夕方の柔らかい光の中、みことはゆっくりと目を覚ます。膝枕に頭を預け、まだ少し眠そうな表情。掠れた声で小さく、でも確かに呼ぶ。
「……すちにぃ…」
その声を聞いたすちはすぐに目を覚まし、穏やかな微笑みを浮かべながら「調子はどう?」と優しく問いかける。みことの表情を注意深く見つめ、体調の微妙な変化も逃さない。
みことはゆっくりと体を起こし、少し恥ずかしそうに視線を逸らしつつも、控えめに「ぎゅってして…」と呟く。声は小さいが、真剣な願いが込められていた。
すちはすぐに応え、みことを両腕で包み込むように抱き寄せる。背中に手を回し、頭をそっと撫でながら、柔らかい圧でみことを支える。みことは安心したようにすちの胸に顔を埋め、しばらく静かにその温もりを感じていた。
膝枕で休んでいた体も、すちの抱擁によりゆっくりと落ち着き、みことの呼吸も穏やかになっていく。
静かな室内に、控えめなノックの音が響く。すちはゆっくりと声を出して「はい」と返事をする。
扉越しに、らんの声が聞こえる。
「晩飯作ったけど、どうする?」
すちは少し間を置いて、みことにそっと目を向ける。
「食べられそう?」
みことはまだ心が落ち着いておらず、首を横に振る。
すちは頷き、落ち着いた声で扉に向かって答える。
「今は欲しくないみたいだから、お腹がすいたらみことと一緒に食べるよ。」
らんは少し安心したように「了解」と返し、そのまま足音を残しつつ部屋から離れていった。
扉の向こうに去る気配を感じながら、すちはみことの髪をそっと撫で、穏やかに見守るのであった。
みことはすちにしがみついたまま、ゆっくりと目を閉じる。言葉は何も発さず、ただすちの温もりに身を委ねる。
すちはみことの頭を優しく撫で、耳元にそっと口を寄せる。
「ん…大丈夫だよ」
低く囁き、みことの肩や背中にも手を回し、包み込むように抱きしめる。
みことはすちの匂いや体温、そして囁きに心を委ね、静かに安心した息を吐いた。
部屋には二人だけの、柔らかく落ち着いた空気が漂っていた。
みことはすちに抱きついたまま、掠れた声で「…ずっと家にいたい…」と小さくこぼした。
すちはその言葉に優しく微笑み、みことの髪や背中を撫でながら、「明日は休みだし、皆とお話ししようね」と声をかける。みことはその手の温かさに少しずつ心を解かれ、うなずく。
「……今夜、一緒に寝てほしい…」
小さな声で告げるみことに、すちは柔らかく微笑み返す。
「いいよ、いつでも、毎日でも一緒に寝よう」
みことは嬉しそうにすちの頬にそっと口付けをし、感謝を伝えた。すちはその頬を軽く撫で、二人だけの静かで温かい時間が穏やかに流れていった。
二人は静かにベッドに入り、すちはみことの背中を一定のリズムで優しく撫で続けた。温かい手の感触に、みことは徐々に目を細め、安心した表情を浮かべる。
「おまじない…いっぱいいてほしい」
みことは小さな声で囁く。
すちはその言葉に微笑み、そっとみことの目元に口付けをすると、頬、額へと順に優しくキスを重ねていく。みことは心地よさに身を任せながら、 「…首や肩にも…して」と、さらなる願いを漏らした。
少し驚いたすちは一瞬目を見開くが、すぐにみことのお願いを受け入れ、首筋や肩にも丁寧に口付けをしていく。
みことはすちの温もりに包まれ、安心感と幸福感に満ちた顔を見せた。
ベッドの中、二人だけの静かな時間が柔らかく流れていった。
コメント
1件
聖域…