洞窟の奥から出てきたのは、ヘルメットをかぶり、鎧を装着したギガノトゾンビの群れ。第一陣は300匹ほどのようだ。
「うがぁぁああ!ニンゲン潰すぅ!」
人間側の先陣を切るのは大将ランドルーではなく、キリトともう一人。青白い長髪を結い、特徴的な薔薇の鎧、白い兜を纏っている。
「おい!どこの誰だか知らんが共闘いくぞぉ!」
「あぁ?まあいい!俺の名はキリト!あんたは!?」
「俺の名はユウキ!!キリト!お前は左に旋回しろ!」
指示を受け取り、敵の側面へと旋回すると、ユウキは右に旋回していた。キリトはすぐに意味を理解し、本陣へと突撃を開始した。愛剣、星空の剣を携え、馬上で縦横無尽に切り刻む。しかし、さすがに重装備。細かな傷がつくだけで、本体にはあまりダメージが入っていない。ユウキの方も同様のようだ。その時、本陣から声が響き渡った。
「若造ども!先陣を切ったのなら敵を蹴散らせ!情けない!!」
「!?あれはっ…!」
大薙刀を持ち出てきたのは、本来第2陣の二番隊隊長、勇敢に白銀の髪をライオンのように逆立て、金色の鎧と純白の籠手を装備したザンギン隊長だった。
「我が手に入れた神器、黒王の薙刀!」
「これでお前らを切り刻む!」
その時、ゾンビの群れからズバ抜けて巨大なゾンビが出てきた。
「よおーし!ここは私が相手してやろうー」
「邪魔じゃ」
まばたきをした時、高速でもうゾンビの首は大薙刀によって切り刻まれていた。
「ふん!雑魚が」
その時、あまりの威圧感にゾンビの足が止まる。これが、他のゲームでも数々の伝説を残してきた、八操将軍(やそうしょうぐん)の一人なのだ。そして、この隊には八操将軍がもう一人いる。
「おい、おっさん!先陣切るのはええよ!」
わずか20歳で八操将軍に選ばれたプレーヤーネーム跪坐馬(ぎざば)。金髪の長髪をまとめ、いかにも清廉潔白な秀才剣士に見えるが、素行は荒い。黒の仮面をかぶっており、顔の全容は見えぬが明らかな強者だ。
「知るか!その若者2人が飛び出したから儂もいっただけじゃ!」
「はいはいそーかよ!じゃ、どっちが多く狩れるか勝負といくかぁ!」
そこからは凄まじかった。どこを見ても敵の血しぶきが舞い上がり、味方ながら鬼なのではないかと何回も思った。これが八操将軍の実力なのだろう。
鷹嶺側
「……あのー、王馬将軍、私たちは出陣しないんですか?」
「阿呆が。戦況をよく見よ。我らの出陣はまだまだ先じゃ。」
そう語るのはこれまた八操将軍が一人、泊年だ。薄い黄色の髪、勇壮な背丈と、金色の兜が自らを照らしている。
「ねーおじさん出陣まだなのー!?」
「なんという無礼を泊年様に!調子に乗るなよ若造めが!!」
そう語るのは、八操将軍の補佐的役割、副官の羅夢だ。こちらも黒く逆巻いた特徴的なひげを拵えている。
刻一刻と鷹嶺ルイたちの出陣が迫っていた。
あらかた敵が片付いた瞬間、ランドルーがさらに勢いづける。
「全軍、突撃ー!!」
「うおおおおおおおおおおおお!!」
クロヱとルイもついに突撃を開始し、洞窟へと突入し、キリト達と合流する。
「おす!来たかルイ」
「うん!ちょっと遅れた!!」
「キリトー!私せんじょー?とか初めてなんだけど」
「クロヱ…、まあどうにかなる!」
「ええー!?」
そうして三人は軍とは離れ別動隊として動いてからすぐのことだった。洞窟の内部で激しい振動が起こり、急停止を余儀なくされる。
「なんなの、この振動!?」
「怖いよー!!」
「……こっちに……近づいてる!?」
ドオン!!と目の前の岩壁が割れると、
「なんじゃい!またおぬしらか!」
そう言い捨てたのは、先ほどクロヱを叱責した副官、羅夢であった。
「あれ!?羅夢さん、泊年将軍はどこへ?というかあなたの隊は?」
「……完全に嵌められた」
「え?」
「……話そう。ごくわずかな時間で起きた、我らにとっての最悪の事態を。」
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クロたんとルイ姉可愛い…🫠