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「…寒かっただろう?」
「……っ、……あ、……」
暖かい光で満たされた部屋の床に、オレは濡れた体のままへたり込んでいた。
部屋を見渡せば不気味な影なんてどこにもない、普通の、綺麗な家だ。
男から差し出された乾いたタオルの温もりが、冷え切った手のひらにじわじわと染み込んでいく。
(……本当に、ただの優しい人、なのか……?)
まだ心臓はうるさいくらいにバクバクと鳴り響いている。
だけど、あの真っ暗な雨の路上から救い出された安心感で、体の力が一気に抜けていくのが分かった。
あの日の男たちとは違う。この人はオレに乱暴なことは何もしていない。
そう自分に言い聞かせるけれど、幼い頃に植え付けられた恐怖の記憶が、胸の奥でまだ冷たく疼いていた。
「……あー、わりぃ……。助かった……っ」
引きつる喉から、なんとかぶっきらぼうな声を絞り出す。
タオルを頭から被り、水滴を拭いながらも、オレはまだ完全に警戒を解くことができず、男の動きを震える瞳でじっと見つめ続けた。
「ココアでも飲むか?」
「……あ、……あぁ。……ありがてぇ」
男から差し出された言葉に、オレはタオルを握りしめたまま、小さく頷いた。
湯気の立つ温かいココアなんて、今の冷え切った体には、間違いなくありがたいはずなのに。
(……なんで、こんなに胸の奥がざわざわすんだよ……っ)
部屋は明るい。この人は優しい。乱暴なこともされてない。
頭では分かっているのに、幼い頃にあの路地裏でおじさんに「温かいものをあげるから」と言われた時の記憶が、フラッシュバックのように脳裏をよぎる。
心臓が再び嫌な音を立てて跳ね上がり、喉の奥がキュッと締まった。
逃げ出したい。でも、外はあの真っ暗な闇と激しい雨だ。一人じゃ一歩も歩けねぇ。
「……っ、すまねぇ。……いただくわ」
男に怪しまれないよう、オレはわざとぶっきらぼうな声を絞り出した。
震える手で、ポケットの中のスマホをそっと探る。
まだ、冬弥には連絡できていない。あいつがオレの帰りを心配して待っているはずなのに、恐怖と混乱で指先がうまく動かなかった。
「……ッ、え……?」
ポケットの中を探っていた指先が、何も触れずに虚しく泳いだ。
もう片方のポケットも、コートの奥も、焦りでめちゃくちゃに引っかき回す。
(ねぇ……!? スマホが、ねぇ……ッ!?)
カバンの中も狂ったように探るけれど、あの黒い端末はどこにも見当たらない。
さっき、あの真っ暗な路上で男に捕まって、パニックになって突き飛ばされた時に落としたんだ。
(冬弥に、連絡できねぇ……っ。あいつ、オレの帰りを、待ってるのに……っ!)
頭の中が真っ白になって、せっかく落ち着きかけていた過呼吸がまた激しくなり始める。
家に着いたら連絡しろって、あいつはそう言ってくれたのに。
今頃、帰ってこないオレを、あの不器用で優しい相棒がどれだけ心配しているか。
スマホがないということは、この男の家から冬弥に助けを求めることも、オレがここにいると伝えることも、絶対にできない。
「……くそ、……っ」
湯気を立てるココアを淹れる男の背中を、オレは完全に血の気の引いた顔で、絶望に満ちた瞳で見つめることしかできなかった。
「どうかしたかい?」
「……っ、いや……なんでも、ねぇわ」
オレは引きつりそうになる顔を必死に誤魔化しながら、カバンを強く抱え込んだ。
スマホがない。冬弥に連絡できない。その事実だけで、冷え切った指先がまたガタガタと震え出す。
(落ち着け……ここでパニックになったら、本当に終わりだ……っ)
目の前の男は、親切にココアを用意してくれている。
だけど、オレの脳裏には、幼い頃に優しく微笑みかけてきた「あのおじさん」の顔が、嫌なリアルさで重なり合っていた。
この人は本当に優しい人なのか、それとも、オレが逃げられないのを分かっていて閉じ込めているのか。
部屋の明かりがどんなに眩しくても、胸の奥からせり上がるドロドロとした暗闇が、オレの思考をじわじわと侵食していく。
「……ちょっと、手ぇ滑らせて、落とし物しただけだ。気にしないでくれ……っ」
男を刺激しないよう、オレはわざとぶっきらぼうな声を絞り出した。
差し出されたココアのカップを震える手で受け取りながら、オレの頭の中は、今頃オレを必死に探しているであろう冬弥のことでいっぱいだった。
「はい、ココア」
「……あぁ、ありがてぇ」
差し出されたマグカップを、オレは両手で包み込むようにして受け取った。
手のひらに伝わってくる熱が、冷え切っていた皮膚をじわじわと温めていく。
(……温かい。なのに、なんでこんなに指先が震えるんだよ……っ)
湯気と一緒に広がる甘い香りが、かえって胃の奥をキリキリと締め付けた。
部屋は十分に明るいし、男はただ親切にしてくれているだけに見える。
だけど、スマホを失ったこの状況で、見知らぬ他人の部屋に二人きりでいるという現実が、オレの理性をじわじわと削り取っていく。
冬弥は今、あの明るい家でオレの連絡を待っているはずだ。いや、もうとっくに心配して外を探し回っているかもしれない。
「……っ、いただきます」
男の視線をそらすように、オレは震える唇をカップの縁に当てて、温かい液体を一口すすった。
喉を通る熱さとは裏腹に、背筋にはゾッとするような冷たい汗が、ずっと流れ続けていた。
「大丈夫かい?何かあったかな」
「っ……、別に…っ、」
一口すすんだココアのカップが、ガタガタと音を立てて指先から滑り落ちそうになる。
おかしい。温かいココアを飲んだだけのはずなのに、体の奥からじわじわと、異様な熱さがせり上がってくる。
(熱い……なんだよ、これ……っ。頭が、ぼーっと、する……っ)
心臓が嫌なリズムで跳ね上がり、皮膚の裏側がゾワゾワと泡立つように熱を帯びていく。
これはただの風邪やパニックの熱じゃない。
脳裏をよぎる最悪な予感。こいつ、オレに、何を飲ませやがった?
「っ、お前……、これ、何、を……っ」
男を睨みつけようとするけれど、視界が急激にぐにゃりと歪んで、焦点がうまく合わない。
優しそうな男の顔が、あの日の路地裏でオレを組み伏せたおじさんたちの、醜い笑顔と重なり合っていく。
(冬弥……ッ! 嫌だ、助けてくれ、冬弥……ッ!!)
体が言うことを聞かなくなっていく絶望感の中、オレは最後の力を振り絞って、男から距離を置くように床を這うようにして後ろへと下がった。
「…彰人くんだよね」
「……っ、な、んで……オレの名前、」
男の口から飛び出した自分の名前に、混濁しかけていた頭の芯がガタガタと激しく震え出した。
(なんで、こいつがオレの名前を知ってんだよ……っ!?)
熱い。体が内側からドロドロに溶かされるみたいに熱くて、指先ひとつ動かすことすらままならない。
腹に触れられた手のひらの感触が、狂ったような快感となって脳髄を焼き尽くしていく。
声帯が自分の意思を裏切って、情けない、高くて甘い声を勝手に上げてしまうのが、どうしようもないくらい惨めで、恐ろしかった。
(違う……! この人は、ただの親切な奴なんかじゃねぇ……ッ!)
最初から、オレが誰だか知っていて、あの真っ暗な雨の路上で待ち伏せていたんだ。
仕組まれていた。ココアに何を入れられたのか、もう考えることすらまともにできない。
男の顔が、あの日の路地裏でオレを組み伏せて嘲笑っていた大人たちの顔と、完全に重なり合う。
「は、なせ……っ、触る、な……ッ!!」
お腹の皮膚に這う男の指先を必死に拒絶しようと、オレは涙でぐちゃぐちゃに歪む視界のなか、力が入らない腕を必死に動かして男の胸元を押し返そうと足掻いた。
頭のなかで、ただ冬弥の名前だけを何度も何度も、狂ったように叫び続けていた。
「ッあ、や……っ、ん、ぅ……っ!」
首筋の薄い皮膚を指先でなぞられただけで、脳の奥まで痺れるような感覚が走り、オレの口からまた情けない嬌声が漏れた。
(クソ、なんだよこれ……! 触られただけなのに、体が、勝手に……っ!)
熱くて、頭がぐちゃぐちゃに溶けそうだ。
ほんの少し指先が触れただけなのに、過敏になった体が過剰に反応して、電気に打たれたみたいに跳ね上がる。
声を出したくないのに、喉の奥から勝手に甘い声がせり上がってきて、止めることができない。
「は、ぁ……っ、うそ、だろ……離せ、よ……っ」
涙がボロボロと溢れて、男の顔が滲んでよく見えない。
あの日の路地裏の恐怖と、薬で無理やり引き出される嫌な快感が混ざり合って、吐き気がするほど恐ろしい。
大人になったオレのプライドも、理性も、この男の指先一つで全部粉々に壊されていく。
(冬弥……っ、冬弥……ッ!!)
こんなところで、またあの日のように汚されるなんて絶対に嫌だ。
オレは過呼吸で引きつる胸を必死に上下させながら、首を左右に激しく振って、男の手から逃れようと必死に足掻き続けた。
「あーあ、本当に騙されやすいね」
「っ…、!!」
背中にふかふかとしたベッドの感触が伝わった瞬間、オレの全身に戦慄が走った。
視界の先で、男が勝ち誇ったような歪んだ笑みを浮かべてオレを見下ろしている。その言葉が、混濁しかけていた頭に冷や水を浴びせかけるように突き刺さった。
(騙されて、た……。本当に、最初から、オレを……っ!)
あの日の路地裏と同じだ。優しそうな顔をして近づいてきて、オレが隙を見せた瞬間に牙を剥く。
大人になったはずなのに、会社に掛け合ってまで暗闇を避けて生きてきたはずなのに、オレはまた、あの頃の無力な子供のまま、同じ絶望の底に突き落とされている。
「おま……っ、ふざ、けんな……ッ! 離せ……っ!!」
熱く火照った体を必死に捩り、男の胸元を両手で押し返そうとするけれど、薬のせいで力が入らない腕は、震えながら男の服を掴むのが精一杯だった。
涙が次から次へと溢れて、視界が完全に遮られていく。
部屋の明かりがどんなに眩しくても、今のオレの目の前は、あの日と同じ真っ暗な地獄だった。
(冬弥……っ! 助けて、くれ……冬弥……ッ!!)
声にならない悲鳴を喉の奥で叫びながら、オレは迫り来る男の影から逃れるように、ただ狂ったように頭を振り続けた。
「彰人くんは、おっぱいで感じちゃうのかな?」
「ひっ……、あ…んあぁ……っ…♡」
胸の皮膚に冷たい空気が触れたと思った瞬間、そこへ這わされた男の指先に、オレの体は狂ったように跳ね上がった。
過敏になりすぎた胸元を愛撫されるたび、脳髄を直接かき回されるようなおぞましい快感が全身を駆け巡り、自分のものとは思えない甘い悲鳴が部屋に響き渡る。
(嫌だ……、触るな……っ! 頼むから、もう、やめてくれ……ッ!!)
男の口から吐き出されるハート混じりのオレの名前が、世界で一番汚い泥水みたいに耳の奥へ流れ込んでくる。
あの日、あの冷たい路地裏で大人たちに囲まれ、無理やり服を剥ぎ取られた時の記憶が、今の状況と完全に重なって脳内で爆発していた。
涙が耳の後ろへと止めどなく流れ落ち、過呼吸でひっくり返った息が、ヒューヒューと喉を鳴らす。
「は、あ……っ、ん、うぅ……ッ!♡ とう、や……っ、冬弥……ッ!!」
男を押し返そうとするオレの指先は、もうシーツを弱々しく掻きむしることしかできない。
羞恥と、恐怖と、薬による強制的な快感で頭が完全に狂いそうになりながらも、オレは涙でぐちゃぐちゃの顔を激しく横に振り、心の中でただ一人の相棒の名前を、ちぎれそうになりながら叫び続けていた。
「乳首でも感じちゃう?」
「ッあ、あぅ”…っ!♡」
突起を指先で強くつねられた瞬間、体中を電流が駆け巡るような激痛と、おぞましい快感が同時に脳髄を直撃した。
背中が弓なりに跳ね上がり、喉の奥から引き裂かれたような悲鳴が上がると同時に、涙がボロボロと溢れてシーツを濡らしていく。
(嫌だ、嫌だ嫌だ!! 壊れる……っ、頭がおかしくなる……ッ!!)
男の気持ち悪い笑い声と、耳元で囁かれる言葉が、鼓膜の奥をドロドロに汚していく。
過敏になりすぎたそこを執拗に攻め立てられるたび、自分の意志とは裏腹に、体がビクビクと情けなく震えて、男の手のひらに押し付けられてしまう。
その事実に、どうしようもない吐き気と絶望感が、熱い体の奥底からせり上がってきた。
「は、ぁ……っ、ん、あ、う、そ……やめ、て……ッ! お願い、だから……っ!!」
プライドも何もかも全部捨てて、オレは涙でぐちゃぐちゃの顔のまま、男に懇願するように首を激しく横に振った。
力が入らない手のひらで、必死に男の腕を押し返そうとするけれど、その手さえも弱々しく震えるだけで、男を退けることなんて出来やしない。
部屋はこんなに明るくて、何もかも見えているのに、オレの心はあの日の冷たい路地裏の、底の知れない真っ暗な闇の中に、完全に引きずり落とされていた。
「でも、彰人くんのここは膨らんでるよ?」
「っ、ひ……あ、あぁ……ッ」
下半身を覆っていた布地が容赦なく剥ぎ取られ、冷たい空気に晒された瞬間、オレの全身は恐怖で完全に硬直した。
男の言葉が、薬で朦朧とする頭の中に最悪の現実として突き刺さる。
(嘘だろ……っ。なんで、こんな、気持ち悪ぃ奴に……っ!)
あの日と同じだ。乱暴されて、辱められて、自分の体さえ自分のものじゃなくなっていく。
薬のせいで無理やり昂らされているそこを視線に晒されていると思うだけで、死んでしまいたいくらいの羞恥と絶望が、ドロドロとした熱と一緒に全身を駆け巡る。
涙がボロボロと溢れて止まらない。
こんなに明るい部屋なのに、オレの視界は絶望で真っ暗に染まっていく。
「やめ……っ、見んな……ッ! 頼む、から、離せよ……ッ!!」
オレは涙でぐちゃぐちゃの顔のまま、残った最後の力を振り絞って、男から隠れるように腰を必死に捩って逃げようと足掻いた。
だけど、自由を奪われた足は情けなく震えるだけで、迫り来る男の影を拒むことなんて出来やしなかった。
「僕が扱いてあげるよ♡」
「…ッえ、あ、…や、ぅう”…ッ♡」
熱い手のひらで直接そこを握られ、容赦なく動かされた瞬間、脳の芯まで焼き尽くされるような衝撃が走り、オレは完全に理性を失って叫んだ。
薬のせいで狂わされた体は、男の指先が擦れるたびにおぞましい快感を跳ね上げ、ビクビクと情けなく脈打って、涙と一緒に酷く甘い声を部屋中に響かせてしまう。
(嫌だ、嫌だ嫌だ……ッ! 汚い、気持ち悪ぃ……っ!!)
耳元で、ハートマークが見えるようなねっとりとした声で名前を呼ばれるたび、胃の奥から激しい吐き気がせり上がってくる。
あの日、あの暗い路地裏でオレを玩具みたいに弄んだ大人たちの顔が、男の歪んだ笑顔と完全に重なり合って、頭の中が恐怖で爆発しそうだった。
どんなに拒絶したくても、体は言うことを聞かず、ただ男の愛撫に翻弄されてシーツを狂ったように掻きむしる。
「は、あ……っ、ん、うあ……ッ! とう、や……、冬弥……ッ!!」
もう、言葉なんてまともに形にならない。
涙と汗でぐちゃぐちゃの顔をベッドに擦り付けながら、オレは心の底から、ただ一人の相棒の名前を、掠れた声で何度も何度も叫び続けていた。
「あはは、彰人くんの精子あったかい♡」
「ッあ、あぐ、っ……あ、あぁっ…ッ、♡」
頭の芯が真っ白に弾けて、オレの意思とは関係なく、熱い塊がシーツの上に飛び散った。
薬で無理やり限界まで昂らされた体は、激しく痙攣しながら、最悪の絶望と一緒に全てを吐き出してしまう。
(あ、あぁ……っ、オレ、また……っ)
男の品性下劣な笑い声と、手のひらに残ったオレの熱を厭らしく舐めとる不気味な音が、鼓膜の奥に容赦なく突き刺さる。
そのおぞましい光景に、全身の血が引いていくような激しい吐き気と自己嫌悪が、胸の奥からドロドロとせり上がってきた。
あの日と同じだ。大人になったはずなのに、結局何もできずに、こんな風に玩具みたいに汚されて、辱められて。
「は、ぁ……っ、う、そだ……っ、うあぁ……っ…、」
涙と汗でドロドロの顔をシーツに押し付け、オレは声にならない悲鳴を上げて泣き叫んだ。
部屋を照らす明かりが、オレのこの世で一番惨めな姿を、どこまでも残酷に映し出している。
冬弥、冬弥、助けてくれ、こんなオレを、もう見ないでくれ――頭の中は、ただその絶望の言葉だけで完全に埋め尽くされていた。
「アナルひくひくしてて可愛いねぇ♡」
「…ッあ、やめ……っ! 指、入れんな……ッ!?♡」
オレの液がついた指が、容赦なく一番奥の秘所に押し込まれた瞬間、異物が侵入してくる強烈な違和感と恐怖に、オレは全身の毛を逆立たせて絶叫した。
熱くて頭がどうにかなりそうだったのに、その瞬間だけは、全身の血がサーッと一気に引いていくような凄まじい悪寒が走る。
(嫌だ、そこは、ダメだ……ッ! あの時と、同じ、あの日と……ッ!!)
幼い頃、そして学生時代、あの冷たいコンクリートの上で無理やり抉じ開けられ、すべてを蹂躙されたあの悪夢の痛みが、生々しい感覚となって脳内で爆発した。
男の指が、オレの内側の肉を執拗にかき回し、広げようと動くたび、体中が電気に打たれたようにビクビクと跳ね上がる。
薬のせいで過敏になったそこは、拒絶しているはずなのに不気味な熱を帯び始め、喉の奥からヒューヒューと引きつった情けない悲鳴が、涙と一緒に溢れて止まらない。
「は、あ……っ、ん、んあぁ……ッ!! 離せ……っ、抜いて、くれ……ッ!!」
オレは涙と汗でぐちゃぐちゃになった顔を枕に擦り付け、腰を狂ったように捩って男から逃げ出そうと足掻いた。
だけど、薬で完全に骨抜きにされた足はベッドのシーツを虚しく蹴るだけで、男の体躯を押し返すことなんて出来やしない。
部屋の明かりがどんなに眩しくても、今のオレの目の前には、あの日からずっとオレを呪い続けている、あの暗い路地裏の真っ黒な絶望の光景しか映っていなかった。
「ここ好きでしょ?」
「…ッひ、あ、ぁっ、!♡」
内側の奥深く、一番触れられたくない場所を指頭で強く抉られた瞬間、頭の芯がガチガチと激しく震えた。
おぞましい快感の雷撃が背骨を駆け上がり、喉の奥から引き裂かれたような悲鳴がほとばしる。
(違う……っ、好きじゃねぇ……ッ! 汚い、気持ち悪ぃ……っ!!)
男の言葉が、薬で朦朧とする意識の底へ残酷に突き刺さる。
拒絶しているはずなのに、強制的に快楽へ叩き込まれるオレの体は、男の指の動きに合わせてビクビクと情けなく脈打ち、シーツの上でくたびれた魚みたいに跳ね上がってしまう。
あの日、あの冷たい路地裏でおじさんたちに無理やり抉じ開けられ、すべてをめちゃくちゃにされたあの感覚が、今まさに目の前で繰り返されている。
「は、あ……っ、ん、う、あぁ……ッ! やめ……っ、お願いだから……ッ!!」
涙と汗でドロドロになった顔をベッドに押し付け、オレは声にならない声を絞り出した。
こんなに明るい部屋なのに、オレの心はあの日の暗闇の中に完全に閉じ込められて、もう一歩も動けない。
冬弥、冬弥……ッ、助けてくれ、こんな汚いオレを、早くここから連れ出してくれ――ただそれだけを、心の奥底で狂ったように祈り続けていた。
「…ッ彰人!!」
next…♡35(( ; ; ))
コメント
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あぁ、彰人くん.........。もっとトラウマになっちゃうよ~........ というかお兄さん媚薬入れたなぁ~!?!?!? 絶対ダメでしょ~!! 冬夜くんが最後きたのかな~?彰人くんを助けて~!!!
あいす@低浮上
13
956
暗理
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2・5
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