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タイトル「甘く、消えない印」
涼架さんの唇が首筋を離れたあとも、
その場所は熱を帯びたまま、じんじんと疼いていた。
「……このままだと、もっと欲しくなるかも。」
そう言って見つめてくる目が、
今まで見たどの表情よりも、**“本気”**だった。
「……私、どうなっちゃうの……」
か細くもれた声に、彼はすっと近づいて、髪を撫でる。
「壊したりしないよ。でも――」
唇が、耳元にそっと触れた。
「全部、俺にちょうだい。」
その言葉とともに、涼架さんの手が服のボタンにかかる。
指先が丁寧で、でも迷いがなくて――
(もう、戻れない……)
けれど、そのことに不安よりも、少しだけ期待してしまっている自分がいた。
彼の手が滑らかに肌をなぞり、
胸元、腰、そして秘めた場所へと触れてくる。
唇もまた、全身に“キスの音”を残すように動いていた。
「……やっぱり、綺麗」
肌に落ちた言葉は、
彼の吐息と一緒に熱を帯び、心まで溶かしていく。
やがて、ふたりは重なり合い、
夜が静かに、けれど情熱的に流れていった。
抱きしめられるたび、
名前を呼ばれるたび、
心も身体も、彼のものになっていく――そんな確信が、胸に広がっていた。
翌朝――
目覚めたのは、やわらかな日差しの中だった。
見慣れない部屋。けれど、昨夜の記憶ははっきりと残っている。
「ん……涼架さん……?」
隣を見ると、彼はもう起きていて、コーヒーを飲んでいた。
「おはよう。……寝顔、可愛かったよ。」
「……っ! やめてください、恥ずかしい……」
そう言いながら立ち上がると、
ふと壁の鏡に映った自分の姿に、目を奪われた。
「?……なにこれ……」
首元。
はっきりと、赤いキスマの跡が残っていた。
「昨日の……?」
「そう。俺の“しるし”」
後ろからそっと抱き寄せられ、首にキスが落ちる。
「消えないといいなーって思ってたけど……
うん、結構いい感じについてる。」
「やめてください……!」
思わず手で隠そうとするけど、涼架さんはそれを止めずに、
くすっと笑って私の耳元でささやいた。
「今日一日、そのままでいてよ。」
「む、無理ですってば……!」
「大丈夫。服で隠れる位置にしたって、言ったでしょ?」
「……ほんと、ずるいですよね……涼架さん」
彼は楽しそうに笑って、優しく髪を撫でた。
「君が可愛すぎるのが、いけないんだよ。」