空視点
最近、ドリームがこっちに来ない日が増えた気がする。ドリームは「最近忙しいから」とか言ってるけど、何か怪しい…
練磨と融合してから負の感情のオーラ的なものが少し分かるようになった、だからドリームの感情も少し分かる。あの感情は…恐れ?
考えても考えても分からず、とりあえず気分転換に買い物に行く事にした。
under fell
練磨と融合してから便利な能力しか追加されてない気がしてならない。AUを移動できるんだからどれほど楽か。
よく来る店へ入り、目当ての品を探す。
店主「いらっしゃい、今日は寒いねぇ」
常連には優しい兎の店主
変な返事して戦闘になりたくないので、「そうですね」とだけ答えた。
そういえばひなにぃの上着ほつれてたな…糸が無かったのを思い出して探していたらとある物を見つけた。
藍色の中、星みたいに点々と黄色模様があるペン。まるで星空をそのまま入れたみたいだ。
これ、ドリームにあげたら喜ぶだろうか…?
空「…これ、いくらですか?」
店主「おや?それが欲しいのかい?」
すると店主はニヤケ面を浮かべて、
店主「50000Gさ」
と言い放った。
え?いやいや高すぎるよ
空「もうちょっとまけてくれない?」
店主「なら…49999Gでどうだい?」
は?ほとんど変わらないじゃん。痺れを切らした僕は机に勢いよく50000Gを乗せてとびらへ向かった。
店主「お釣りの1Gは?」
空「いるか‼︎」
優しいねぇ、その発言にどれほどイラついた事か。
ポータルを開けて帰路へ着く。あ、そういえば糸忘れた…まぁいいや、第一お小遣いがもうほとんど無い。さぁ仕事を倍頑張るか…
次の日、いつも通りに花畑でドリームを待っていたが、彼が来る事は無かった…
ドリーム視点
空は僕が大好きな人だ。他とは違う、新しい考え方もくれる。
接触を図ったのは、インクに「面白いAUを見つけた」と言われたからだ。
最初に会って感じた感情は、悲しみ、憎しみ、怒りなどといったネガティブな感情。
それのせいで彼といると頭痛や吐き気も少ししたけど、放っておけなかった。このままにしてたら彼は自ら消えちゃうから。
でも何でこんな事考えたのか分からなくなった時もあった。空ともっと仲良くなりたかった…のかな?
そして、under wolfは少しずつ物語が進んでいる。
少し、距離を置いた方がいいのかもしれない
日常が、彼に呑まれかけていた。
このまま通い続けたら、自分を駄目にしちゃう気がする。
けど、空がいない日々はやっぱり寂しくて、無意識にポータルを開いてた時もあって、竜一と目が合った時は気まずかった。
…相談相手がほしいな
空視点
結局1週間近く待っても彼は来なくて少しイラついた。
僕はunder fellのポータルを開いて、猛吹雪の中ペンを投げた。涙も凍りそうな寒さだ。
ドリーム視点
今日はナイトメアと定例会、ナイトメアはこれが1番嫌いらしいけど…
ナイトメア「そんな事俺に相談するなよ」
相談して早々冷たい言葉を言われる、予想通りの反応だ。
ナイトメア「まぁでも、お前からはすげぇネガティブ感じるぞ、会ってないのか?」
ドリーム「何かあのままだと、自分の使命を見失いそうで…」
ナイトメアは鼻笑いをして、「見失えば良いものを。」と言い放った。やっぱり相談してもあんまり意味無かったかな…
空視点
やっぱり寂しい、もう泣きそう。こちらから会いに行っても良いが、どうせならあのペンを持っていきたい。深呼吸して覚悟を決めて、足を踏み入れた。
相変わらず寒い。ホットランドの上昇気流が冷やされて風になってる。
僕は手っ取り早く探そうと雪の中を進んだ。一歩一歩進む度に雪に足を取られる。確かこの辺りに捨てたんだけど…
手が痺れる、3時間経っても見つからないもんだから諦めかけたその時、
空「あった…」
買ったあの日と同じく、美しく光り輝いていた。拾い上げると氷みたいに冷たい。
さて、帰ろう。立ち上がって進もうとしたら足と足が絡んでそのままコケてしまった。何から何まで情けない。
立ちあがろうとした。
できなかった。
何か頭が冷たい、このままだと雪に埋もれて窒息死だ。頑張って仰向けになったけど力が出なかった。
空「…………寒」
凄く、眠たい。
ドリーム視点
背筋に悪寒が走った。僕の知らないとこで何か起きてる気がする。
空の感情を探したが見つからない、不安になってナイトメアにも聞いてみた。
ドリーム「ねぇ兄弟。空、空の感情どこにある?」
ナイトメア「は?自分で探せよ…?あれ、感じないな…」
嫌な予感がしてならない。そしたら竜一が血相を変えて
竜一「ドリーム!under fellだよ!探せ!」
それを聞いた僕は急いでポータルを開いた。ネガティブが一段と強くて頭痛や吐き気がする、でもそんな事はどうでもよくて空を探す事に集中した。
胸が張り裂けそうだった。早く彼を見つけないと。
ドリーム「空!返事して‼︎」
しかし返事をするのは風と木々の音だけ。希望が見えなかった
ドリーム「あっ…」
足跡があった。辛うじて残っていた。空のかは分からなかったけど、一心不乱に辿った。でもそれは途中で途切れていて。
ドリーム「空!」
声が枯れるくらい叫んで、泣きそうになりながら探し回った。
来てから10分が経とうとしていた頃。
…木の向こう側、金色の何かが転がっていた。
ロケット。ハートのロケットペンダント。
裏側に空の名前が書いてあるから空の物だ。
少し先を見ると、見つけて欲しいと言っているように尻尾があった。
急いで雪を掘って空を引きずり出した。信じられないくらい冷たくなっている。
ドリーム「ねぇ、空。空!」
肩を揺らして呼びかけるが、体に全く力が入ってこない。そもそも何でこんな所に?…………僕のせいって事、あるのかな…?
でもそんな事今はどうでもよくて、僕は冷たくなった空を抱きしめて、背中を摩って温めた。
ドリーム「……空、起きて…起きろ!こんなところで死んだら一生許さないからな‼︎‼︎」
ここまで声を荒げた事は今までに無い。
でもそれくらい嫌だったんだ。また大切な人を失ったら僕…もう限界だよ。
空が僕の腕の中でぴくりと、動いた。
目に入った小さな家の扉を叩いて、中に滑り込んだ。
ドリーム「助けてくださ…」
その場に膝をついた、足に力が入らない。
僕らを入れてくれたモンスターはfellにしては優しくて、暖炉に火をつけて毛布を出してくれて、僕にはホットチョコレートも出してくれた。
ツケが怖い。
モンスターは親切な事に、一晩僕らを泊めてくれるって言う。本当にツケが怖い。
疲れきってた。流石に一部屋しか貸してくれなかったけど、泊めてくれるだけでもありがたい。ベットに空を寝かせてもう床でも良いから眠ってしまいたい。床に薄い毛布を引くと寝転んだ。
にしても本当に何で空はこんな所にいたんだろう…考えていたら眠っていた。
空「ドリーム、起きて。」
重い瞼を開けると、空の姿。空…
ドリーム「空‼︎」
ガバって起き上がって、そのまま空に抱きついた。
空「えちょドリーム⁉︎」
ドリーム「もう大丈夫なの?どこも悪くない?」
空「うん、もう大丈夫」
ドリーム「でも何であんな所に?どう考えても危ないでしょ…」
僕が言うと、空は何かを思い出したように、ポケットから細長い物を取り出した。
空「これ、あげるよ」
手に取ってみると、色も装飾も、息を飲むほど綺麗だった。
ドリーム「え…良いの?」
彼が頷いた。凄く嬉しい。
ドリーム「でも、あの場所と何の関係が?」
空は申し訳なさそうに事情を説明し始めた。
聴き終わって僕は空のみぞおちに思いっきりパンチした。
空「いて…」
ドリーム「馬鹿じゃないの⁉︎」
自分でも驚くくらいの声が出た。空が目を丸くする。
ドリーム「自分の事もっと大事にしてよ!僕が君の事嫌いになる訳無いじゃん!あのまま本当に死んじゃうんじゃないかって、僕…」
目の奥が熱い、空がすぐそこであたふたしている。
空「あの…本当にごめん…悪かったよ、だから…泣かないで?」
謝りながら、優しく僕を抱きしめた。
空「本当にごめん…」
僕はもう何だかどうでもよくなってそのまま許した。
僕らは泊めてくれたモンスターに1000Gずつ払って家を出たら空が「ぼったくりだ」と文句を言っていた。
昨日の吹雪が嘘みたいに、暖かった。
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