テラーノベル
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💜side
冬の朝は静かだ。
吐いた息は白く、制服の袖口から入り込む冷たい風が指先の感覚を少しずつ奪っていく。
駅まで続く坂道。
今日は照と待ち合わせをしていた。
遠くから見えたその姿に、自然と口元が緩む。
💜「おはよ」
💛「おはよう」
いつもと同じ。
そのはずだった。
すれ違った女子高生が、俺たちの横を笑いながら通り過ぎる。
その瞬間だった。
耳の奥で。
プツッ…
何かが途切れるような音がした。
立ち止まる。
💛「辰哉?」
景色が一瞬だけ滲んだ。
ほんの数秒。
駅前の景色が、知らない場所へ変わった気がした。
白い天井。
消毒液の匂い。
一定のリズムで鳴る電子音。
──ピッ…ピッ…ピッ…
💜「……え」
次の瞬間には、もう駅前だった。
💛「どうした」
💜「……いや」
首を振る。
💜「なんでもない」
なんだったんだ、今の。
夢?
いや、起きてる。
ちゃんと歩いてる。
なのに。
妙な胸騒ぎだけが残った。
💛side
最近の辰哉は、ときどき遠くを見る。
話しかけても返事が遅れることがある。
心ここにあらず。
そんな表情をする瞬間が増えた。
💛「体調悪い?」
💜「全然」
💛「ほんとか?」
💜「ほんと」
笑う。
でも、その笑顔はどこか無理をしているように見えた。
気のせいならいい。
そう思いながらも、胸の中には小さな棘が残った。
昼休み。
購買へ向かう途中。
辰哉が急に立ち止まる。
💜「照」
💛「ん?」
💜「俺さ」
少しだけ迷うように目を伏せる。
💜「変な夢見るんだ」
その言葉に足を止めた。
💛「夢?」
💜「病院みたいな場所」
胸の奥が嫌な音を立てる。
💜「知らない機械の音が聞こえて」
💜「誰かが泣いてる気がする」
💜「でも顔は見えなくて」
💜「起きると何も思い出せない」
俺は笑って返そうとした。
大丈夫だって。
疲れてるだけだって。
なのに。
言葉が出ない。
俺も。
最近、変な感覚があるから。
💛「……夢なんて気にするな」
やっと出た言葉は、それだけだった。
💜「そうだよな」
辰哉は笑う。
その笑顔を見て安心したかった。
できなかった。
💜side
放課後。
図書室へ寄った。
照は委員会で少し遅れるらしい。
一人で本棚を眺めていると、一冊の古い本が目に入る。
背表紙には何も書かれていない。
不思議に思って開く。
真っ白だった。
最初のページだけ。
たった一行だけ文字がある。
「目覚めた時、一人だけが覚えている。」
💜「……?」
意味が分からない。
誰かのいたずらだろうか。
ページをめくる。
全部白紙。
もう一度最初を見る。
そこも白紙だった。
💜「……見間違い?」
さっきまで確かに文字があった。
そう思ったのに。
何も残っていない。
背筋を冷たいものが這った。
💛side
夕方。
委員会を終えて図書室へ向かう。
窓の外は茜色に染まり始めていた。
辰哉は窓際の席で本を閉じるところだった。
💛「待たせた」
💜「全然」
図書室を出る。
廊下には誰もいない。
静かな足音だけが響く。
💜「照」
💛「ん?」
💜「もしさ」
夕焼けを見ながら、ぽつりと言う。
💜「ある日、俺が全部忘れたらどうする?」
冗談みたいな口調だった。
でも。
その目だけは笑っていなかった。
💛「そんなことあるわけない」
💜「例えばだよ」
俺は少しだけ考えてから笑う。
💛「何回でも思い出させる」
💜「……そっか」
辰哉は安心したように笑った。
その笑顔を見た瞬間。
胸の奥で、説明のできない痛みが走る。
まるで。
その約束を。
いつか本当に守らなきゃいけない日が来るみたいに。
💜side
夜。
眠る前。
机の上に置いたスマホを見る。
ホーム画面は照との写真。
夏祭りの日。
二人とも笑っている。
💜「変な夢なんか」
小さく笑う。
💜「忘れればいいか」
部屋の電気を消す。
目を閉じる。
暗闇の中で。
また、あの音が聞こえた。
ピッ…
ピッ…
ピッ…
そして。
誰かが泣きながら、俺の名前を呼んでいた。
その声だけは。
どうしても聞き取れなかった。
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#監禁パロ
雪だるまひとひと💙
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コメント
1件
「うわ、これめっちゃ不気味で好き…!」 日常の風景と突然混ざる白い天井・機械音の対比が効いてるし、「目覚めた時、一人だけが覚えている」の一文が一瞬で消えるのもゾクッとした。照の「何回でも思い出させる」って台詞、優しさと同時に切なさが滲んでて、胸がぎゅっとなった。いや、続きめっちゃ気になる…!