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〜翔編 あらすじ〜
「気づかぬうちに蝕まれていた身体。
偶然の検査結果が、翔の日常を一変させる──。
明るく笑う少年の胸に、重く落ちた“腎臓病”という現実。___
それでも彼は、逃げずに向き合おうとする。」
「ほんまに…ありがとうな、かもめん。」
五億回の動きの向こうに。
第一話「崩れの始まり」
秋の風が、校舎の窓からひゅうっと吹き抜けた。
いつもと変わらない放課後。俺は友達とふざけながら帰り支度をしていた。
「なあサム翔、今日ゲーセン寄ってかん?」
「おお、ええよ! どうせ宿題なんかやる気せんしなフフ」
そうやって笑っていた、ほんの数時間前までは。
──まさか、自分の身体に“病気”なんて言葉がつきまとうなんて、考えたこともなかった。
◇
きっかけは、学校の健康診断やった。
毎年のことやし、特になんも気にもしてへんかった。
でも、なぜか今年は尿検査の紙に小さく赤字で書かれていた。
『再検査の必要あり』
「……は?」
最初は、なんかの間違いやと思った。そんなんじゃないって。
自覚症状なんて何ひとつなかった。
腹も痛くないし、息切れもない。
部活で走り回っても全然平気やった。
だから、病院に呼び出されたときも、気楽な気持ちで椅子に座ってたんや。
「サムライ翔くん、だね」
「そうですけど……」
白衣の先生は真剣な顔で、俺の検査結果を見せてきた。
な…なんや?ほんまに…なんか…あったんか…?
「腎臓の働きが、かなり弱っている。尿にタンパクが多く出ていて、慢性的な腎臓病の可能性があるね」
「じ……腎臓病……?」
頭が真っ白になった。
腎臓なんて、名前は知ってても、どこにある臓器かすら分からん。
そんな大事なもんが、俺の体で壊れかけてるって?嘘でしょ?
「自覚症状がないまま進行する可能性も多いにあるんだ。
君の場合、検査でたまたま見つかった。見逃せば、もっと悪化して透析や移植が必要になることもある」
「……透析って……あの、人工透析……?」
「そうだ。そうならないために、今すぐにでも入院して詳しく調べよう」
言葉が、胸の奥で鉛みたいに沈んでいく。
透析…?移植…?入院…?
なんで…なんでいきなり…?
全部、俺の生活からは遠い場所にあると思っていた言葉。
「……俺、そんな重い病気やったんか…ハハ」
信じられなすぎて、笑いそうになった。
冗談みたいに呟いたけど、先生は笑わなかった。
ただ静かに、俺の目を見て頷いた。
◇
家に帰って親に話したら、心配そうに頭を撫でられた。
「しょ…翔…。」
でも、現実感がなかった。
ベッドに横になって静かに天井を見つめても、部活の試合のことや友達との遊びの約束が頭をよぎる。
(なんで俺なんやろ……ちょっと前までは…あそこの子供たちのように…元気やったのに)
まあ…体調は変わらんけど…。
自覚症状がないんが怖い。
どこまで進行してるんやろ…?
心臓がドクンと鳴る。
それが自分の身体のどこまで“普通”なのか、もう信じられなくなっていた。
そして数日後、俺は病室のベッドに横たわっていた。
窓から差し込む光は、どこかよそよそしく、時間だけが淡々と流れていく。
「……退屈やな」
誰もいない部屋で、小さく呟いた。
けれど、この退屈さは、俺にとって新しい“戦いの始まりだった。
…………………………………………………………
第一話はここまででぇ〜す!
終わりぃぃ!!!!
コメントとフォローもよろ〜…。
あとkamome編もあるんで是非見てくだせぇ。
米米(べいべい)