「風鈴草を持ってきてくれたら結婚してあげる」
これは、とある2人の姉弟が幼少期にした約束
2人が生きていた頃、
風鈴草はとても珍しい花でした
お姉ちゃんとした約束を
弟くんは守ろうと必死でした
お花の図鑑まで買っちゃって、
とにかく彼は約束に夢中でした
でも、風鈴草はとても貴重な花で
お店にも1輪も売られておらず、
大人ならまだしも、
小さな子供が見つけるだなんて
奇跡に等しいくらいの確率でした
でも彼はめげずに探し続けました
すると、お姉ちゃんと仲の良かった子が
*作り物の風鈴草* を持ってきました
これは本物だと言わんばかりに
熱心に解説しましたが
その解説は彼女に届きませんでした
何故なら、彼女本人も自分達の年齢では
絶対に取れない花だと確信を得ていたからです
その解説は綺麗に流し、
お姉ちゃんは弟くんを待ち続けました
けれども、弟くんが花を持ってお姉ちゃんの前に
現れることはありませんでした
ましてやある日の朝、
探しに出かけてから帰ってきませんでした
お姉ちゃんは悲しみに暮れました
「自分の無茶なお願いのせいで
弟が逝ってしまった」
そう思ってしまったお姉ちゃんは、
弟に渡すはずだった手紙を置いて
空へと消えてしまいました
彼女の居るべきである、空の向こうへと
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風鈴草⇨カンパニュラの和名