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「荒らし屋?」
初めて聞く単語にルドは首を傾げた。
そんなルドにグリスは説明をした。
「…あいつらは平たく言えば盗賊団。元々はただの盗っ人の集まりだったが数年前から更にやり口が悪質になった。もっと知りたいならラムに聞くといい」
「はぁ………3人は逃走経路の確保。戦闘員のフォロとグリスはルドの護衛。他のやつがいるかもだから警戒して行動するように」
「「了解!」」
ため息をつき心底面倒くさそうな顔でサポーター達に指示を出しザンカの方を振り向いたラムレザルは一言。
「ザンカ、あれ倒せ」
「はぁ!?ラムは!?」
「やだよ。」
「なんでや!!?」
「人関連の面倒事に関わると獄卒にグチグチ言われっから。クソだるい」
「このくそ師匠…ッ!!!!」
「おーおー。なんとでも言えくそ弟子」
けっけっけ、と笑いながらザンカに丸投げしたラムレザル。
「ま、ルド売り飛ばしたら一生遊んで暮らせるもんなぁ。」
「私達は売るためにあの子を求めてるんじゃないのよ。天界のことをもっと知りたい。そのためには天界人本人から色々聞けた方がいいでしょ〜〜?」
「例えば?」
「どうやって “生きたまま” あの “境界” を渡れたのか、とかね。本当なら貴女も連れて行きたいのよ?貴女は上と下の情報に詳しいから」
「ははっ…………殺されたいのかこの女」
早朝から12件の依頼と寝不足による疲労感からくる苛立ちによってそろそろプッツンしそうなラムレザル。
「本当なら今頃夢の中だってのにお前のせいで寝不足なんだよ。わかるか?ワタシ疲れてんだわ」
「なら眠らせてあげるわ。永遠に」
そう言うと女は泥人形を作り出した。
「ちっ」
ラムレザルは苛立ちをぶつけるように泥人形を殴り付けたがもう1人の男が飛び出してきた
「ラム!」
「!」
咄嗟に後ろに飛び退き攻撃を躱した。
「油断して我の存在を忘れるとは…浅は「急に飛び出してくんな!危ねぇな!!」
「なっ…!!?」
ラムレザルは逃げようとする男の胸ぐら掴み頬を殴り付けた。
「怪我したらどーすんだよ!?」
「あ、そこ?」
「貴女…元々は荒らし屋なのになんで掃除屋なんかにいるの?勿体ない…宝の持ち腐れってやつね」
「現在進行形でお前んとこのボスからストーカー被害に遭ってんだわこちとら。あんなストーキング野郎と一緒に活動出来っかよ」
この間、ラムレザルはひたすら男を殴り続けており男は既に虫の息。
このままだと死ぬ可能性が高い。
「あーあ、コイツ弱。飽きたわ。誰からの差し金だ?教えろ。答えないと殺すし答えても殺す」
「結局殺しとるやん。始末書ダルいんちゃうんか?」
「ここまで来たらもういいでしょ」
「怖…」
「つーわけで、ケバ女お前は退場だ。」
次の瞬間、女は地面に倒れ込んだ。
「……(うーわ、やらかした。これ死んでる?始末書コース??だるいな…)」
「流石やラム。こんなネチネチしたやつに負けるとか考えられへんから…」
「じゃあ君もだな」
一方でラムレザル達と別れたグリス達は非常口を発見していた。
「地下じゃ人繋縄は使えない。地上に上がって応援を呼べ。オレは2人の様子を…」
グリスが2人の様子確認しようと駆け出そうとしたが後ろから足音が聞こえてきた。
「…あぁよかった。丁度済ませてきたようだ。ラム!ザンカ!怪我はないか!?あの荒らし屋共はどうした!?」
しかしそこに現れたのはラムレザルでもなくザンカでもなかった。
「だっ…誰だお前…っ」
現れた男はドレッドヘアーが特徴的な男だった。
男はぶつぶつ言っておりルドを指さしてこう言った。
「お前かぁ…人通者の天界人〜…」
「こいつ…!!荒らし屋…」
「うちのに手ぇ出すんじゃねぇ!!!」
轟音を響かせて男に向かって突進したラムレザルは男と共に壁に衝突。
「ラム!無事だったのか!!」
「下がれ。ルドを守ることだけに集中しろ。ルド大人しくそこで見てな。」
「あれぇ?おネーサン生きてたの?」
「あんなモンで死ぬタチじゃねぇっつーの!!」
ラムレザルは男に飛びかかり拳を振り上げた。
男は避け拳を叩きつけられた地面はビビ割れ少しだけ陥没した。
「あは、おネーサン強いね!うちにおいでよ!」
「ヤダね。」
「なら、死ね」
そう言うと男はラムレザルの懐に滑り込み、腹に自身の武器を突き刺した
「……!」
「ラム!!」
武器はラムレザルの腹を突き破っていた。
「はい、終わ…!?」
「かはっ……………だ、誰が終わりだって?」
「なんで、おネーサン、生きて…臓器貫いた…」
がっちりと男の腕を掴んだラムレザルはニヒルと笑ってみせた。
「捕まえた」
「!」
ラムレザルは男の髪を鷲掴みにして頭突きを食らわせた。
「がっ…!」
「ラム、腹が…」
「来るな!」
ルドが駆け寄ろうとしたがラムレザルはそれを制した。
「お前名前は?」
「…オイラはジャバー。ジャバー・ウォンガー。おネーサンは?」
「ラムレザルだ」
「ならラムちゃんだ!ねぇラムちゃん、好きなタイプとかっている?オイラはねぇ〜…」
「!」
「ラムちゃんみたいな人が好き♡」
「ワタシは従順な犬が好きだっ!」
飛びかかってくるジャバーを軽々と受け止め投げ飛ばしたラムレザル。
「(この感じ…受け身取ったな)」
「あはぁ!強いねラムちゃん!オイラますます惚れちゃうなぁ!!」
「そりゃどーも(血が止まらねぇ…早めにケリつけて処置しねえと…)」
ラムレザルに惚れてしまったジャバーは様々な質問をラムレザルに投げかける。
「オイラ、アブノーマルなプレイが好きなんだけどさラムちゃんは?好き?」
「………強いて言うなら好きだな。よがり狂う犬を見るのは(中の治療は始まってるが外の治療はしてくれないのほんと面倒だ…)」
「相性良いじゃあ〜ん!」
「これは…」
すっかり蚊帳の外であるグリス達の元にボロボロのザンカがやって来た。
「ザンカ!どうしたんだその怪我?!」
「あの男にやられたんや…さっきまで気絶しとった…」
ザンカは戦う2人を見て何があったか聞き出した。
「要するにあのジャバーってやつがラムに惚れた、と」
「ざっくり言うとそうなるな」
「………………コロス」
「ざ、ザンカ…?」
「殺したる…俺の嫁を狙うやつは全員殺す…!」
「まだ婚約どころか付き合ってすらねぇだろお前ら!!」
殺意高めなザンカを宥めるグリス。
理由としては今、あの2人の所に飛び込めば弾きだされるのが目に見えているし終わったら終わったでラムレザルに殺されることが決まっている。
それほどまでにラムレザルとジャバーとの対戦は超過激になっているのだ。
「この建物壊れるんちゃうか…これ」
「このままいくとそうなるな。逃走経路はあの男が潰してしまったし…」
こればっかりは外に向かわせた他のサポーターが助けに来てくれることを願うばかりである。