テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
今日も今日とて💚💙
第五話 🐶きゅん日和〜可愛いあの子
翔太 side
今日も今日とて、会いにいく。
可愛いあの子に、逢いにいく。
一目惚れと言っていい。
瞳が合わさった瞬間から、僕は君に恋をした。
長い睫毛。
ふわりと揺れる前髪。
最初に気づいたのは、目だった。
少しだけ垂れていて、
無防備なくせに、どこか拗ねたみたいな視線。
ああ、知ってる。
この目を、俺は毎日見ている。
「……リョウちゃん」
思わず、そう呼んでいた。
首を傾げる。
相変わらず――あざとい奴め。
そう思った瞬間、足が止まる。
もう何日目だろう。
その瞳に囚われて、毎日通い詰めている。
店員にも顔を覚えられた。
「今日もですか?」なんて笑われる。
否定しない自分が、少し可笑しい。
「今日も逢いに来たよ、リョウちゃん」
「――ワン」
嬉しそうに鳴き、
尻尾をぶんぶんと振る。
ガラス越しでも分かる。
全力で喜んでいる。
――似てる。
最近、亮平は忙しい。
帰る時間もばらばらで、
同じ家にいるはずなのに、
生活のリズムが少しずつずれていく。
玄関の靴が揃っているのに、
顔を合わせられない夜が増えた。
シャワーのあとに残る湯気や、
洗面台の濡れたタオルで、
「帰ってきていた」ことを知る。
テーブルに置かれたマグカップの跡だけが、
そこにいた証拠みたいに残っている。
触れたいのに、
起こすのも悪くて、気が引けて…
寝顔に手を伸ばしかけて、
何度、引っ込めただろう。
寝息はすぐそこにあるのに、
心拍はどこか遠い。
でもこの子は、
ガラス越しでも、まっすぐ俺を見る。
まるで、
“ちゃんと見てるよ”って言うみたいに。
白いカードに書かれた文字。
♂ 3か月
飼い主募集中
誕生日 2025/11/27
胸の奥が、きゅんと鳴る。
亮平の誕生日に生まれた、リョウちゃん。
偶然だと分かっているのに、
運命だと思いたくなる。
会えない時間を、埋めるみたいに。
似ているから、会いに行く。
本物に触れられない分、
ここで視線を重ねる。
ガラスに指を近づけると、
小さな肉球が重なった。
透明な壁一枚。
近いのに、届かない。
やっぱりここでも届かない…
思わず、零れる。
「……早く帰ってこいよ」
誰に向けた言葉かは、言わない。
今日も今日とて、会いにいく。
可愛いあの子に。
似ているからこそ、
余計に恋しい。
――あの人が。
コメント
2件
いつも悲恋している🤣🤣🤣