テラーノベル
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朝の電車は、
昨日より少し混んでいた。
理由は、
わからない。
スマホを出す。
通知は、
ない。
それでも、
画面を見る。
昨夜のやりとりが、
途中で止まっている。
涼真
じゃあ
今週は無しで
既読は、
つけていない。
未読でもない。
ただ、
残っている。
会社に着く。
デスク。
椅子。
画面。
パソコンを立ち上げる。
メール。
数字。
修正。
午前は、
静かに過ぎた。
昼休み。
スマホを手に取る。
新しい通知。
涼真
気にさせたならごめん
その下。
涼真
でも
普通はさ
指が、
止まる。
画面は、
まだ続いている。
涼真
会う気がない人と
やりとりしないと思うんだよね
文字は、
柔らかい。
語尾も、
丸い。
攻撃ではない。
正論みたいに、
並んでいる。
スマホを置く。
カップを取る。
コーヒーは、
まだ温かい。
一口、飲む。
苦くない。
砂糖は、
入れてある。
戻って、
スマホを見る。
涼真
無理にとは言ってないよ
その下。
涼真
ただ
普通のことだと思って
“普通”。
どこから、
そう決まったのか。
返信欄に、
文字を打つ。
消す。
打つ。
消す。
結局、
何も残らない。
午後。
会議。
メモ。
相槌。
「大丈夫?」
上司の声。
「はい」
声は、
揺れていない。
仕事は、
終わる。
帰り道。
電車の窓に、
自分が映る。
誰かと、
会っていない顔。
それだけだった。
駅を出る。
スマホが、
震える。
画面を見る。
涼真
合わないなら
そういう人ってことでいいよ
——静止。
指は、
動かなかった。
雑踏の音だけが、
流れていく。
(無音)
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