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「……危なかったな」
ひまなつが肩を落としながらも、口元に笑みを浮かべる。心臓はまだ早鐘を打っているのに、その余裕めいた笑い方が逆に腹立たしくて、いるまは顔を赤くしながら悪態をついた。
「っ……笑い事じゃねぇだろ、バカ……っ」
ひまなつはその言葉に楽しげに目を細め、わざとらしく首を傾げる。
「ん?そんなこと言っていいんだ?」
その声色と同時に、中に差し込んだままの指がゆっくりと抜け、また押し込まれる。
「ひぁっ……っ!」
反射的に声が漏れ、いるまはひまなつの胸に顔を埋めた。締め付けるように服を握りしめ、体を震わせる。
ひまなつはその反応に口角を上げ、耳元に息を吹きかける。
「ほら、素直じゃん。……悪態ついても、煽ってるようにしか見えないな」
指先は意図的に敏感なところをなぞり、いるまの中をじっくりと確かめるように動き続けた。
「っ……うるせぇ……っ、んっ、だま……れ……」
息も絶え絶えに吐き出される言葉は弱々しく、抗いながらも背中は大きく反ってしまう。
ひまなつはそんないるまの様子を愛おしげに見つめ、さらに深く指を埋めていった。
ひまなつの指がじゅくじゅくと音を立てながら抜き差しされ、いるまは息を荒げて腰を震わせる。
「んっ…はぁっ…おまえ……ふざけんなよ……っ」
睨みつけるように言うが、目は潤んで頬は赤く染まっていた。
ひまなつはにやりと口角を上げ、指をぐっと深く押し込んだかと思えば、不意に動きを止めて指を抜き取る。
「……っは? ……おい、なんでやめ――」
抗議の声をあげた瞬間、急に与えられていた快感が奪われ、いるまの体は余計に疼く。
「危なかったなーって言ったのに、そんな言い方するから」
ひまなつはわざとらしく肩をすくめ、濡れた指を舐め取るように口元へ持っていく。
ぴちゃりと音を立てる仕草に、いるまは目を見開き、喉がひくりと鳴った。
「おい……っ、おま……っ、途中でやめんじゃねぇよ……」
声は怒鳴っているはずなのに、情けないほど熱に浮かされてかすれていた。
ひまなつはその反応すら楽しむように、ぐっと顔を近づける。
「そんなに欲しいなら、ちゃんとお願いしてみたら?」
「は…?……いらねぇし…」
喉の奥から絞り出すように、いるまは低く吐き捨てた。
欲しくて仕方ないはずなのに、ひまなつに言われるままに「欲しい」とは言えない。意地が先に立ち、震える体を無理やり抑え込む。
ひまなつは一瞬驚いた顔をしたあと、ふっと笑みを浮かべる。
「へぇ……そっか。じゃあ今日はここまでだな」
指先を軽く舐め取り、未練がましい音を立ててから立ち上がった。
いるまは乱れた息を整えようとするが、絶頂後の余韻と中途半端に置き去りにされた疼きで体が言うことをきかない。
ズボンを直そうとした手が震え、足に力が入らず、そのまま床へへたり込んでしまった。
「……っ、くそ……」
唇を噛みしめ、悔しさと情けなさで額に汗が滲む。
ひまなつはそんないるまを見下ろし、ため息混じりにしゃがみ込む。
「ほら、無理すんなって。素直じゃねーなぁ」
そう言って、乱れた衣服を手際よく整え、腕を回して抱き上げる。
「おい、降ろせ……っ」
抵抗する声とは裏腹に、体は力なくひまなつの胸に預けられてしまう。腕に抱かれると、いるまの熱を帯びた体がさらに震えを増した。
「嫌なら暴れりゃいいじゃん。でも、立てないんだろ?」
挑発するような囁き声が耳にかかり、いるまは歯を食いしばるしかなかった。
そのままひまなつは軽々と抱き上げ、廊下を歩いてリビングへ。
扉を開けると、暖かな灯りが二人を迎え入れた。
テーブルには湯気の立つ料理が並び、らんとこさめが向かい合って座っていた。
「お、来た来た」
らんが手をひらひらと振る。ひまなつが腕の中のいるまを抱えたまま入ってくると、二人は目を丸くした。
「……すちとみことは?」
ひまなつが首を傾げる。
らんは箸を置き、少し困ったように笑った。
「今は欲しくないんだってさ……まぁ、二人なりに考えてんだろ」
「そっか」
ひまなつは軽く頷き、テーブルの端へと歩み寄る。
その横でこさめが心配そうに身を乗り出した。
「ねぇ、いるまくん……なつ兄に抱えられてるってことは、まだ本調子じゃないの? また悪夢、見たりしてる?」
その声色には冗談のかけらもなく、純粋な心配が滲んでいた。
いるまは視線を逸らし、こさめの問いかけを一瞬受け止めきれずに唇を結ぶ。
だが次の瞬間、鼻で笑うように息を吐きながら答えた。
「寝れたから大丈夫だ。ただ……ちょっと疲れただけ」
ごまかすように言いながら、肩をひまなつの胸に押し付ける。
「ほんと?」
こさめの声に、いるまは軽く手を振ってみせた。
「ほんとだって。大げさだな」
その言葉とは裏腹に、体はまだひまなつの腕の中で力を抜いたまま。
らんはそんな様子を見て、静かに目を細めた。
「……無理すんなよ。飯は冷めても食えるから」
テーブルに漂う香りと、兄弟たちの視線に囲まれて、いるまはどこか落ち着かないまま息を吐いた。
夕食を終え、食器を片付けているときだった。
ひまなつはさりげなく身を寄せ、いるまの耳元で小声で囁いた。
「……心配なら、顔出しに行くか?」
いるまは箸を置き、少しだけ迷うように目を伏せた。だがすぐに小さく首を横に振る。
「……落ち着いた時でいい」
短い言葉には、今は余計に騒がせたくない気持ちと、自分の中で整理しきれない想いが滲んでいた。
ひまなつはその答えを尊重し、静かに頷くといるまを抱え上げた。
「じゃあ部屋戻ろ。……ベッドでちゃんと休め」
そう言っているまの部屋へ向かおうとした時、いるまが服の裾を小さく握った。
「……一緒に寝ろよ」
その呟きは本当にか細くて、聞き逃しそうなくらいだった。
ひまなつは足を止め、目を瞬かせる。
「また手、出すかもよ?」
からかうように口の端を上げる。
いるまは顔を背け、耳まで赤く染めながら吐き捨てるように言った。
「……出せばいいだろ」
その素直になれない拗ね方に、ひまなつは喉の奥が熱くなるのを堪えた。
(……可愛すぎだろ、こいつ)
胸の奥で悶えながらも、表情には出さずに軽く笑う。
「じゃ、決まりな」
そう囁き、いるまをしっかり抱き直すと、自室へと足を運んでいった。
ひまなつはベッドにいるまをそっと下ろした。
柔らかい布団に沈んだいるまの身体は、先ほどの焦らしのせいでまだ下半身がじんわりと熱を持っている。
「……なつ…にぃ、」
掠れた声で自分を呼ぶいるまの声に、ひまなつは身体を傾ける。
「ん、どうした?」
甘やかな微笑みと声で返され、いるまは耐え切れず目を逸らしながら呟いた。
「……欲しい」
その一言に、ひまなつの胸の奥が熱を帯びる。
「──っ、やっと素直になった」
囁くと同時に、いるまの肩を押してベッドへと押し倒した。
「ん……っ」
唇が重なり、すぐに深いキスへ変わっていく。
舌と舌を絡め合い、酸素を奪うような甘い口づけが続く。
いるまは無意識にひまなつの服を握りしめる。
(……さっきよりも、熱い……)
触れられるだけで全身が疼き、焦らされた余韻が欲望を煽る。
ひまなつはいるまの赤くなった耳元を撫で、吐息を落としながら囁いた。
「我慢しないでね」
再び唇を塞ぎ、いるまの体温を甘く溶かすように口付けを重ねていった。
ひまなつは、いるまの体を押さえつつ唇を離すと、息を整えながら小さく微笑んだ。
「……ゆっくりな」
いるまはまだ体が熱く、下半身は先ほどの余韻で敏感に反応している。
ひまなつは自身の熱の大きさを意識し、焦らず丁寧に進めるために、まずは指でいるまの中を解していく。
「んっ……なつ……んんっ!」
掠れた声を漏らしながらも、いるまは指先の感覚に身を任せる。
ひまなつは耳元に口を寄せ、甘く囁いた。
「大丈夫……ちゃんと感じさせるから」
そして指を再び中に入れ、慎重に2本を挿入。
ゆっくりと上下に動かし、奥の前立腺を刺激するたび、いるまは小さく「んっ、あっ……!」と声を漏らす。
ひまなつは肩に顔を寄せさせながら、細かく動かし、中を執拗に責め続ける。
「……気持ちいい……ね?」
囁きながらいるまの小さな体の動きを手のひらで受け止め、微調整を重ねていく。
いるまは声を堪えきれず、「んんっ……あぁっ……」と甘く喘ぎ、唇を噛みながらもひまなつの指を受け入れ続ける。
いるまは身体の奥から込み上げる快感に、もはや声を我慢できないと悟る。
「んんっ……ああぁっ……!」
思わず漏れる甘い声とともに、口をひまなつに押し当て、自ら唇を重ねる。
ひまなつはそれを受け入れ、さらに舌を絡めながら指を中で動かし続ける。
「んっ……いるま……感じてるね……」
囁きと指先の刺激に、いるまは体をビクつかせ、全身が震える。
「ぐッ…ふッ…んんーーっっ!!」
声を漏らし、目には涙が滲む。身体は蕩け、全ての力が抜けていく中で、いるまはひまなつに抱きつきながら絶頂する。
ひまなつは絶頂したいるまの体をそっと支え、指の動きは徐々に緩めつつも、中の感覚を最後までじっくり味わわせる。
いるまは顔をひまなつの胸に埋め、甘い声を漏らし続けながら、徐々に落ち着きを取り戻していく。
体が解けるように力を抜くいるまを、ひまなつは優しく抱き寄せ、額や頬に口付けをしてその温もりを伝えた。
ひまなつは少し息を整え、穏やかに問いかける。
「今入れたら絶対痛いだろうから、連日少しずつ広げて、大丈夫そうになったら入れていい?」
いるまは言葉では答えず、まだ中に残るひまなつの指をぎゅっと強く締め付ける。
その力で、自分の気持ちを表現しているようだった。
ひまなつはその反応に微笑み、無理に進めず、優しく指を抜き、握った手を自分の胸に軽く押し当てる。
「わかった、ゆっくりやろうね」
そう囁き、いるまの体に寄り添う。
いるまはその温もりと優しさに安心し、頬を赤らめながらも、力を抜いてひまなつに抱かれる。
まだ熱を帯びた身体を重ねつつ、甘い余韻に浸る二人の時間が、静かに流れていった。