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ラムレザルはジャバーの腹を殴り壁際まで吹っ飛ばした。
「はぁ………はぁ………はぁ………」
「ったくよぉ…スタミナ切れっつーもんはねーのか…お前は」
「………くっ、くくくっ…」
突然ジャバーが笑いはじめラムレザルは警戒態勢をとった。
「はあぁ……………ひっさびさに気持ち良く殴られたぁ……はぁ………ラムちゃんも…はぁ…人を殴れて楽しかったねぇ?」
「ここまでタフなやつは初めてだよ。」
「てか、オイラ気付いちゃったんだけどさあ…ラムちゃん、人器使ってないよね?」
「なんだバレてたのか」
ラムレザルは今までの戦闘で人器を使っていなかったのである。
本人が “調整” ということを最も苦手とするタイプの人間であり、使ったとしても建物ごと跡形もなく消え去ってしまう可能性が高いことから人器を使っていなかったのである。
「ラム…」
「…だぁいじょぶだって。心配するなルド」
「………」
心配そうに見つめてくるルドにニッと笑ってみせた。
「オイラの人器 “マンキラ” 。右の爪には強烈な神経毒があるんだ。」
「?」
するとジャバーは右爪を自身の腹に突き立てた。
「!」
「ぐっはは…あ”あ”あ゙っ!やっば…」
「(自分に毒を…)」
「 “相変わらず” やべぇなこれ…あ”あ”あ”いてぇ…意識とびそぉ…あははは!」
「ドーピング…!」
「なあ!!なぁラムちゃん!これでオイラの意識ぶっ飛んで “無意識” に暴れちゃったらぁ…ラムちゃんも人器使ってくれよなぁ!!!」
そう叫ぶとジャバーは意識を飛ばした。
「ッ!」
「い”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」
ルドに向かって突っ込んでいくジャバーの首根っこを掴み奥の方に投げ飛ばした。
「ザンカ!!全員守れ!!!死守だ!」
「ラムは?!」
「こいつ倒す!!ここは任せるぞ!!!」
「ラム!」
ザンカに場を任せ駆け出したラムレザル。
「(ほんとに意識飛ばすとか…マジでイカれてる…っ!)」
「〇△□✕%※!!!!!!」
休むことなく叫び続けるジャバーを見てラムレザルはため息をついた。
「はぁ…これだけ離れたら大丈夫か?なぁ…ジャバー。お前このワタシにドーピング如きで勝てる、とでも思ってるのか?」
ラムレザルが話している最中もジャバーは縦横無尽に攻撃を続けていたがラムレザルは全て流していた。
「ワタシが人器使わねぇのは人器を使ったらここら一帯が吹き飛ぶかもだから使わねぇんだよ」
「ぎっ……!!!?」
ラムレザルはジャバーの首を片手で掴んでいた。
爪に毒が仕込まれているのは分かっているくせにラムレザルはそれを避けようともせず好きにさせている。
「ワタシに毒の類は効かねぇ」
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」
そこからラムレザルはジャバーに拳を叩き込み始めた。
抵抗をさせないように急所を狙いつつ鎮圧をすることにした。
「ラム!!大丈夫か!!?」
「グリス」
「どこか怪我して…って腕が血塗れじゃないか!!アイツにやられたのか!?」
「いや、見かけほど酷くは…」
「馬鹿言え!抉れてるだろう!?出血も多い…」
グリスが慌てて応急処置を始めようとする中でルドが話しかけてきた。
「母ちゃん…その、オレのせいで怪我して…悪い…」
「………ルド」
「っ」
「どこも怪我してないか?」
「……してねぇ」
「そっか。なら良かった」
ルドの頭を撫でるとルドは顔を赤くして俯いてしまった。
「ふぅ〜〜う!遊びすぎたわ!」
「!!」
「起きたか。元気そうだな」
気絶させたはずのジャバーが急に起き上がった。
ラムレザル以外は驚いていたが本人は気にしていないようだ。
「オイラ元気が取り柄だからねっ!!んー、見た感じ無意識状態のオイラは為す術なく倒されたって感じ?」
「ワタシとお前は死ぬほど相性が悪いってことだ。ワタシを倒したかったらもっと毒の精度上げてきな」
「あは!そうする!でも、今回は無理そうだなぁ…ラムちゃんってばいくら刺しても倒れないしあの性悪くんも起きてきたし。オイラ今回は逃げよっかな〜」
「待て」
ラムレザルはジャバーに近づくと手のひらに何か書き耳元に口を寄せ小声で何かを伝えた。
「………………まじ?」
「信じないならそれでいいさ。でも来る価値はあるかもな?」
「…楽しみにしとく」
そう言うとジャバーは暗闇に姿を消した。
「……」
「「ラム!!」」
ジャバーの姿が見えなくなった瞬間ラムレザルは地面に座り込んだ。
「ふぅ…マジきつい…」
「大丈夫か?!ラム!」
顔色がどんどん悪くなるラムレザルを支えるルドは混乱していた。
「悪いがルド、そのまま動かないでくれ。」
「?」
「毒を大量に摂取しすぎたんだ。身体が抗体を作ろうとして熱を出し始めてる。レペルも流石に毒までは治してくれないんだ」
「……」
「俺たちじゃラムを運べないからこのまま救助を待って本部で寝かせるのがいいと思う。それでいいよな?」
「異論なし。てかラムは寝不足言うてたし。ゆっくり寝かせるのがええんちゃうか?」
「だな。」
その後エンジン達救助組がやって来てルド達は無事に本部に戻れた。