テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第66話
ノアの背中を追ったら、二人――高橋さんと、谷平さんが付いてきた。
え? 面倒くさそうだったのに……? 何でさ?
というか、これについていけるんだ。いや、馬鹿にしてる訳じゃないけど、こっちではイレギュラーな使い方だからさ。
少し飛ぶと街中で魔獣がいた。小さな猪。可愛らしい方だ。
「あまり、大きくないのね」
「同感だ。魔力密度が高めだけど……直ぐに処理はできそうだ」
ノアが重力魔法を解いた。着地する少し前にまたかければダメージゼロ。
でも、ノアが途中で猪を狩ったから、いなくなった。
「本当に、日本なんだよね……」
私はそう言いながら後からきた一回り大きめの猪を馬鹿みたいに狩っていった。
何十匹か狩ったところで、何かキモい物体が見えた。
取り敢えず、きり伏せて……谷平さんに肩を叩かれた。
「お前、本当に何者だ?」
「日本の異世界転生者です」
私がそう言って魔獣にトドメを刺すと森の奥からウジャウジャ出てきた。
「何か来るようね……こんな予定では無かったのだけど、ここで生き残る魔道士は、そこそこ強くないといけないのか……」
「いつ頃の日本を知ってるんだ?」
「平成と令和をちょっと。それ以降は知りません」
私は、そう言って亜空間から、愛用の自作剣を出した。魔力回路は複雑で、自力だよ。私だってれっきとした一人の魔道具職人なんだから。
「取り敢えず、元凶にちょちょっとトドメを刺してから詳しい話を聞きたいです」
「とんでもない、小娘だな」
「私の世界線では、成人が十二歳。平均年齢が百五十歳超えです。一応、成人はしてますから」
「じゃあ、とんでもない女だな」
「いつになっても私の言われようは、変わらないのか……」
そんな会話をしながら、小さなキモい物体をきり伏せて森の奥へ進んだ。
❂
何から何まで強くない。
なんだこの世界は? 目がチカチカして、人がいっぱいで、怖いこの世界は何?
さっきから高橋と呼ばれる女の人がついてくる。そしてこの人は、何かを秘めている。何となくの勘でしかないけど。
取り敢えず、街に出てるのは全部片付けた。
「どこからそんな技術が生まれるのよ」
「リナが教えてくれたんですよ。剣は自分でやってみた動きもあるけど、根本的な使い方はリナからです」
「へぇ……貴方は、何で野宿が嫌なの?」
「贅沢を知ってしまったからですよ。ただそれだけです」
「ふぅん。何歳?」
そう言って高橋さんがニヤニヤとしながら肩をつついてくる。
「十五歳です。でも、何で急に?」
「一応、法律という物があってね。この国では……」そこまで言ったところで俺が「俺は、狼です。狼の獣人だから、人間ではありません。何で人間なんかの法律に従わなくちゃいけないんですか?」とキメてやると、その人は口ごもった。
「それは、リナも同じで、人間ではあるが、この世界で生まれた人では無い。身分証明証だっけ……人間と判断されるにはそれが無いといけないんでしたよね?」
「まぁ、そうね……」
俺は返り血を綺麗に洗浄した。
「一匹狼さん。貴方は何者なの?」
「俺は、異世界の獣人です。サントラップ、出張型店舗。従業員でもありますけど」
「ふふっ。そうね。それで貴方が取り押さえているのは誰かしら?」
そう言って高橋さんは視線を落とした。俺に踏まれている裏の魔導師だ。
「裏の魔導師だ。今はそれを捕まえて回ってるって説明をリナがしていましたけど」
「そんなに、沢山いるのね……」
「多い時は、一日に百人は、捕まえてましたよ?」
「え……?」
俺は魔法陣の中にそいつを突っ込んでから、街の人の治癒をした。
大体の人の治癒を終えると「随分とお人好しなのね」と高橋さんが後ろから歩いてきた。
「……昔、魔法の使い方も分からない時、一人で痛んでた。誰も話す相手がいなかった。今は、怪我をしたら話さずとも仲間が悲しむ。それを放っておけなんて、人殺しと同じだ」
「そう……ってか、何か光ったわよ」
え? 何?
「その、胸元が赤く光ったわ。異世界人って何者……?」
俺の胸元にあるのは……あ、あの星霊の剣が呪われた時に貰ったペンダントだ。
『苦しくなったら、このペンダントを握って。駆けつけるから』
……リナは、負けかけている? どういう事だ?
「……手。繋いで下さい」
「何よ。急に……」
「早く! 何か嫌な胸騒ぎがするんです……外れたらいいんですけど……」
顔を顰めながら唇を噛んだ。
リナは、いつも無理を……
そういえば、最近笑顔が減った。無理をする回数が増えた。
エリカさんにどうやって顔を合わせれば……
「えぇ。いいわ」
高橋さんが、そう言って俺の手を掴んだ。
「今から、出来る限りの脱力をして下さい。筋肉をシンクロする魔法を使います」
「分かったわ」
俺は、そのシンクロする魔法をかけてから、重力魔法で無重力にしてから飛んだ。
コメント
1件
ちょっと待ってその胸のペンダントが光ったシーン、エモすぎん!?😭💕 リナの「苦しくなったら握って」って台詞がめっちゃ刺さった…普段は強気なのに無理しがちなんだね。高橋さんとの会話も「人間の法律なんかに従わない」ってかっこよすぎて鳥肌立ったよ!!次どうなるか気になりすぎて夜しか眠れないんだけど、もう続きはあるの?待ってるからね⋆♡
こはる
1,404
こはる
557
#切ない
こはる
16
15