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#監禁パロ
雪だるまひとひと💙
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💛side
付き合い始めたからといって、世界が急に変わるわけじゃなかった。
朝になれば学校へ行く。
授業を受ける。
昼休みには一緒に弁当を食べる。
放課後は並んで帰る。
変わったのは、ほんの少しだけ。
目が合う回数が増えたこと。
「好き」という言葉を、照れながらでも言えるようになったこと。
そして。
隣を歩く理由が、前より少しだけ増えたことだった。
昼休み。
窓際の席。
秋風がカーテンを揺らしていた。
💜「照」
💛「ん?」
💜「あー」
辰哉が箸で卵焼きを持ち上げる。
💛「……何」
💜「食べる?」
💛「自分で食べろ」
💜「恋人なのに?」
💛「それ関係ある?」
笑いながら断る。
すると辰哉は肩を落とした。
💜「冷たい」
💛「演技下手」
💜「バレた?」
💛「最初から」
結局。
卵焼きを半分もらった。
💜「ほら」
💛「ありがと」
たったそれだけで、昼休みが少し特別になる。
そんな毎日だった。
教室の後ろではクラスメイトが騒いでいる。
「最近さ」
「照と辰哉仲いいよな」
その言葉に、思わず目が合う。
誰にも知られていない秘密。
それが少しだけくすぐったかった。
💜「ばれてないな」
小さく笑う辰哉。
💛「隠してるし」
💜「いつまで?」
💛「卒業までは」
💜「長い」
頬を膨らませる。
💛「仕方ないだろ」
家族にも、友達にも。
まだ言える勇気はなかった。
でも。
辰哉は「分かった」と笑ってくれた。
その笑顔を見るたび。
この人は本当に優しいと思う。
💜side
恋人になって一週間。
照は相変わらずだった。
大げさに甘えることもない。
人前で手を繋ぐこともない。
でも。
ふとした瞬間に優しい。
寒ければ上着を貸してくれる。
荷物が重ければ何も言わず持ってくれる。
階段では必ず歩幅を合わせてくれる。
そういう優しさが全部好きだった。
照は自分で気づいてないけど。
俺はちゃんと知っている。
帰り道。
コンビニへ寄る。
💜「アイス食べたい」
💛「寒いだろ」
💜「だから食べたい」
💛「意味分からん」
結局二人とも買った。
外のベンチへ座る。
夕方の空は高くて、雲がゆっくり流れていた。
💜「なあ」
💛「ん?」
💜「幸せ?」
不意に聞かれた。
少し考える。
いや。
考える必要なんてなかった。
💛「幸せ」
その一言だけ。
辰哉は目を細めて笑った。
💜「俺も」
その笑顔を見ていると。
ずっとこの時間が続けばいいと、本気で思った。
💛side
十一月。
街路樹の葉は赤く色づき始めていた。
学校帰り。
歩道に落ち葉が積もっている。
風が吹くたび、カサカサと乾いた音が鳴った。
💜「照」
💛「ん?」
💜「来年の春さ」
また未来の話。
辰哉は未来の話をするのが好きだった。
💜「二年生になっても同じクラスだといいな」
💛「運次第」
💜「神頼みしとく」
💛「気が早い」
💜「だって」
少し照れくさそうに笑う。
💜「毎日会いたいし」
胸が熱くなる。
💛「……俺も」
それだけ言うのが精一杯だった。
💜side
最近。
夢を見る。
不思議な夢。
知らない道。
見覚えのない夕焼け。
誰かが俺を呼んでいる。
でも。
声だけが聞き取れない。
目が覚めると全部忘れてしまう。
ただ。
胸の奥に、少しだけ寂しさだけが残る。
照に話そうか迷った。
でも。
笑われそうでやめた。
ただの夢だから。
そう思っていた。
💛side
その日の帰り道。
信号待ちをしている時だった。
風が吹く。
辰哉の前髪が揺れる。
💜「どうした?」
💛「……いや」
ほんの一瞬だけ。
胸がざわついた。
見たこともない景色が頭をよぎる。
知らない交差点。
夕暮れ。
誰かの叫び声。
次の瞬間には消えていた。
💜「照?」
💛「なんでもない」
気のせいだ。
疲れているだけ。
そう思うことにした。
赤信号が青へ変わる。
俺たちは笑いながら歩き出した。
この時。
運命はもう、静かに動き始めていた。
コメント
1件
付き合い始めた二人の、何気ない日常がすごく丁寧に描かれていて、読んでいてこっちまで温かい気持ちになりました。卵焼きを半分こするやり取りとか、照れくさそうに「幸せ」って言うシーン、大好きです。でも最後の知らない景色のフラッシュバック……あの静かな不穏さが切ない。運命が動き出す予感で、続きが気になりすぎます。