しかしそれにも鷹嶺ルイは全く動じずラジールを制圧した。
「私の弱みとか握ろうって思ったんでしょ?百年早いわよ…お金、置いていきなさい!」
幹部としての矜持を見せつけ、1500ユピドーと言う高額をゲットした。鷹嶺ルイはそこからの道をルンルンで歩いていた。
「やった♪」
5つの作物の種を買い、簡易のクワを組み立てると、塩水を畑に組み入れ、畑を耕し始めた。
「ふうっーこういう作業疲れるな〜」
すると、鷹嶺ルイのウィンドウが再び輝き始め、農耕者のスキルを手に入れた。これがだんだん上がっていけば大きい畑を作れるようになるのだろうが、しかし今のレベルではこの広さが限界なのだろう。体力もほぼ尽きている。種まきはキリトたちに手伝ってもらおう。現在は5時半。キリトたちが来るまで残り30分ほどだが…その時、茂みからガサゴソという音が響き渡る。思わず身構えるが、そこにいたのは、黄土色の毛皮をまとい、パキャーと言う何処か抜けた声を話す、モンスターのロクロカエルハシだ。このゲームでは、全種類の動物を確認すると動物学者というスキルが開放され、動物学者イベントというよく分からないが、イベントに参加できるらしい。しかしルイにそんなことは興味がなかった。
「今はペットにできるスキルを持ってないんだ〜ごめんね~」
くうぅ…と悲しそうな声をあげて、ロクロカエルハシは茂みの向こうへ去っていった。ペットを飼うスキルもゲットしようかなと思ったルイだったが、そうこうしているとキリトだけがログインしてきた。
「あれ?アリスは?」
「寝ちまったよ…ったくあいつは…」
「よし!じゃ、キリトに手伝ってもらおう!」
はい?という顔をしているキリトをさておき、一つの種類の種、カブ目の種、ヤブラカブの種と、カボチャの種類、ヤエモクキカボチャを渡し、種を埋めるように指示をすると、素早く作業をし始める。流石といったところだろう。掘っては埋め、掘っては埋めを繰り返した。ルイの方も同じ種を埋め終えると、水をあげる。すべて作業が終わったのは、夜の9時だった。すると、ログインの合図があったので、アリスなどがログインしたのかと思い、確認すると、それは意外な来訪者だった。
「ルイねぇ〜!沙花叉もゲームゲットしたからログインしてみたんだ!わぁ!この家素敵だね〜!」
それは、ルイの同僚、沙花叉クロヱだった。さっそくシェアハウスにも興味を示しているようで、探究心のあるクロヱにとってこのゲームは最高級の遊び場であるのだろう。
「あれ!?ルイねぇ!その人だぁれ?」
「あ…俺はキリト。よろしく、…沙花叉さん?」
「うん、よろしく!キリッチ!」
変なあだ名をつけられたのはさておき、クロヱが来たのはうれしい誤算だ。このゲームには、夜しか発生しない夜営クエストというものがあり、モンスターを狩りながら、野営で夜を越すという調査クエストのようなものがある。このクエストの参加条件は3人以上だ。クロヱに装備を手渡すと、目を輝かせ、すぐに着始めた。そして、夜営クエスト受付所にいき、クエストを受注し、巨人のところとは逆、海岸沿いの崖の危険地区、ノストラダムス海域棚に出た。
「今日はここで、プレーヤーのランドルさんのギルド、ランドルギルドに加わって、夜の生物、ギガノトゾンビの群れとの戦争をするらしい」
「ふーん、よく分からないけど、楽しそ!」
「あのなぁクロヱ、俺でも、こんな難しいクエストないぞ?」
「あ、あそこの隊みたい。1500の隊らしいよ。結構大規模みたい。」
真ん中のランドル隊長に挨拶を交わす。特徴的なカラスの帽子は彼の強さを現している。すでに圧が猛将だ。
「よお、来たか、歓迎するぞ、キリト少年ら。」
「……と、作戦はこの通りだ。ルイ少女、クロヱ少女はハルン隊長の三番隊。キリト少年は我らと一番隊として特攻を切ってもらう!」
「了解した。」
三番隊本陣。
「やあ、君たちが新人のルイ君とクロヱくんだね。僕はハルン。三番隊の隊長を張らせてもらってる。そろそろ始まるから配置につくように。」
「はい!」
「イケメンじゃない?ルイねぇ?」
「はいはい…余計な事言わない…」
「あの洞窟に突入するんだな」
「そうだ。……そろそろだな……鳴らせ!」
その時、ゴオオオン!というドラの音が鳴り響き、馬を高速で進め、洞窟に突入する隊長が喝を入れる。
「お前ら!いくぞおおおおおおおお!」
アンブレラウォーズ、最初の合戦。
ノストラダムス海域棚大合戦!!
開幕!!
その声に反応し、味方の声、そして、ギガノトゾンビの咆哮が響き出した。
「来るぞ!!」
コメント
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ルイ姉可愛いなぁ😺