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明かされる真相とは


7 Past


「うう…」

「あ,ブリテンさん!」

「あれ?シチリアさん?あ,そっか,ぼ…いえ私は…」

「大丈夫ですか?」

「ええ,おかげさまで平気です」

「…」

…聞くなら今しかないわね

「あの,ブリテンさんとアメリカさんって,一体全体…」

「?どういうことですか」

「…アメリカさんの『親父』って,どういうことですか?」

「!…あの子,そんなこと言ってました?」

「まあ,一応」

「…」

何かあったのかしら

「…ええ,私と彼は,正真正銘,親子です」

「!どうりで似ていて…」

「…今から随分と昔の話になります」

「?」

そう言って,目の前の彼はするりと手袋を外した

「!その指輪…」

「…確か,まだスペインの先代が太陽の沈まぬ国と呼ばれていた頃でしたね」

「随分と昔のことですね…」

「その時,私はまだずっと若かったんです

他のヨーロッパの古き国々も生きていましたから…

若さに酔って,オランダと一緒に東の果てまで行ったんです」

「そう,ですか…」

「そこで出会ったのは,黄金の国と言われていた方でした

美しく,強く,優しい国でした」

「もしかして,あの頃たびたび噂で聴いていた…」

「ええ,『ジパング』その通りです

馬鹿やって,砂浜に倒れていた私を助けてくれたのがその方です」

「あんなに遠くまで行ってたんですか⁉︎」

「若いというのは良いものですよ

まあ,そうやって出会って…

好きになってしまったんでしょうね」

「…え?」

「今ではあの人はいないので,

これの片割れもどこにあるのやら…」

「…そう,でしたか…」

「『もういない』そう言われたので,

息子には出来る限り忘れるように言いましたよ

覚えているだけ,辛いので」

「…」

「そうやって関係性にまで嘘をついて,赤の他人を演じて…

でも,その方が今のあの子にとっては幸せなのでしょう」

「…」

「…でも,そうですか…『親父』ねぇ…」

「…」

「今更私がそう呼ばれる権利はないのに…」

…ようやく分かった気がした

この人,ブリテンさんはずっと堪えてたんだ

実の父だということを言うのも,傷を見せることも

「…完璧な人はいないんですから,いいじゃないですか」

「でも…」

「まだ間に合います,だって,親父って呼んでもらえてるんでしょう?」

「…そうかもしれませんね」


「うぅ…」

母さん…

親父,ずっと無茶しているよ

嘘ついてるよ…

僕はどうすればいい?

…いや,いっそ全部夢だったことにしちゃおう

母さんも,親父も夢

そうだよね?

「うぁ…」

でも…何で

夢なのに,心が痛むの?


「はっ⁉︎」

…え?

「夢…なのか?」

何で今更…

「…あれ?」

涙?何で…

「コンコン」

「誰だ?」

「…thirteen,入りますよ」

「…どうぞ」

「ガチャ」

「…どうしたんだ,ブリテン」

「…今まで嘘を吐いてきて,ごめんなさい」

「今更遅いよ」

「…」

「もう終わりにしようぜ

こんな家族ごっこ」

「ごっこなんかじゃ_」

「もう,いいんだ」

「…」

「何も言わないでくれ,ボクにこれ以上,関わらないでくれ」

「…」

「ボクはずっと,嘘だって言ってたのに

どん底に突き落としといて,今更救いを感じさせないでくれ」

「…ですよね」

「ああ,ボクに構わないでくれ,ブリテン」

「…そうさせていただきます」

「昔,こう言ってただろ

suit yourselfって」

「…ええ,失礼いたしました,アメリカ」

「…ああ」

「パタン」

「ボクはこれでいい

…じゃあな,親父」

…ボク,何言ってんだろ


「うぁ…」

「サルデーニャ!」

「!触るな」

「⁉︎」

「お前は敵だろうが

何が目的で連れてきた」

「…ただ,助けたいだけだよ」

「嘘だ!」

「本当よ!」

「黙れ!私は第三様を守るために生まれたものだ!敵の情けなど要らぬ!」

「私は敵じゃないよ!シチリアよ,貴方,サルデーニャの友達だよ!」

「違う!私はサロ!第三様を守るための誇り高き肉壁!」

「っ…目を覚ましてよ…もうアイツはいないのよ!」

「嘘だ!彼は世界一の強さを_」

「私がもう倒してますよ」

「!お前は…」

「!ブリテンさん⁉︎」

「…貴方も可哀想ですね,あんな糞野郎に騙されて」

「違う!私は…」

「…イタリア王国さん,いい加減目を覚ましてください

貴方は負けたんです,いえ,貴方の元主人は負けたんです」

「黙れ!黙れ黙れ黙れっ⁉︎何で私を生け捕りにした!

どうせそう言って情報を吐かせるつもりだろ!」

「違うわ!」

「黙れ!私は何も信じないからな!こいつ…」

「あ,今動いたら…」

「痛っ!?!?」

「安静にしていてください!」

「おのれ…動けるようになったら蜂の巣にしてやる!」


「ガシャン!」

「離せ!こいつら…」

「大人しくしろ!」

「今は動いちゃダメです!」

「黙れ!離せ!」

くっ…


「で,話したいこととは?」

「…イタリア王国があの調子じゃ今はかろうじて大人しい日本の方も怪しい

他の連合国からも二人を処刑しろとの提案がある…意味は分かるな?」

「!そんなの嫌です!サルデーニャは私が面倒を見ますので!」

「!おやめなさい!彼女を消して何になるんですか⁉︎」

「…お前たちしかこの計画の障壁はいないんだ 」

「何で…仮にも操られているだけなんですよ⁉︎そんなの,あまりにも理不尽です!」

「そうです!お願いです!一切の責任は私がとるので!」

「悪いがそれは無茶だ」

「…こんなの,拒否権があってないようなものじゃないですか」

「仕方ないだろ,ボクもそろそろ庇いきれなくなってきてるんだよ」

「っ…」

「おやめなさい!何で今危害を加えていない彼女までそんな議案が出されて_」

「一番前から脅威となっていたからだよ!」

「え…」

「…」

「知ってるだろ!お前との同盟時から忌み嫌われていたことは!」

「でも…」

「ああもう!いつからそんな非効率的になったんだよ!

利害が合わなけりゃ切る!それがお前のやり方だっただろうが!」

「っ…」

「…アメリカさん,貴方,

いつ人並みの感情を捨てたんです?」

「は?」

「…貴方がそうなってしまったのは確かに半分ブリテンさんのせいです

でも,貴方…」

彼が過去を引きずってること,分からないんですか

「⁉︎」

「シチリアさん,もういいd_」

「良くないです

ブリテンさん,貴方気づいていないでしょうけど,

日本さんと奥様のこと,重ね合わせているんでしょう」

「!」

「なっ…」

「…だからずっと大戦中も浮かない顔だった,そうでしょう? 」

「…そう,ですね」

「…だから,この際言わせてもらいます,アメリカさん,

彼の大切な人を失った気持ちも考えてください」

「…」

「…そうかよ

だけれど,ボクらだけで庇えるもんじゃないぞ」

「…そうですか」


苦しさを乗り越えて,奇跡は起きるのか

イオの夢が示した未来

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