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こはる
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#切ない
こはる
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第65話
攻撃はかわして、メガネをかけた。ここでは強い魔法が使えない。
近くにいるのに……
私の視線の先には標的の魔導師がいる。
「ノア。少し任せたわよ」
「あぁ」
そう言って私は、人混みに紛れた魔導師を手元に取り寄せた。
「お、お前は……」
「サントラップ、出張型店舗店長のセリーナよ。聞いたことあるわよね」
そう。私は、もう裏の世界ではお馴染み。
……何百人も捕らえて来たからね。
「ひぇっ……い、命だけは……」
「何を言ってるの? お前なんかが私の名前に血を塗れるとでも?」
私はそう言って縛ってから、魔法陣を開いてその中に放り込んだ。場所は、第二部隊から指定された部屋。
「だから言いましたよね。私は魔導師ではなく、魔道具職人だと」
私はシリアスな笑みを浮かべながら怒りを抑えた。
それから、一から十まで説明した。私の事は後々言うつもりだけど。
「……じゃあ、セリーナとノアは、そのためにこっちへ?」
「「はい」」
「その強さが二人の世界だと普通?」
「「いいえ」」
「ん? って事は、貴方たちは強い人って事?」
「「はい」」
……って感じで質問攻めされてる。
「あ、私は、いくつ人生を生きてきたのか分からないですから、強いんです。それをノアや他の仲間に叩き込んで……今があります」
一つ説明を加えると、二人とも立ち止まった。
いや、説明を加えたからじゃない。何か緊張が走っている。
遠くに私たちを狙うハンターが計五人。銃が四人。一人は……ピストルじゃん!
「ノア。一人は、ピストルって言って私も見たこと無いけど、今までのとは、多分違うわ」
「ピストル? なんだそれ?」
「銃の種類よ」
私たちがそんな会話をしている内に銃弾が飛んできた……けど、私のバリアによって防がれた。
「何、これ……」「防弾ガラスなのか……?」
二人は、銃弾よりも、私のバリアに驚いている。
「バリアです。魔力密度を最高まで高くしたので、割れないと思いますよ」
私がふふっと微笑みながら言うと『この娘、恐るべし』と視線だけで言われた。
あはは……
それでいつの間にか、ノアが全員縛り付けていた。私が魔法陣を出す前に自分で出して、入れていた。
「二人は、今日泊まる当てはあるの?」
「いえ。身分証明証もないので、日本では人間ではなくペット枠かなと……取り敢えず公園ベンチ生活かな……」
ってか、私、家買ってたよね。今は、夏蓮――私の昔の妹が住んでるのかな? それとも空き家?
「そうか……俺、家相続したから、使うか?」
え? この人は何を言ってるんだろう……?
見ず知らずの人を家に泊める……まじか。
「ノア。どうする? 私は……」
私が言いながらノアを見ると平然を装って魔力が震えていた。怖いと叫んでいる。
「そうね……お願いします。使わせてください」
「あぁ。俺の叔母の家なんだ。二十五の時に死んだ。その後、直ぐに魔獣と魔法が使える人が産まれて……元は魔法何て無かったんだ」
ん? 二十五の時に……? いやいや。そんなの全然あるから。うん。
「俺の母も、最近死んだ。その時に、兄が実家を。俺が叔母の家を……って、あの家、空なんだけどな」
フッと谷平さんは表面だけの笑みを見せた。
それから、駅の前まで歩いた。ノアは初めての光景で目を丸くしている。
「……夏蓮。まさか貴女とは言わないでよね」
私が青く澄んだ空を眺めながらポツリと呟いた。
……夏蓮の夫は、佐藤さんだった。多分違うと思いたい。
「リナ? 何だあれ?」
私がボケっとしていると、ノアに肩を叩かれた。
ノアが指さしていたのは……何か黒い物体。魔力と言えば魔力なんだろうけど……どこの世界線?
日本の魔力も見極められるようには慣れてきたけど、あれはまた別種。
というか……弱い。弱いと思うけど……強く覚醒したりするのかな……?
面倒な程数がいるのは分かる。
「魔獣かよ……こんな時に……」
魔獣? 随分と可愛らしい魔獣ね。
「あれが魔獣なんですね。狩っちゃ駄目なんですか?」
「狩れる物なら狩ってみなさいよ。B級魔獣よ」
そんな事言われたら……腕が鳴るじゃない。
「ノア。一狩りする?」
「いいけど……こんな所で狩っていいのか?」
私が谷平さんたちに許可を求めるように視線を送ったら『どうぞ。ご勝手に』と魔力が動いた。
「いいらしいよ。偶には武器なしもありかもね」
「なんだそれ? 俺は最初から武器なんて持つ気は無かったぞ」
そう言うとノアは、重力魔法を使って飛んだ。
「はぁ……だれの教えかしら……」
私は自覚しながらもそう呟いてからノアの背中を追った。
コメント
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「セリーナが魔導師じゃなくて魔道具職人だって改めて主張するところ、すごく彼女らしくて好きです。しかも『いくつ人生を生きてきたか分からないから強い』っていう台詞、思わず息をのみました…設定の裏付けがちゃんとある強さの説明で惹き込まれました。ノアが日本の景色に目を丸くしてる描写も可愛くて、二人の世界観の違いが楽しいです。最後の『偶には武器なしも』の流れもキャラが立ってて、次の戦闘が気になります!続き楽しみにしてますね✨」