タイトル「その跡は、僕だけの印」
「……感じてる?」
耳元でそう囁いた涼架さんは、
私の震える肩をゆっくりと撫でながら、また首筋に口づけた。
(……ダメなのに……)
逃げなきゃと思うのに、身体が動かない。
唇が、舌が、あまりにも優しくて――でも確実に、私の理性を溶かしていく。
「……ねぇ」
彼の声が、少しだけ低くなった。
「もう、誰のものかわからなくならないように……」
そう言って、彼の唇が、私の首筋の“同じ場所”に何度も触れてきた。
チュッ……チュッ……と、湿った音が耳元で響く。
「……え……?」
「つけたいんだよ、キスマ。……君に。」
「な、なんで……そんなの……」
「ズルいから。」
彼はいたずらっぽく笑うと、
その唇をしっかりと、首筋に押し当てた。
ジュッ――と音がして、
次の瞬間、そこに吸いつくような強い刺激が走る。
「んっ……! ちょ……涼架さん……っ」
「……大丈夫。ちゃんと服で隠れる位置にしたから。」
「そういう問題じゃなくて……!」
「でも、嫌じゃないでしょ?」
頬が熱い。
心臓が爆発しそうなほど速くて、口では否定できても――身体は、きっともう答えてしまっていた。
「……ほら、できた。」
彼が首元から唇を離し、満足そうに微笑む。
指先でそっと触れてきた場所が、じんじんと熱くなっている。
「ねぇ、鏡で見てみる?」
「……やだ」
「ふふ。可愛いね。
もう、誰にも見せたくない。」
そう言いながら、またキスがこめかみに落ちた。
「この跡、消さないで?」
その一言が、胸の奥に静かに刺さった。
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