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皐月side
これは俺が事故に遭う前の話。
当時の俺は猫に好かれやすい体質で登校時や下校時はよく後ろから野良猫が何匹か着いてきていた。
ただ、当時は両親は共働き、家に動物を迎えるような金が無かった。
でも、後ろから着いてくる猫があまりにも可愛くてさ…、少しの間だけでもいいから世話をしたいと両親にせがんだんだ。
両親は少しの間なら、と了承してくれた。
勿論、俺は猫の餌を買えるような裕福なガキじゃなかった、だから水しか与えることが出来なかった…。
それが数日続いた時学校の先輩が猫を譲って欲しいと言ってきた。
その先輩は裕福で犬も飼ってて…、だからきっと幸せになれると思って俺はその先輩に猫を任せたんだ。
譲も何も野良猫だし…俺に所有権なんてないから…。
それから数日が経って先輩に猫は元気にしてるか聞いたんだ。
そしたら……。
【あー、ごめん。父さんが車で轢いちゃったんだよね…、まぁ仕方ないよね、猫って自由奔放だし。】
は?
幸せになれると思って……、俺との生活より裕福なとこに行って…、大事にしてもらってるはずだった……。
なのに……父親が…轢いた?
それも悪びれも無く動物が悪いと?ふざけてる…。
梅宮side
皐月『それから俺は極力動物と関わりたくなかったんだ…、また同じ様な事繰り返したくないから……。』
皐月は苦虫を噛み潰したように話してくれた。
梅宮「…そうだったのか…すまん、俺の発言は軽率だったな…変に皐月のこと知れたって浮かんじまった……。」
皐月『過ぎた事だ…と言いたいが未だに根に持ってる。自分自身に…、だからこそ、この子には幸せになって欲しい。』
そう話しながら猫を優しく撫でる皐月は綺麗だった。
梅宮「……因みに野良猫だったとしても名前は付けてたんだろ?なんて名前だったんだ?」
皐月『…それ、言わないとダメ?』
梅宮「ここまで話してくれたんだ!気になるだろ!?」
皐月『…ぐぅ、絶対!絶対!笑うなよ!?』
梅宮「笑わん!話してくれ!」
皐月は恥ずかしがりながらも……。
皐月『……ッ、ベッカム…。』
梅宮「…は?」
皐月『だ、だから!ベッカム!!頭の毛上げたらベッカムみたいだったから!!これで満足か!!?』
梅宮「あっはっはっ!!ベッカムか!そりゃいい!!その子もきっと気に入ってたんだろうなぁ!!」
俺がそう言うと皐月は悲しそうに
皐月『……そうだといいな。』
梅宮「皐月、お前がそんな顔してると天国のベッカムだって悲しくなるだろ、だから今は前みたいにならないようにちゃんと世話しよう。」
皐月『……うん、そう、だな。』
梅宮「この子にはベッカム2世って名前にするか??」
皐月『テメェ表出ろや今直ぐにでも叩きのめしてやる…。』
梅宮「どわぁー!ごめんって!!!皐月の脚技怖いんだって!!!」
こうして長い夜は終わった。