に戻ろうと勇斗を促す。
2人で浜辺に戻り、横に並び座る。
水に濡れて張り付くズボンが気持ち悪いが仕方ない。こんなびしゃびしゃじゃホテルに戻るにも戻れないし。
隣にいる勇斗はぎゅうっと俺の手首を握ったまま、眉間に皺を寄せてる。
「はやと、手ぇ離して。」
「やだ。」
「は?」
「絶対にやだ。」
そう言うと、ますますぎゅうっと握り込む。跡でもつくんじゃないかというくらい強く握られるが、勇斗があまりにも泣きそうなので、そのままにする。
そのまま2人無言で海を眺める。
波の音だけが聴こえて、他にはなにもない静寂の中で、ポツリと勇斗が呟く。
「仁人は、死にたいの?」
あまりにもストレートな疑問に、なんだかおかしくなる。
「ふふっ…」
「じんと…真剣に答えて…」
「ごめんごめん、別に死のうとした訳じゃないよ。」
「じゃあ、どうして」
そう小さく呟く勇斗。
また誤魔化そうかと思ったけど、さっきの状況じゃもう誤魔化しても意味ないし、俺は本音を告げることにした。
「………消えてしまいたいなって」
「…じんと」
「別にさ、これといったきっかけがあったわけじゃないんだ。ただ、仕事を沢山もらえるようになっていろいろやってくうちに自分がわからなくなって………」
小さなミス、小さな理不尽、誹謗中傷、本当の自分と求められる自分の乖離、少しずついろんな要素が積み重なって、気付いたら消えたいと思うようになってた。
死ぬのは怖いし苦しいのもやだ。
だから、死にたいんじゃなく、消えたい。そう、勇斗に告げる。
言ってしまった。
…ずっと、隠してきたのに。
馬鹿だなって言われるだろうか、些細なことでこんなことを考えてしまう俺を情けないと思うだろうか。
コメント
1件
うわ、これ……読み終わってしばらく動けなかった。仁人の「消えたい」っていう感覚と、それでも笑顔で仕事をこなすギャップが胸に刺さる。勇斗が「絶対にやだ」って手を離さないシーン、本当に救いだと思った。海洋恐怖症の伏線も効いてるし、設定の密度がすごい。続きが気になる……!
301
縁en
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