今回の登場人物︰カミラ・ロールズ(K.L。主人公。ヴァンパイア聖魔学校3年)、レオン・フローレス(L.F。ヴァンパイア聖魔学校3年。カミラの相棒)、アダム・ロールズ(A.L。ヴァンパイア聖魔学校3年。カミラの双子の弟)、ヴァニスタ・ストレンジ(V.S。ヴァンパイア聖魔学校3年。右手に火傷のあとがある)、ルカ・ボーンズ(R.B。3年Sクラスの担任)
※セリフは、K.Lなどというように、名前の頭文字で表します
カミラ達が登校し始める、夜8時半頃は、沢山のヴァンパイアが空を飛び回っている。カミラは、アダム、レオン、ヴァニスタの4人で学校へ行っている。
L.F「ヴァニスタ、なんで昨日学校休んだの?」
ヴァニスタはカミラ達と同じクラスで、登下校はいつも一緒だ。
V.S「用事があったんだ。初回授業に休むなんて、Sクラス生としてあってはならないことだ」
ヴァニスタは、今まで初回授業は必ず出席してしたため、初回授業を休んだということは、ヴァニスタにとって最悪な事だった。
V.S「昨日は何をしたんだ?」
K.L「去年の復習よ。ヴァニスタにとっては簡単すぎて眠くなると思うわ」
V.S「そうか」
ヴァニスタは少し下を向いてそう言った。そんなことを話していると、いつの間にか学校に着いていた。
L.F「あーあ、学校着いちゃった。翼が使えなくなっちゃう…なんでこんな校則があるの?」
A.L「生徒の安全のためだろう。それに、翼が使えないのは基本校舎内のみだ。外にいる時は使えることにありがたりと思え。」
K.L(教授が見てる時だけだけどね…)
翼が移動手段であるヴァンパイア達にとって、翼が使えないということはとても辛い。それは、誰もが思っていることだろう。
A.L「でもそれは、俺も不満がある。校舎内は、翼をしまっていなければならない。そこはあまり好きではない」
V.S「それに関しては同感だ。だが、しまうことによって安全性が高まるんだろうが…」
アダムやヴァニスタが言ったことは、ヴァンパイア聖魔学校の全生徒が共感できるだろう。
L.F「おはよー」
4人が教室へ入ると、既にボーンズ教授がいた。ボーンズ教授は、満月を窓から見ていた。
R.B「おはようございます」
A.L「随分と夢中に月を眺めていますね」
アダムが聞くと、
R.B「今宵は、月が綺麗ですからね。あの日と同じように」
ボーンズ教授が言うように、今日はとても月が綺麗だ。満月で、光ってる月は、誰もが心を奪われる。
K.L「確かに今日は月が綺麗ですね…あの日とは?」
R.B「貴女方が知る必要はありません。ボーンズ家の話ですから」
ボーンズ教授は下を向きながらそう答えた。何か事情があるのだろうか?4人はそう思い、深くは聞かないことにした。
―放課後―
L.F「やっと終わったー!」
A.L「だな。気が抜けるぜ」
ヴァンパイア達は、外に出ると翼を広げて家へ向かっていった。
K.L「今日の魔法薬学は複雑だったわね」
V.S「だな。青い薔薇に似ている草なんて…」
“青い薔薇に似ている草”というのは“デスグラス”といって、猛毒を持っている草のこと。デスグラスという名前は、猛毒を持っていて、素手で触れる、または口にすると命を落とす草という特徴が由来である。また、デスグラスは、別名“偽薔薇”(ぎばら)といい、青い薔薇に似ているため、この名前をつけられた。
A.L「青い薔薇に似てるところって、花びらと葉の形だろ?」
K.L「そうね。本当にそっくりだからちゃんと見ないと見分けがつかないらしいわね」
過去に、青い薔薇とデスグラスを間違えて、素手で触って命を落としたヴァンパイアは何人もいる。
L.F「デスグラスで○んじゃった人もいるんでしょ?危なくない?もし実験とかで使うなら○んじゃう人いるんじゃない?」
K.L「実験で使うっていうことはないと思うわよ?使い方を誤ったら命を落としてしまう可能性があるんだから」
V.S「まぁそういう法律もあるしな」
学校の実験で命を落としたヴァンパイアはいないが、約500年ほど前にデスグラスは学校の実験では使用しないという法律が作られた。
しばらく飛んでいると、
L.F「ねぇ!あれ、青い薔薇じゃない?」
レオンが指を差しているところに行くと、森の入口に青い薔薇が咲いていた。
K.L「まぁ、綺麗ね!奥の方にも咲いているわ!」
レオンとカミラは少しはしゃいでいたが、ヴァニスタとアダムは険しい表情をしていた。だって、青い薔薇ではなく、“デスグラス”かもしれないのだから…
L.F「これ持って帰りたいなー」
レオンが触ろうとすると、
『ドン!』
アダムがレオンを蹴った。
L.F「ちょっと!何するのさ!」
A.L「お前ら、それが本当に青い薔薇だと言えるのか?もしそれがデスグラスだったらどうするつもりだ!」
アダムは怒った顔でレオンとカミラを怒鳴りつけた。そう言われたカミラは、自分たちが青い薔薇だと思っている花を見た。すると、花びらと葉の形が、本物の薔薇と違うことに気づいた。
K.L「これ、青い薔薇じゃなくて、デスグラスだわ…」
V.S「やはりか」
どうやらアダムとヴァニスタの予想は当たっていたらしい。
L.F「ほんとだ…助けてくれてありがとう」
レオンとカミラはほっとした表情を浮かべた。ヴァニスタとアダムはいつも通りの冷静な表情をしていた。
V.S「さぁ、帰ろう」
4人はそれぞれの家へ帰っていった。