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あいす@低浮上
13
956
暗理
717
2・5
124
♡30ありがとう!!
まじでありがとう😭😭😭
みなさんお待ちかね不穏なとこです
まあでも次が山場かなぁ
とりあえずいいねお願いします!!
(……クソ、もうこんな時間かよ)
パソコンの画面右下に表示された時刻を見て、オレは思わず小さく息を呑んだ。
冬の夕方は、本当に驚くほどあっという間にやってくる。
窓の外に目をやると、空はすでに不気味な薄紫色に染まり始めていて、街灯がぽつぽつと点り出していた。
(外、もう暗くなり始めてんじゃねぇか……っ)
その景色を見た瞬間、心臓が嫌な音を立てて跳ね上がり、喉の奥が急にカラカラに乾いていくのが分かった。
幼い頃のあの冷たいコンクリートの感触や、学生時代に男に腕を掴まれた時の恐怖が、薄暗い影の中から這い出てくるような錯覚に襲われる。
急激に浅くなっていく呼吸を必死に整えながら、オレは震える手でデスクの上の書類をカバンへと押し込んだ。
「……っ、落ち着けよ、オレ。冬弥のところ、行くんだろ……」
自分に言い聞かせるようにぶつぶつと呟きながら、コートを羽織る。
一人じゃ一歩も歩けなくなるあの恐怖の夜道へ踏み出す前に、オレの欲しい言葉をくれる最高の相棒の顔を少しでも見ておきたかった。
オレはカバンを強く握り締めると、冬弥のいるフロアへ向かって、逃げ出すように歩き出した。
「彰人、」
「……っ、冬弥」
お前の声を聞いた瞬間、喉の奥に張り付いていた冷たい塊が、すっと溶けていくのが分かった。
振り返れば、いつもの真っ直ぐな瞳がオレを見つめている。
(あぁ、やっぱりお前の顔を見ると、ちゃんと息ができるわ……)
窓の外はもう、オレの一番嫌いなあの薄暗い闇に支配され始めている。一人であそこへ飛び出すのは、想像するだけで足の震えが止まらなくなるほど怖い。
だけど、今こうしてお前がオレの名前を呼んでくれただけで、心臓のバクバクが少しだけ静まっていくんだ。
「……おう。約束通り、声かけに来てやったぞ。オレは……これから帰るわ」
カバンの紐を強く握り締めながら、オレはわざとぶっきらぼうに言った。
これから一人で歩かなきゃいけない夜道への恐怖を必死に隠して、冬弥にこれ以上の心配をかけないように、強がりの笑顔を作ってみせる。
でも、やっぱり心のどこかで、お前がオレの欲しい言葉をくれるのを、激しく求めていた。
「家に着いたら、ちゃんと連絡してくれ」
「……あぁ、分かってるよ。鍵開けて電気全部つけたら、すぐにメッセージ送るわ」
冬弥のその真っ直ぐな言葉が、暗闇に向かうオレの背中を優しく押し上げてくれる。
(連絡しろ、か。あいつもオレが心配でたまらねぇんだな……)
窓の外に見える薄暗い景色は相変わらずゾッとするほど恐ろしいけれど、家に帰ればあの明るい部屋と、遅れて帰ってくるこの相棒が待っている。
そう思えるだけで、足の震えが少しだけ収まっていくのが分かった。
「お前も、残りの仕事さっさと終わらせろよ。……じゃあ、行ってくる」
「気をつけろよ、」
オレはカバンをしっかりと抱え直し、冬弥に一度だけ小さく頷いて、光に満ちたオフィスから薄暗い外の世界へと一歩を踏み出した。
(……クソ、やっぱりめちゃくちゃ怖ぇじゃねぇか……っ)
会社の自動ドアを出た瞬間、冷たい冬の空気と一緒に、あの忌まわしい黒がオレの視界に飛び込んできた。
まだ完全に夜になりきっていない、この薄暗い時間が一番嫌いだ。
街灯の光がまばらに照らす歩道は、まるであの日の路地裏に続いているように見えて、一歩進むごとに足がすくみそうになる。
背後から誰かついてきているんじゃないか、またあの男の手が伸びてくるんじゃないかって、呼吸がどんどん浅くなっていく。
心臓がうるさいくらいに警鐘を鳴らし、ポケットの中の拳が恐怖でガタガタと震え始めた。
「っ……冬弥、に……連絡、しなきゃ、だろ……っ」
引きつりそうになる喉の奥から、必死に言葉を絞り出す。
家に着いたら連絡しろって言ったあいつの顔を、あの真っ直ぐな瞳を頭の中に無理やり思い浮かべた。
ここで立ち止まったら、本当にあの闇に飲み込まれて動けなくなる。
オレは冬弥の言葉だけを命綱にして、震える足を一歩前へと踏み出し、駅に向かって必死に歩き始めた。
「…ねぇ君」
「ひっ、……あ、っ…!?」
背中に冷たい衝撃が走り、喉の奥から情けない悲鳴が漏れた。
触れられた肩の先から、全身の血がサーッと一気に引いていく。
(男の声……? うそだろ、なんで、なんでオレが……っ!?)
あの日、あの暗い路地裏でおじさんに掴まれた時の、おぞましい手の感触が鮮明に蘇る。
頭の中が真っ白になって、心臓が破裂しそうなほど暴れ出した。
足がすくんで、一歩も動けない。
冷や汗が全身から噴き出し、視界が恐怖でぐにゃりと歪んでいく。
(冬弥、冬弥……っ! 誰か、だれか助けてくれ……っ!!)
「っ……さ、触るな……ッ!!」
狂ったように叫びながら、オレは掴まれた肩をめちゃくちゃに振り払って、振り返ることもできずに、ただ前だけを向いて全力で走り出した。
「待ってよ」
「っ、離せ……ッ!! 離せよ、クソが……ッ!!」
腕を強く掴まれた瞬間、頭の奥で何かがブツリと切れた。
あの日、あの暗い路地裏で男に組み伏せられた時の、あの吐き気のするような男の息遣いと、冷たいコンクリートの感触が、脳内に濁流のように押し寄せてくる。
(嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ……ッ!! 冬弥、冬弥助けてくれ……ッ!!)
恐怖で涙が溢れそうになるのを必死に堪えながら、オレは狂ったように腕を振り回した。
大人になったはずなのに、会社に勤める社員になったはずなのに、この暗闇の中では、オレはあの頃の無力な子供のままだ。
視界が過呼吸でチカチカと明滅し、喉の奥が引きつってまともな空気が吸えない。
「触るんじゃねぇ……ッ!! オレに、構うな……ッ!!」
掴まれた腕を全力で引き剥がそうと、オレはなりふり構わず、もう片方の拳を男の影に向かってめちゃくちゃに突き出した。
「空見なよ、無理でしょ?真っ暗なのに」
「…うるせぇ…っ……、!!」
突き出した拳は空を切り、オレはそのまま冷たいアスファルトの上へと無様にへたり込んだ。
腰が抜けたように力が入らない。
男の影がすぐ目の前に迫っているのに、指一本動かすことすらできなかった。
(嫌だ、来るな、触るな……っ! 誰か、誰か……っ!!)
過呼吸で喉がヒューヒューと鳴り、視界が涙と恐怖でぐにゃぐにゃに歪む。
男の不気味な声が鼓膜を打った瞬間、パッと視界が不自然なほど白く弾けた。
ワンテンポ遅れて、バリバリと鼓膜を鋭く引き裂くような、凄まじい雷鳴が街中に轟く。
それと同時に、冷たい雨の粒が、オレの顔や体に容赦なく叩きつけられ始めた。
「う、あ……っ、ああぁぁぁ……っ!!」
フラッシュバックしたあの日の路地裏の景色に、激しい雷光と大雨が重なり合って、頭がおかしくなりそうだった。
冷たい雨が、あの男のじっとりとした手のひらのように思えて、全身の鳥肌が止まらない。
暗闇と、雷と、雨。
オレの嫌いなものが全て揃ったこの絶望のど真ん中で、オレは頭を抱え、ただガタガタと激しく震え続けることしかできなかった。
「…これ、通り雨だし僕の家においでよ」
「っ……ぁ…っ、」
バリバリと鳴り響く雷の音を遮るように、オレの耳を包み込んできた男の手。
その手のひらから伝わる不自然な体温に、オレは全身の毛が逆立つほどの強烈な拒絶反応を起こした。
(優しい……? 違う、違うだろ……ッ! あの時のおじさんだって、最初は優しそうな声でオレに話しかけてきたんだ……ッ!)
家においでよ、なんて言葉、一番信じちゃいけない誘い文句だ。
あの日の冷たい路地裏へ、またオレを引きずり込もうとする悪魔の囁きにしか聞こえない。
過呼吸で胸が引き裂かれそうになりながらも、オレは頭を抱えたまま、必死に男の手を振り払おうと頭を激しく横に振った。
「嫌だ……ッ! 来るな、触るな……ッ!! 帰れよ、クソが……ッ!!」
冷たい雨が顔を打ち付け、視界は涙と激しい雷光で真っ白に染まっていく。
こんな薄暗い路上で、男の影に怯えて、声を上げて泣き叫ぶことしかできない自分が、どうしようもないくらい情けなくて、悔しくて、恐ろしかった。
オレには、あの明るい家と、冬弥のくれる優しい言葉だけが今すぐ必要だった。
「…もう真っ暗だよ?ひとりでいいのか?」
「ぁ……、っ、……」
男の言葉が、恐怖で麻痺しかけていた頭の奥に、じわじわと不気味に響いた。
言われて気づく。視界を覆う薄紫色の影はいつの間にか完全に消え去り、辺りは底の知れない、真っ黒な闇に包まれていた。
激しい雷鳴と、体を芯から冷やす大雨。
街灯の光さえ雨粒に遮られて、一歩先も見えないほどの暗闇が、オレを四方から押し潰そうとしてくる。
(怖い、怖い……、真っ暗だ……っ。一人じゃ、帰れねぇ……っ)
頭のどこかで、この男に付いて行っちゃダメだ、信じるなと警鐘が鳴り響いている。
だけど、それ以上に目の前の暗闇が、あの路地裏の絶望が、オレの理性をバラバラに引き裂いていく。
通り雨ならすぐ止むかもしれない、この人は優しそうだし、このまま一人でここにいたら、オレは恐怖で息が止まって死んじまう。
そんな弱気な思考が、泥のように頭の中を支配していく。
「あ、……う、……っ、」
喉が引きつって、まともな言葉にならない。
冬弥に連絡しなきゃいけないのに、スマホを取り出す力さえ入らなかった。
オレは冷たいアスファルトの上で激しく震えながら、男の影を、すがるような、だけど怯えきった瞳で見上げることしかできなかった。
「ほら、近くだし行こう」
「わかった…っ、」
男の言葉に流されるように、オレの体は完全に自由を失っていた。
腕を引かれるまま、ずるずると冷たい地面から立ち上がらされる。
頭の奥では、ダメだ、付いて行ったら二度と戻れなくなるって、必死に警鐘が鳴り響いているのに。
だけど、周囲を完全に包み込んだ真っ黒な闇と、不気味に鼓膜を震わせる雷の音が、オレの思考をバラバラに引き裂いていく。
(冬弥……っ、冬弥、助けて、くれ……っ!)
心の中で、何度も何度も相棒の名前を叫ぶ。
あいつの真っ直ぐな瞳、あの明るい部屋、一緒に食べた不格好なネギうどんの温もり。
それだけが今のオレの命綱なのに、男に引かれる一歩ごとに、その温もりが遠ざかっていくような気がして、涙がボロボロと溢れて止まらない。
激しい雨に打たれながら、オレは絶望的な恐怖に全身をガタガタと震わせ、男の影に引かれるまま、暗い路地の方へと足を引きずられていった。
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コメント
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男の人は優しいのか.......!?まだまだ分かりきっていない感があって言葉選びが素晴らしい~!!!!!!!🥹🥹🥹