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一糸まとわぬ姿となった私を見下ろしながら、拓真自身も身に着けていたすべてを脱ぎ去った。
彼は痛まし気な顔をして、私の体にそっと手を這わせる。
「これくらいの灯りでも分かるくらい、こんなにたくさん……」
胸元を腕で隠そうとする私を止めて、彼は指先であざの上をなぞる。
「痛かったね。でもこれからは俺が大事にする。だから、ずっと俺の傍にいてほしい」
拓真は囁き、私の体中に丁寧に口づけていった。
彼の肌の温かさと優しすぎるキスの嵐に、私の唇からは幸せに満ちた吐息がもれる。彼の優しい愛撫に身を委ね、溶けてしまいそうな悦びを感じながら思う。
今度こそ彼の想いを、彼のすべてを受け入れたい。拓真を愛していたにもかかわらず、大人になり切れていなかったがゆえに彼から逃げてしまったあの頃の私とは、もう違うのだ。
「拓真君、愛してる。体の奥まで繋がりたいの」
「俺もだよ。君を愛している。今度こそ俺を受け入れてくれ」
私たちは深く口づけ合い、舌を絡め合った。
体を起こした拓真は囁く。
「すごく綺麗だよ」
彼の手が私の全身を慈しむように撫でていく。下へと降りて行った先で、一瞬ためらうように手が止まる。しかし、恐る恐るというように先へと進み、敏感な芽の部分を探り当てた。
彼の指先に触れられて、私はぴくりと腰を浮かせる。
「あっ……」
拓真は私の唇を塞ぎながら、優しく触れ続ける。
体が熱くなっていく。焦らすような指の動きに、私は身をよじりながら彼の首に腕を回してしがみついた。
拓真の唇が離れた。
「大丈夫?」
「ん……」
小刻みに息を弾ませ、とろりとした心地で目を潤ませている私を、拓真の目が愛おしげに見ていた。
「可愛いすぎるよ」
拓真は花芯にも触れながら、吐息混じりに耳元に囁く。
「ここにもキスしたい」
恥じらいつつ私が小さく頷いたのを見て、彼は体を沈ませた。
花芯に吸い付く彼の唇と溢れる蜜をなめとる舌の動きに、頭の芯が痺れてくる。溶けてしまいそうなほどの快感に抵抗できない。恥ずかしいと思いながらも、私の唇からは甘い吐息と声が絶え間なく溢れかえった。
拓真が切なげに言う。
「その可愛い声をもっと聞いていたいけど、もう我慢できそうにない。入りたい」
私は乱れた呼吸のまま頷く。
「愛してくれてありがとう。すごく嬉しいの。拓真君、大好きよ」
拓真の目元が綻んだ。
彼は私にキスをして、自分と私の体を深く繋ぐ。
「愛してる、碧」
拓真が私の名を甘い声で呼ぶ。
その響きに体中が震えた。優しいけれど力強い彼の動きに導かれて、私は高みに押し上げられていった。これが甘くて蕩けるような絶頂感と満足感なのかと、この夜私は初めて知った。
拓真と初めて体を重ね、愛を交わし合った翌朝は、彼よりほんの少しだけ早く目が覚めた。
彼を起こさないように、注意深くベッドから出ようとした。しかし実はすでに目覚めていたらしい彼の手にベッドの上に引き戻された。
「きゃっ!」
耳元で拓真が囁く。
「おはよう」
「お、おはよ……」
「優しくしたつもりだったけど、体は大丈夫?」
朝っぱらからこんな会話をするのは恥ずかしいと、私は小声で答える。
「だ、大丈夫よ」
「それなら良かった」
拓真はほっとしたように微笑み、私を抱き締める。
「このままこうやって、碧と一緒にだらだらしたい気分だな」
昨夜のあの時、あの後から、彼の私の呼び方が少しだけ変わった。くすぐったい気分だが、彼の恋人になった真の証のようで嬉しい。
「でも今日は約束してるから」
私の気分転換にとわざわざ梨都子が誘ってくれたのだ。ドタキャンするわけにはいかない。
「ま、もう少し清水さんに聞いておきたいこともあるしね」
「聞いておきたいこと?」
「こっちの話。のんびりするのは明日にとっておくか」
拓真はにこりと笑い、体を起こす。
「碧は先にシャワーを浴びてきたらいいよ。その間に朝食の準備をしておくから」
「私、やるよ。昨日言ったでしょ?早く起きたら朝食の準備するからって」
「そうだったっけ。まぁ、そういうのは明日からお願いするよ。ってことで、タオルはそこの棚から出して使ってくれる?」
「でも……」
まだぐずぐずしている私に、拓真は悪戯っぽい目をしてにっと笑う。
「昨夜の名残、流しておいでよ」
「っ……!」
昨夜の甘すぎるひとときが思い出されて、脚の間がじわりと潤いそうになる。それだけ私の心も体も彼で満たされていたが、朝からそんな状態になってしまう自分が恥ずかしい。顔を熱くしている私に拓真はくすっと笑う。キスを一つ私の額に落として、寝室から出て行ってしまった。
「と、とにかく。お言葉に甘えてシャワーしよう」
私は頭を切り替える努力をしつつ、拓真に教えられた棚からタオルを取り出した。