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コメント
20件
大人っぽい雰囲気でとっても素敵なんだが!!💕 そして、コメント遅れてごめんなさい😭 第三者っていうのかな?視点があって、二人が周りからどう見えているのかがしれてよかった! 今年はありがと!!💕 来年もよろしくです!
もっちゃんんんんんんん!!!! あなた作品のセンスありすぎよ🫵 今回の作品大人っぽくて好き🫶 今年1年仲良く出来て嬉しかった🎶来年もたくさんお話しようね,,>𖥦<,, 良いお年をっ!!!!
うわ3時間前まじかよ大遅刻じゃん…🤦♀️circusパロ最高すぎ🥲余裕のある大人の二人めちゃ好きなんだが⁉️もう入り込めるよね…遠くから二人のこと眺めてたい👀 今年も沢山絡めてお誕生日までお祝いして頂いちゃってイラストまで描いてもらっちゃってその上、最高すぎる作品も大量で?本当に幸せすぎた‼️来年も仲良く出来たらいいなっ🎵 良いお年をっ🎀🪄
こんにちは、ねこもみじです!
書き納め、ということで今年はCIRCUSパロで締めくくらせて頂きます!
今年も一年ありがとうございました!!
注意
・青桃
・CIRCUSパロ
・エセ関西弁
・御本人様とは関係ありません
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カラン、と心地の良いドアに付いたベルが店内に響き渡る。
今日もここは沢山の客が来て日々の疲れを少しでも癒そうとする。
若い会社員の人がくればご老人だってくる、性別関係なく訪れるのがバーってもんだ。
「マスターいつもの一つ」
「かしこまりました」
目の前にいる客はよくここを訪れるサラリーマンの常連客で、毎回「好きな人に告れない」だとか「どうやったら振り向いてくれるのか」と酔いながらも相談してくる少し変わった人。
そんな男性以前作ったのが『ニコラシカ』というもの。先にレモンと砂糖を口に含んでからブランデーを流し込む飲み方をするもので、『決心、覚悟を決めて』という意味があるから作ってみると大絶賛され今ではニコラシカがこの男性の「いつもの」になった。
来る度に作っているせいかすっかりお手の物となってしまった。
「はい、いつもの」
「ありがとうございます…今日も美味しそうだな」
レモンと砂糖を含んでからゴクッと喉を鳴らし流れこまれてゆくブランデー。
美味しそうに飲む姿を見るとやりがいがあるなと感じる。
少し時間が経つと「マスター」と呼びかけられた。
「マスター聞いてくださいよ、今日例のあの子が昼休憩の時に同じタイミングで食堂に来ててもう本当に可愛くて……」
また始まった、恋語り。これが始まると酔っ払ってもなお永遠にその好きな人の話をしてくる。
しかも厄介なのが軽く相槌を打っていると「今絶対聞いてなかったですよねぇぇ…!?!?」と泣きながら指摘をしてくるところ。
シラフの時は温厚で笑顔が素敵な人だが酔っ払うと泣き上戸。様々な人の酔っぱらう姿を見るのも面白いなと密かに思っている。
「あ、」と声を漏らし彼は口を開いた。
「マスターは彼女さんとか居ないんですか?」
モテそうだし、とそう付け加えられる。
「俺?うーん、…居ないかなぁ」
いきなりそんな事を言われると思っていなかったが、そう言って返すと一瞬の静けさが生まれた。この返答じゃお気に召さなかったか。そんなことを考えているとタイミングを狙ったのか「俺裏行きまーす」とまろが通り過ぎていった。
「…あの青髪の人とかイケメンだから彼女いそうじゃないっすか?三人持ちしてそう」
ぼそっと言った彼の言葉を聞き逃すはずがなかった。
「くくっ、ふははっ、あれそんな風に見えるんだ?」
急に笑いだしたことを不思議に思ったのかハテナマークを浮かべるかのように彼は首を傾げた。
「だって明らかにスペック高そうじゃないですか…身長高いし、こんなお洒落なバーで働いてたら連絡先くらい交換しようって言われたりするんじゃないんですかね」
「そっか、そうなのかもね」
三人持ちって、そんな風にあいつ見えるんだ。
考えただけでも笑いが込み上げてきてここ最近で一番と言っても過言では無いくらいの笑い声が店内に響いた。
ーーーー
店も終了時間を過ぎバーテンダー達、今日の担当だったいむしょーの二人が帰っていく。
あと残されたのは俺とまろだけか。
テーブルを拭いていると「お疲れーっす」 と後ろから聞き馴染みのある声がした。
「あ……ふふっ」
「なに人の顔みて笑ってんの」
「いや、だってさ…」と、常連客の彼が言っていた『まろに彼女がいて、なんなら三人持ちしていそう』という話をするとまろも笑い始めた。
「俺そんな風に見られてたん?」
「分かんないけど、ほんまおもろいよな」
酔っ払った人間の考え、発言は本当に面白い。
「彼女三人持ちって相当なクズじゃん、あー思い出すだけで笑えてくる」
「でも残念やったな、生憎どっかの誰かさんが牽制するから連絡先の交換の話なんてある訳ないし」
「それはまろが危ないから禁止にしようって言ったんじゃん」
「やってないこ言い寄られたらやんわりとしか断れんで結局交換する羽目になるやろ?」
「俺自身よりも俺のこと理解してるように言ってくれんじゃん」
「まぁな、」と口角を上げて自慢げにいうまろ。
「だってないこの恋人やもん、そりゃ分かってるよ」
そういうのをサラッと言うところがずるいんだよな。
「さ、今日は俺がカクテル作ろうかなぁ」
そう言って立ち上がるまろ。そう、この時間だけは二人きりだからどちらかがカクテルを作って飲む、までが俺ら二人の1日のルーティーン。
鼻歌を歌いながら取り出したのは、おそらくベースになるであろう『ジン』とスミレの花の香りを漂わせる『バイオレットリキュール』、そしてレモンをしぼって混ぜていくと幻想的な紫がかった濃い青色のカクテルになった。もう何度見たか分からないほどの工程はいつ見ても飽きることはない。そのカクテルの見た目はまるで美しい夜空のようで。
「…はい、完成」
「こちら『ブルームーン』になります」
わざとらしく接客の時みたいに話すまろ。
「こちらのカクテル言葉は『叶わぬ恋』が有名ですが、『完全なる愛』というのがあるのも忘れずに」
ふふっ、と笑って差し出したそれはまろの色にそっくりだった。
口に含むとさっぱりとしたブルームーンがレモンの匂いと共に鼻腔を掠めながら喉へ流れ込んでゆく。
「……まろ、ほんとに俺のこと好きだよね」
「さぁ?ないこも俺のこと相当好きやと思うけど」
どちらかとも無く近づき抱きしめ合ったかと思うと、形の良いそれが唇に触れる。
「今夜は楽しい夜になりそうやね」
『CLOSE』に変わっていた看板を目にし、今夜は永夜になりそうだなと思いながら先程よりも強く彼を抱きしめた。