少女漫画のような恋に憧れていた。
『高校では彼氏作るぞ!』と意気込んで入学してはや3ヶ月。そろそろ夏休みに入ろうとしている。
中学では高校のためにと、ほとんどを体づくりにつぎ込んでいたため、恋愛をしてる暇がなかった。
元々太りやすい体質だったので、トレーニングは毎日欠かせなかったのだ。今もだけど。
1週間でもサボるとすぐプニってくる。
まぁ、3年間もトレーニングに捧げていたから、今は好きな洋服を好きな様に着こなせるようになった。
筋肉もいい感じについてくれたから、バランスのいい体型だと思う。
自分で言うのもなんだけど、顔もまぁまぁ整ってる方だと思うし、美容にも気をつけているから化粧禁止でも大丈夫だろう。
そして何より今がピーク!!
夏といえば海、合宿、祭りなどなど。行事が沢山あるのです!
これでクラスの男子と少しでも仲が深まればいいなぁ。
「奏音ー!班一緒にしよー!」
「うん!私も今誘おうと思ってた!」
私たち1年生は今、合宿とはまた違うけど、夏休み前の旅行?みたいなのに行くための準備をしています!
「あと誰誘うー?」
「ねー。どうしよっか。まだみんな班出来てないみたいだし、ゆっくり考えましょうぜ颯乃サン。」
班は男女6人組。奇跡的に私のクラスは男女の人数が同じということで3:3になるわけだ。
女子は私奏音(かのん)と、幼馴染みである颯乃(その)、李美(ももみ)に決まった。
後は男子3人。ここが勝負だ。
いかに良い男子をこの班に入れることができるか。
ここから始まる恋だってあるんだから!
「ねぇねぇ、あのさ、私、坂木くん誘いたいんだけど……」
キュン
「いいよいいよ!どんどん誘え!」
「李美、頑張れよ。2人の時間作ってあげるからさ、どれだけ攻めれるかで勝敗が決まるぞ」
「あ、う、うん。ありがとう////」
李美は内気な性格だから、好きな人が出来た事が私にとってめちゃくちゃ嬉しいことだ。
全力で応援するぜ!!
……さて、これであと2人だ。
いや、1人か。もう1人はもう決まってるようなもんだしな。
「ホイ連れて来たー。」
来ましたよ。
「おっす〜。んー、あと一人?」
「そうそう。誰誘うかって話してた」
コレは颯乃の彼氏。
この流れ的に私も好きな人いないとダメだな。
幼馴染み2人が恋してるっていうのに…..。
私だけ置いてけぼりにされた感。
ペアがもうできてしまっているからなぁ。もう一人入ってきた人が多分私とのペアだ。
クラスの男子とは結構仲がいいから誰でも大歓迎だけども。
「ねぇ!俺入れるとこねぇからここ入っていい?」
ん?
おぉ?
気になってたイケメンくん来たーー!
「全然いいよ!入りな!大歓迎!」
「センキュー!」
マジですか!?
入ってきたのは、私が入学式からマークしてたイケメンの河路(かわじ)遥斗(ようと)。
これもう運命だね。神様ありがとうございます。
「じゃあ班は決まったから、バスレク決めよ!」
バスレク!?私寝ようとしてたんだけど!
もうみんなでおねんねしよ!!
「あ!質問なんだけどさ、バスの椅子って向きとか変えられるの?」
人より少し高い声で、坂木が質問した。
「あぁー、どうなんだろ。バスのことはあんま聞いてないからなぁ。」
颯乃があからさまに李美を見て言った。
ほらぁ、オドオドしちゃってるじゃん。
「じゃあさ、谷中さんと坂木で先生に色々聞いてきて貰っていい?」
オドオドしていた李美に助け舟を出したのは、以外にも颯乃の彼氏、鹿野枷(かのかせ)優希(ゆうき)だった。
「おお!分かった!何聞いてくればいい?」
坂木はまんまと誘導されている事に気づかず、元気よく返事をした。
「とりあえずバスのことは絶対聞いといて。座る場所とか、あとさっき言った向きは変えられるのか。バスレクって言っても騒いだりは迷惑だろうし、どこら辺が上限か…..ぐらいかな。他に聞いときたいことある?」
リーダーシップのある颯乃が、スラスラと答えていく。んー。聞きたいことー。ありそうだけど出てこないなぁ
「あ!じゃあ泊まる旅館について聞いといて!広さとか!テレビあるかとか!」
「う、うん。まぁ、聞けたら聞いとくね。」
お前は何をする気なんだと思ってしまう河路遥斗の質問に、弱々しく李美が返事をした。
その後も順調に進んでいき、後は当日を待つだけだ。
絶対成功させてやる!!
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